フォルクスワーゲン ポロ▲「こんなに小さくても、こんなにしっかりしてるんだ」が最もわかりやすいのは、フォルクスワーゲン ポロだろう。本国ではすでにマイナーチェンジが行われ、日本でもそのうち新しいデザインになりそうだが、前期型でも十分その実力を堪能できる

新車時は高い輸入車も、中古車になれば国産コンパクトカーの比較対象になる

2021年5月の新車販売台数を見ると、トップはトヨタ ヤリス。コンパクトカーでは、他にも2位にトヨタ ルーミー、6位に日産 ノートと、ベスト10に3台入っている。SUVだけどコンパクトサイズの5位トヨタ ライズも含めれば、このサイズ感が圧倒的な人気を得ていることがわかるだろう。

しかし、このサイズ感、セグメントで言うBセグメントは、ヨーロッパ車も得意なカテゴリーだ。ただし、国産車と比べてどうしても新車時価格が割高に感じられ、新車時の販売台数ランキングに出てくることはまずない。

だが、この欧州コンパクト、中古車になった途端、がぜん国産車とてんびんにかけたくなるような価格になる。

例えば、「走行距離1万km以下」「2016年式以降」「支払総額200万円以下」の「現行型輸入コンパクトカー」で検索すると、300台以上がヒットする。この条件なら、新車だけでなく、中古の国産コンパクトカーとも大差がなくなる。

輸入車らしい個性的なデザインや品質などが、中古の国産コンパクトカー並みの価格で狙えるのだから、これは見逃す手はない。走行距離1万km以下の現行型なら、新車の香りが残っている物件もあるかも!?

今回は上記検索条件の中から、特に台数の多い3モデルを紹介しよう。

特別限定車や0.9Lターボ×MTなど魅惑の中古車がいっぱい!
フィアット 500(現行型)

フィアット 500▲マイナーチェンジ以降、現在までの約5年の間に、実に38車種もの特別仕様車が発売されている。いずれも販売台数がそう多くはないので、出会ったときが購入のチャンスだ。写真は2016年1月のマイナーチェンジ時の標準モデル
フィアット 500▲2018年9月の一部改良で、Apple CarPlay Android Auto対応の最新インフォテインメントシステムが採用されたため、スマホのナビアプリが使えるようになった。写真は2016年1月のマイナーチェンジ時

2008年3月に登場した500(チンクエチェント)。実に13年以上も販売されているが、そろそろ次期型への移行が噂されている。そんな熟成された後期型が、今回のターゲットだ。

老若男女問わずサマになるフォルムに、1.2Lまたは0.9Lターボを搭載。AT免許でも乗れる2ペダルMTは変速のたびに一瞬トルクが抜けるため独特な挙動を示すが、慣れるとこの動きさえこの車の魅力に思えてくる。

もしも、あなたが車好きなら、0.9Lターボ×MT車をオススメしたい。バイクのような2気筒エンジンのパワーをMTで最大限引きだしての小気味よい走りは、他では得がたい楽しさがある。

2016年1月に最初で、おそらく最後のマイナーチェンジが行われ、LEDデイライトが追加されるなどフロントまわりのデザインが変更された。また、オーディオが5インチのタッチスクリーン仕様となり、センターコンソールにUSBと外部入力端子が装着されたことで、ドライブ中にスマホ経由で音楽を楽しみやすくなっている。

モデル末期でも限定モデルがバンバン登場しているのも特徴だ。しかも、単に快適装備を追加しました、なんていう特別仕様車ではなく、限定色やイタリアの高級家具ブランド「ポルトローナ・フラウ」によるレザーシート、Beats Audioプレミアムサウンドシステムなどががっつり使われているので、たとえ台数が多いといっても、他人との差別化を図りやすい。

2016年1月のマイナーチェンジ時の車両本体価格は、199万8000~279万7200円。原稿執筆時点で2016年式以降・走行距離1万km以下・支払総額200万円以下で検索すると30台ほど見つかり、150万円程度から狙うことができる。

特別仕様車も7台、0.9Lターボ×MT車も6台見つかった。装備の違いなど確認しながら、気になる1台を探してみよう。

▼検索条件

フィアット 500(現行型)×2016年式以降×走行距離1万km未満×総額200万円以下×全国

衝突被害軽減ブレーキが備わるポップなデザインの実用車
フィアット パンダ(現行型)

フィアット パンダ▲ラゲージ容量は通常で225L、後席を倒すと870L。全長3655mm×全幅1645mmという小さなボディからすればまずまず。全高はノーマルで1550mmだが、4WDモデルは+65mm(2020年登場のパンダクロスは+80mm)となる
フィアット パンダ▲写真は2017年1月のマイナーチェンジ時。ステアリングホイールがフラットボトムとなり、メーターのフォントの視認性が高められた。全車右ハンドル

500(チンクエチェント)が唯一無二の、この車にしか許されないようなデザインだとすれば、パンダはアレッシィの文房具のように、ポップな実用品という感じだ。

2013年6月に登場した現行型は、旧型の細部を見直して室内空間やラゲージにゆとりが生まれた。もちろん、楽しさに満ちたデザインは時代に合わせてリファインされた。

搭載されたエンジンは、2気筒の0.9Lターボ。これに500(チンクエチェント)同様2ペダルのMTが組み合わされる。

ちなみに、たびたび追加される特別仕様車の4WDモデルは6速MTを搭載。これが車好きには好評を得ている。4WDモデルは標準モデルより最低地上高が高められ、雪道はもちろん、河川敷や林道などノーマル車では躊躇するような場所へも入っていける。

500(チンクエチェント)と異なり、デビュー時から衝突被害軽減ブレーキが用意されていたが、2015年11月から標準で備わるようになった。さらに、2017年1月のマイナーチェンジでは坂道発進補助機能も標準装備された。

また、2020年10月から限定販売されているパンダクロス4×4には、「オート/オフロード/ヒルディセントコントロール」の3モードから選べるドライブモードセレクターが備えられた。

2017年1月のマイナーチェンジ時の標準モデルの車両本体価格は213万8400円。原稿執筆時点で2016年式以降・走行距離1万km以下・支払総額200万円以下で検索すると20台ほど見つかり、130万円程度から狙える。

なお、残念ながらこの条件下では4WDモデルは選べないが、走行距離を1.2万km以上に緩めるか、230万円ほど価格を上げれば選べるので、気になる人は探してみよう。

▼検索条件

フィアット パンダ(現行型)×2016年式以降×走行距離1万km以内×総額200万円以下×全国

基本性能だけでなく装備面でも国産ライバルを上回る!?
フォルクスワーゲン ポロ(現行型)

フォルクスワーゲン ポロ▲全長は4060mmだが、全幅が1750mmとわずかに1700mmを超えるため、3ナンバーとなる。ラゲージ容量は通常で351Lと広い
フォルクスワーゲン ポロ▲カーナビやオーディオなどを操作できるタッチパネル式の「Discover Pro」はオプション。2018年10月からワイヤレスのスマートフォン充電機能が用意された

今でも同社のゴルフの弟分であることは確かだが、代を重ねるごとに大きくなり、今では初代ゴルフよりボディサイズが大きくなった現行型ポロ。

もちろん、走行性能や安全性能も代が変わるたびに進化を遂げ、Cセグメントの世界基準車がゴルフなら、Bセグメントはポロと言えるほどバランスの良いコンパクトカーとなっている。

現行型が登場したのは2018年3月。新しいMQBプラットフォームを手に入れたことで、旧型でも十分だった走行性能は、格段に進化した。室内やラゲージも広くなり、乗り心地もよりフラットになるなどBセグメントのトップモデルと言える内容だ。

エンジン×トランスミッションは、1Lまたは1.5Lターボ×7速AT。スポーツモデルのGTIは、2Lターボ×6速ATとなる。

衝突被害軽減ブレーキや全車速追従機能付きアダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)が用意されるのはもちろん、衝突被害軽減ブレーキは歩行者も検知し、後退時にも対応するように。

さらに、ACCには渋滞時に便利なストップ&ゴー機能が追加され、自動駐車システムも備わるようになった。2020年3月の一部改良で、レーンキープアシスト機能が強化されている。

デビュー時の車両本体価格はTSIトレンドライン・コンフォートライン・ハイラインが209万8000~265万円、TSI Rラインが298万円。稿執筆時点で2016年式以降・走行距離1万km以下・200万円以下で検索すると、人気車ゆえ110台見つかり、130万円から狙うことができる。その多くがタッチパネル式の純正ナビを備えていてお買い得感がある。

▼検索条件

フォルクスワーゲン ポロ(現行型)×走行距離1万km以内×総額200万円以下×全国
文/ぴえいる、写真/フォルクスワーゲン、フィアット

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。