アウディ A3スポーツバック▲販売期間が短かったこともあり、あまり知名度はないがアウディ A3ハッチバックにもPHEVがラインナップしていたことがある。システム自体はフォルクスワーゲンのeゴルフと同じだ

新車時500万円超のモデルもが、200万円以下から狙える

エンジンにモーターを組み合わせたハイブリッドシステムは、長らくトヨタやホンダの得意分野で、輸入メーカーが採用する例は少なかった。しかし2010年代に入ると、ドイツ勢を中心にハイブリッドモデルが日本にも輸入されるようになってきた。

ただしハイブリッドといっても、輸入メーカーは充電できるハイブリッド、つまりプラグインハイブリッド(PHEV)が多い。輸入車のPHEVの急速充電はコンボ式のため、たいてい日本のチャデモ式急速充電器に対応しないが、100Vや200Vの普通充電には対応している。

一戸建てなら自宅に充電器を設置できるのはもちろん、マンション住まいでも、今や全国のショッピングセンターなどに普通充電器は2万基以上ある。ちなみに全国のガソリンスタンドは約3万軒だから、その数がいかに多いかがわかるだろう。

そもそも、PHEVなら充電しなくてもガソリンで走れるし、また減速やブレーキによる回生機能でバッテリーを充電できるので、電気自動車と違い充電器をあまり気にせず乗ることができるというメリットもある。

ガソリン車やディーゼル車とは違う、モーター車ならではの力強い加速感が魅力で、しかもガソリン車などより燃費も良い。

また、PHEVグレードは上級グレードに位置付けられることが多く、衝突被害軽減ブレーキをはじめとした先進安全運転支援機能など装備も充実している。

その分、新車時は当然価格が高めだったが、輸入PHEV車はあまり注目されていないせいか、中古車が非常にお買い得になっている。

そこで今回は新車時の半値以下の物件が見つかる、輸入車ハッチバックのPHEVを3台紹介しよう。

荷物もたくさん積めるプラグインハイブリッド
BMW 2シリーズアクティブツアラー 225xe(現行型)

BMW 2シリーズアクティブツアラー▲充電ポートは助手席側のフロントタイヤ上。家庭用200V充電で、最大3時間で満充電にできる。バッテリーを後席下に、電気モーターをラゲージ床下に収納し、ラゲージ容量は他の2シリーズアクティブツアラーより少ないが、それでも通常で400L、後席を畳むと1350Lとなる
BMW 2シリーズアクティブツアラー▲他の2シリーズアクティブツアラー同様、仕様の違いで「ラグジュアリー」と「Mスポーツ」の2種類がある。ラゲージ下で足を振るとバックドアが開く機能も標準で備わる(写真はガソリン車)

広い室内空間が魅力のBMW 2シリーズアクティブツアラーのプラグインハイブリッドが、2016年1月に加わった「225xe」だ。

1.5Lターボで前輪を、電気モーターで後輪を駆動させる4WDで、6速ATが組み合わされる。システムトータルの最高出力は165kW、最大トルクは385N・m。125km/hまでEVモード走行が可能で、最長距離は42.4km。0-100km/h加速は6.7秒となかなかの俊足だ。

3つの走行モードがあり、「AUTO eDrive」は電気モーターとガソリンを最適なバランスで使用する。80km/hまではEVモード走行が可能だ。

「MAX eDrive」は125km/hまでEV走行が可能。アクセルを踏み込むとエンジンが始動する。

「SAVE Battery」は、文字どおりバッテリー充電を優先した走行モードとなる。

その他にシフトレバーをM/S側に倒すことで、エンジンの発電によってバッテリーの充電量を最大80%まで増やすことが可能だ。

さらに、エンジンレスポンスやステアリングとトランスミッションの特性を「コンフォート/スポーツ/エコ プロ」の3モードから選べる、ドライビング・パフォーマンス・コントロール機能を装備。

また、スマートフォンを使って周辺の充電ステーションを検索し、ナビに転送したり、スマホから乗車前に車内のエアコンを作動させたりできる機能もある。

デビュー時の車両本体価格は488万~509万円。原稿執筆時点で16台見つかり、本体価格160万円程度から狙える。

▼検索条件

BMW 2シリ―ズアクティブツアラー(初代)×225xe系グレード×全国

ガソリン車よりも低燃費で俊足なのに、ほぼ同額で狙える
アウディ A3スポーツバック eトロン(2代目)

アウディ A3スポーツバック▲充電ポートはフロントのシングルフレームグリルに内蔵されている。家庭用200V充電で、最大3時間で満充電にできる。バッテリーは後席床下に収められ、トランク容量は通常で280L、後席を倒すと1120L。なお市販車には写真のような「eトロン」のデカールは付かない
アウディ A3スポーツバック▲メーター内にシステム全体の出力と、充電を含めた現況を表示。標準装備されているMMIナビゲーションプラスのモニターにもeトロン専用の様々な情報が表示される。また、走行特性や乗り心地を任意に選べるアウディドライブセレクトを標準装備

2015年10月、アウディ初のプラグインハイブリッドモデルが、A3スポーツバックに追加された「eトロン」だ。

同時期の同車に用意されていた1.4Lターボモデル(1.4 TFSI)と同じエンジンに、出力80kWの電気モーターと容量8.7kWのバッテリーを搭載。トランスミッションは6速AT(Sトロニック)が組み合わされた。

EVモードで52.8km走り、130km/hまで出すことができ、0-100km/h加速は7.6秒となかなかの俊足でもある。

基本的にスタート時はEVモードで走行し、ドライバーが大きく踏み込むか、バッテリー容量が一定水準以下になった場合にエンジンが作動する。

走行状況に応じエンジン+電気モーター、あるいはそれぞれが単独で車を駆動させる。ハイブリッド時のJC08モード燃費は23.3km/Lと1.4 TFSIの19.5km/Lよりも良い。シフトモードをSにするとエンジンに電気モーターも加わり最高出力204ps/最大トルク350N・mを発揮する。

ベース車と基本シャシーは同じだが、横滑り防止システムのESCは、eトロンの高い動力性能に合わせて2段階で機能を制限/キャンセルでえきる他、コーナリング性能を高めるトルクベクタリング機能が備わる。

残念ながら販売期間は2018年6月までと3年足らず。ゆえに希少モデルとなった。

デビュー時の車両本体価格は564万円。原稿執筆時点で4台と掲載台数は少なく、時には0台ということも。ただし、いずれも車両本体価格が100万円台のものがほとんどで、ガソリン車の1.4 TFSIとほぼ同額で手に入れることができるというお得さ。

見つけたら早めのアクションが吉と言えよう!

▼検索条件

アウディ A3スポーツバック(2代目)×eトロン系グレード×全国

乗り込む前に車内温度をスマホで調整できる
フォルクスワーゲン ゴルフ GTE(現行型)

フォルクスワーゲン ゴルフ▲充電ポートはフロントグリルの「VW」バッチの裏にある。家庭用200V充電で、最大3時間で満充電にできる。2017年10月の一部改良でEVモードの走行可能距離が45kmに抑えられている
フォルクスワーゲン ゴルフ▲同時期の同車の「GTI」とほぼ同じ高性能(0-100km/hはGTIパフォーマンスが6.4秒、GTEが6.7秒)モデルという位置付けゆえ、GTI同様チェックシート(GTEはブルー基調)が標準、オプションで本革シートが選べる

もうすぐ旧型になるゴルフに、2015年9月に追加されたフォルクスワーゲン初のプラグインハイブリッド「GTE」。

兄弟車である上記アウディ A3スポーツバックのeトロンと同じシステムを搭載している。1.4Lターボ+電気モーターはeトロン同様6速AT(DSG)と組み合わさり、EVモードで53.1km走り、130km/hまで出せる。ハイブリッド時のJC08モード燃費は23.8km/Lとわずかにeトロンより良いが、0-100km/h加速7.6秒は同じだ。

GTE専用のドライビングプロファイル機能が用意されていて、ドライバーは「E(EVモード)/HV(状況に合わせて最適な動力で動くハイブリッドモード)/GTE(電気モーター+エンジンモード)」の3モードから任意に選んで走行できる。

GTEモードでは、アクセルの反応やシフトタイミングなどもスポーティに。また、シフトレバーで「B」レンジを選ぶと回生機能が強化さるため減速が強く、アクセルペダルのみでほぼ走行できる。

EV走行できる距離など、GTE用の情報を見られる専用のSSDナビを標準装備。乗車する前にスマホから車内のエアコンを作動させて快適温度にして乗り込むことができる。

2017年10月の一部改良で、専用ドライビングプロファイル機能が5段階に細分化され、上記3モードの他にバッテリーの充電を重視するモード、充電を最優先するモードが加わった。

デビュー時の車両本体価格は499万円。原稿執筆時点で10台見つかり、車両本体価格約150万円から狙える。2ケタ万円から狙えるガソリン車の1.4L車よりはやや高めだが、上記A3スポーツバック eトロンとほぼ同じ価格で狙える。

▼検索条件

フォルクスワーゲン ゴルフ(現行型)×GTE×全国
文/ぴえいる、写真/アウディ、フォルクスワーゲン、BMW

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。