アウディ Q3▲Q7、Q5と大きい方から順に登場してきたアウディのSUV「Qシリーズ」。3番目となったQ3は当時最もコンパクトなQとして登場した。国産車でいえばトヨタ C-HRクラスだ

日本で運転しやすいプレミアムコンパクトSUV

2012年5月にデビューしたアウディ Q3。全長4385mm×全幅1830mm×全高1615mmと、日本のような道路事情も運転しやすいサイズで、BMW X1やアウディと同じグループのフォルクスワーゲン ティグアンが先行して参入していたカテゴリーだ。

メカニズムの多くをティグアンと共有するが、そこは「上質さ」をウリにするアウディブランド。例えば、触り心地がソフトな素材で覆われたインテリアなど、見た目はティグアンよりも1クラス上というプレミアムコンパクトSUVだ。新車時の車両本体価格もティグアンよりざっと30万円ほど高かった。

そんなQ3が現行型にフルモデルチェンジしたのは、初代デビューから約8年たった2020年8月。8年間も販売されていたため乗り替え需要も高かったようで、減少傾向だった中古車流通台数が一転、2020年8月以降は増加に転じ、現在も着実に増加している。

初代アウディ Q3の流通台数

台数が多ければ多いほど選びやすく、値落ちが順調に進むため、モデルチェンジ直後はおいしい中古車を選べる絶好のタイミング! 旧型となる初代Q3は、そういった意味で今狙い目のモデルと言えるのだ。

しかも、新型は旧型と比べ全長が約100mmも伸びているため、コンパクトな旧型の方がいいなと思う人も多いのでは?

では、どんなQ3を狙うべきか? 以下、モデル概要を振り返りながらチェックしていこう。

2種類の2Lエンジン×4WDと、1.4L×2WDの3タイプから選べる

アウディ Q3▲洗練されたデザインを採用することで、アクティブでモダン、そして都会的なライフスタイルの持ち主にとって理想的な車像が目指された
アウディ Q3▲Dピラーが寝ている都会的なクーペ風デザインとなっている
アウディ Q3▲ベースのティグアンよりも上質な素材を用いることで、インテリアのプレミアム感は増している

2012年5月登場時に用意されたエンジンは、最高出力170psと211psという2種類の2Lターボ。カーセンサー上ではグレード名にある「170ps」や「211ps」で見分けることができる。

いずれも、7速Sトロニック(デュアルクラッチトランスミッション)と、伝家の宝刀クワトロ(4WDシステム)が組み合わされ、スポーティな走りが楽しめる。

日本で街乗りするにはちょうど良いサイズで、Dピラーが寝ているなど見た目もシティ派だが、地上高は170mmあり、前100:後0~前0:後100の間でトルクが変化するクワトロが備わるため、雪道なども安心して走れる。

なお、オプションのSラインパッケージを選ぶとスポーティなサスペンションが備わり、最低地上高は20mm下がる。

好みに合わせて、エンジンやサスペンションなどを最適化できる「アウディドライブセレクト」は、デビュー時は211ps仕様にオプションで用意された。

街乗り中心というユーザーが多かったためか、燃費の良いモデルとして2014年8月にQシリーズ初となる2WD(前輪駆動)の「1.4 TFSI」が追加された。

最高出力150psの1.4Lターボエンジンが搭載され、組み合わされるSトロニックは6速となる。JC08モード燃費は17.4km/Lと、他モデルより約5km/Lも高い。

アウディ Q3▲2015年5月のマイナーチェンジでは、2Lエンジンの出力が向上。エクステリアはオプションでフルLEDヘッドライトが装着可能になった
アウディ Q3▲前後バンパーやシングルフレームグリルなどのデザインを変更、よりワイドでシャープかつ力強い印象に

2015年5月には2Lターボエンジンの改良が行われ、170psが180psへ、211psが220psへと最高出力が向上した。同時に低燃費化も図られ、180ps仕様は12.7km/Lから15.0km/Lへ、220ps仕様は12.6km/Lから14.9km/Lへ向上している。

なお、このタイミングで「アウディドライブセレクト」が1.4 TFSIを除く全車に標準装備されたが、路面やドライビング状況に合わせて減衰力を調整する「ダンピングコントロールサスペンション」はオプションとなる。

2017年9月の一部改良では、180ps仕様にリアビューカメラやシートヒーターが標準装備されるなど、装備の充実化が図られると同時に、220ps仕様がラインナップから外れた。

特別仕様車もいくつか登場している。2014年2月には2L 170ps仕様のSラインパッケージをベースとした「Sライン コンペティション」や、2015年2月には1.4L車がベースの「カラーセレクション」、2018年5月には2L 180ps仕様のSラインパッケージをベースとした「Sライン コンペティション」が販売されている。

1.4L車が追加された際の新車車両本体価格は、1.4L車が390万円、2Lの170ps仕様が446万円、同211ps仕様が518万円だ。

新車時の価格差が縮まっているので、目的をハッキリとさせて選ぼう

初代Q3の中古車は原稿執筆時点で185台見つかり、支払総額100万円以下から狙うことができる。

内訳は2Lの170psまたは180ps仕様が77台、211psまたは220ps仕様が48台、1.4L車が60台となる。新車時価格が高く、高出力のため燃費が最も不利だった211ps/220ps仕様が若干少なめだが、3モデルがバランス良く流通していると言えるだろう。

中古車価格は170ps/180ps仕様より211ps/220ps仕様の方がやや高めだが、装備面での差は211ps/220ps仕様はMMIナビゲーションが標準で、タイヤサイズが18インチになるといった程度の違いしかない。

予算重視なら、170ps/180ps仕様狙いで探した方がよさそうだ。


とはいえ、新車時の価格差約70万円は十分縮まっているので、「コンパクトとはいえパワーは欲しい」という人にとっては、211ps/220ps仕様の方がおいしいと言えるだろう。



一方、唯一の2WDで燃費の良い1.4L車は、他の2L・4WDモデルより若干安いが、こちらも新車時の価格差は縮まっている。予算だけで1.4L車を狙うのではなく、2WDと燃費の良さ=街乗り中心という人にオススメだ。

▼検索条件

アウディ Q3(初代)×全国
文/ぴえいる、写真/アウディ、阿部昌也

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。