ホンダ アクティバン▲MR(ミッドシップエンジン・後輪駆動)という独自の駆動方式を貫いたホンダ アクティバン。最終型は約20年にわたり生産された

ホンダ アクティバンの中古車は今

2018年7月まで生産されたホンダ アクティバン。使い勝手のいい軽バンとして、商用はもちろんアウトドア趣味を楽しむ車としても、いまだに人気の高いモデルだ。

20年近い歴史の中で大きな変更はされなかったが、安全装備や利便性の面で小規模なアップデートが何度か行われた。

前身であるTN360から続くMR(ミッドシップエンジン・後輪駆動)レイアウトによる安定感のある走りは、他の軽1BOXでは味わえない乗り味で、いまだに支持を得ている理由のひとつとして挙げられる。

中古車流通量は400台超と豊富で、距離さえこだわらなければ予算40万円以下の物件が多数見つかる。また、予算100万円ほど用意すれば、高年式低走行の中古車を探すことも可能だ。

ここからはアクティバンのオススメの選び方や特徴、中古車相場について紹介する。
 

 

アクティバン(初代)の特徴と中古車相場

■アクティバン(初代)DATA
生産期間:1988年5月~1999年5月
中古車流通量:約5台
中古車価格帯:35万~40万円
 

ホンダ アクティバン ▲デビュー時は古い軽自動車規格で排気量は550ccだった。前席ドアの上に配置されたウインカーが特徴的

■アクティバン(初代)の特徴
ワンボックスタイプの軽自動車(および軽トラック)には、メーカーの哲学とも言えるものが現れる部分がある。それはエンジンの搭載位置だ。

重い荷物を積むことを想定した軽バンや軽トラは、荷物を満載して車体後方が沈み込んだときでも駆動力を路面にしっかり伝えられるよう後輪駆動にするのが常識。ただ、エンジン搭載位置はかつてメーカーによって異なっていた。

スズキとダイハツはエンジンをキャビンの下に配置するFR(フロントエンジン・後輪駆動)になっているのに対し、ホンダは1967年に登場したTN360からエンジンを荷台下に配置するMR(ミッドシップエンジン・後輪駆動)方式を採用している。

これは、満載時だけでなく荷物を積んでいないときでもエンジンの重みで後輪に荷重をかけること、エンジンとキャビンの距離が離れるので走行中の車内にエンジン音が入りにくいなどの理由から採用されたものだ。
 

ホンダ アクティバン ▲1990年2月、新しい軽自動車規格に合わせて660ccエンジンを搭載。ライトまわりのデザインも変更された

1988年5月にデビューした通算2代目のアクティ(カーセンサーnet上では「初代」と表記)は、キャブオーバータイプ軽商用車初のビスカスカップリング付きリアルタイム4WDや、3速AT(2WDに設定)をはじめとする数々の技術を導入したモデルだった。
 

■アクティバン(初代)の中古車相場
現状、この世代のアクティバンの中古車は5台以下しか流通していない。

年式も古いため、実用的な用途で使用するのであれば、後述する2代目の購入をオススメしたい。

どうしてもこの世代が欲しいという人は、条件に合うものをじっくり探すという作戦がいいだろう。
 

▼検索条件

ホンダ アクティバン(初代)× 全国
 

アクティバン(2代目)の特徴と中古車相場

■アクティバン(2代目)DATA
生産期間:1999年6月~2018年7月
中古車流通量:約440台
中古車価格帯:10万~130万円
 

ホンダ アクティバン ▲1998年10月に改正された軽自動車規格に合わせて、ボディサイズが拡大された最終型アクティバン

■アクティバン(2代目)の特徴
1998年10月、軽自動車の規格が改正されて現行のものになった。そのため、98年10月には多くの軽自動車がフルモデルチェンジしている。

アクティバンはそこから8ヵ月ほど遅れて登場。MR(ミッドシップエンジン・後輪駆動)方式を継続採用しながら、前輪を可能な限り前方に配置し、クラストップのロングホイールベース2420mmが確保された。これは、先代と比べて520mmも長くなっている。

さらに、低床、低重心を実現し、使い勝手や走行性能の向上が図られたモデルだ。
 

ホンダ アクティバン ▲荷物をフル積載するときは、後席だけでなく助手席も前方に倒すこともできる

後席を格納し、助手席の背もたれを倒すと最大2640mmのフルフラットな荷室が出現する。この状態にすれば、6畳相当のカーペットも積むことも可能だ。

定員は4人乗車の他、2名の「PRO-A」、2名+荷室に仕切りがついた「PRO-B」が用意された。

トランスミッションは5速MTと3速ATの2種類。デビュー時は4WDにATの設定はなかったが、後に追加されている。

安全装備では、人の傷害値の軽減を第一に考えたGコントロールを採用。万が一の事故の際も、歩行者の頭部傷害を軽減する構造になっている。

さらに、フロントには運転席エアバッグを標準装備し、助手席エアバッグもオプション設定を設けるなど、安全性の向上が図られた。

デザインは乗用モデルのバモスと基本的には共通で、バンパーがモールになるなど、コストにこだわる商用車として一部装備が簡素化されている。
 

ホンダ アクティバン ▲アクティトラックがモデルチェンジした後も、フルモデルチェンジせずに継続販売された

2009年12月には、軽トラモデルであるアクティトラックでフルモデルチェンジが行われるが、アクティバンは2018年まで約20年間継続販売された。その歴史の中で何度も改良が加えられている。その代表的なものを紹介しよう。

まず、2000年2月には4WDに4速ATを追加(2WDは3速ATのまま)。

続いて2001年のマイナーチェンジでは、上級グレードの「タウン」にプライバシーガラス、ホイールキャップが標準装備になるとともに、「タウン」と「SDX」にフロントのパワーウインドウ、リアヒーターがオプション設定された。
 

ホンダ アクティバン ▲荷室内にユーティリティナットが備えられ、ビジネスシーンだけでなく趣味のトランスポーターとしても便利に使えるようになった

2003年4月には、運転席&助手席エアバッグが全グレードで標準装備化された。助手席にも人を乗せて移動する機会がある人は、これ以降の年式がオススメになる。

荷室には、18ヵ所のユーティリティナットやテールゲートストラップを採用し、積載時の使い勝手が高められた。また、上級グレードの「タウン」には、ボディ同色ドアミラー&ドアハンドルが設定されている。

2005年には、左側のドアミラーにフロントドア下の死角を減らすサイドアンダーミラーを設置。

2007年2月には、キーレスエントリーがオプション設定され、これは2010年8月に全グレードで標準装備化されている。
 

■アクティバン(2代目)の中古車相場
最終型アクティバンの中古車は4人乗りのエントリーグレードである「SDX」が圧倒的に多く、全流通量の9割を占める。

価格帯は総額20万~110万円とかなり幅が広い。

ビジネスシーンで使われるモデルだけに、総額30万円以下の最安値帯は走行距離が10万km以上の物件が中心になっている。それでも、このゾーンには100台近くの流通があり、仕事で軽バンが急に必要になったので、早急に安い中古車を手に入れたいという人にとっては選びやすい状況と言える。

近年、配送業でのニーズの高まりやアウトドアブームなどが要因で、中古市場での軽バンの価格が下がりにくい状況となっている。総額80万円以上のゾーンを見てみても、低走行の物件は少なくなってきており、コンディションを重視するなら早めのアクションをオススメしたい。

購入後にある程度長く使うつもりなら、運転席と助手席にエアバッグが備わりキーレスエントリーも標準装備になった2010年8月以降のモデルを選びたいところだ。

この年式でも距離さえ気にしなければ、40万円以下の予算で見つけることができる。価格とコンディションのバランスをとるなら、総額50万~70万円のゾーンがオススメ。走行距離5万km以下の物件も見つけることが可能だ。
 

▼検索条件

ホンダ アクティバン(2代目)× 全国

※記事内の情報は2021年6月21日時点のものです。
 

文/高橋満 写真/ホンダ

高橋満(たかはしみつる)

自動車ライター

高橋満(BRIDGE MAN)

求人誌編集部、カーセンサー編集部を経てエディター/ライターとして1999年に独立。独立後は自動車の他、音楽、アウトドアなどをテーマに執筆。得意としているのは人物インタビュー。著名人から一般の方まで、心の中に深く潜り込んでその人自身も気づいていなかった本音を引き出すことを心がけている。愛車はフィアット500C by DIESEL