997型ポルシェ 911 タルガ4にただよう「名品中古車」の濃厚なる予感【NEXT EDGE CAR】
カテゴリー: 特選車
タグ: ポルシェ / 911 / EDGEが効いている / 伊達軍曹
2020/09/04
近未来の名車または名品に、今のうちから注目しておきたい
こちらは8月27日に発売された雑誌、カーセンサーEDGEに掲載された自動車評論家・MJブロンディさんの人気連載「NEXT EDGE CAR」の、担当編集者から見た「別側面」である。アナログレコードで言うB面のようなものと思っていただきたい。
なおNEXT EDGE CARというのは、「今現在はまだ名車扱いされていないが、近い将来、中古車マーケットで“名車または名品”と呼ばれることになるだろうモデルを探そうじゃないか!」というのが、そのおおむねの企画趣旨である。
で、8月27日に発売となったカーセンサーEDGEの同連載で取り上げた中古車は、2007年式のポルシェ 911 タルガ4。走行距離2.7万kmの低走行物件で、カルモナレッドという希少なボディカラーがなかなかイカしている1台だ。
2007年式ということは、ポルシェ 911としては2世代前に相当する「タイプ997」である。2004年から2011年にかけて製造販売された、3.6Lあるいは3.8Lの水冷水平対向6気筒エンジンを搭載した世代だ。
そのビジュアルは最新世代とほぼ似たようなもの?
997型のポルシェ 911が「名車」なのかどうか、筆者は知らない。だが少なくとも、「今後、中古車としてはなかなかの名品になるだろう」とは思っている。
そう考える理由は以下の4つだ。
1. いかにもポルシェ 911らしいビジュアル
それがどんなジャンルであっても、長い歴史を持つプロダクトには「らしさ」が必要だ。「これは○○社の□□である」ということが一瞬で伝わるサムシングが、年々改変されるデザインの中に息づいていなければならない。
そういった意味で、3世代前のポルシェ 911である996型は、主にヘッドライト部分のデザインにおいて「911らしさ」が欠けていたため人気薄となったわけだが、こちら997型は、誰がどう見てもポルシェ 911そのもの。まずはそこにおいて「名品」としての条件を満たしている
2. 最新世代と(素人目には)ほとんど見分けがつかないこと
最新世代の「タイプ992」と呼ばれるポルシェ 911と、2世代前にあたるこの997型では、そのフォルムや細部のデザインはもちろん大きく異なる。
だが「もちろん大きく異なる」と感じるのは筆者や、これをお読みのあなたがカーマニアだからだ。
マニアではない、そこらを歩いている人に992型と997型の写真を10秒間だけ見せて、「先ほどの2つの写真の、違っていた箇所をお答えください」とやっても、9割方の人が「そんなこと言われても、ほとんど同じにしか見えなかったよ!」と激怒することだろう。
そういった意味で――もちろんポルシェ 911を買う主たる理由は「見栄を張るため」ではないわけだが、やはり人間、ぜんぜん見栄を張れないよりは、張れた方がちょっとうれしいという意味で――997型のポルシェ 911というのは「お買い得」なのだ。
なにせ10年落ち以上の中古車なのに、世間的には「新しいポルシェを買ったお金持ちのヒト」として見てくれるのだから。
3. 性能的にも最新世代と比べてほとんど遜色ないということ
こんなことを言ったら、カーマニアは「そんなことない! 最新の992型と997型とじゃぜんぜん違うよ!」と怒りだすだろう。その怒りもわかるつもりだが、それでも「公道を常識的なスピードとマナーで走る限りにおいては、どっちも似たようなモンである」というのが真実に近い。
空冷エンジンだった1980年代あるいは1990年代初頭の911と、現代の最新911とでは、さすがに公道の速度域においても「ずいぶん違う」と感じるものだが、997型と992型を比べるなら「だいたい同じ」とも言えるのだ。
もちろん、サーキットなどで厳密な比較を行えば「ずいぶん違う」となるのは言うまでもないが。
4. それでいてけっこう安いということ
まぁ今回の取材車の場合で言う530万円を「けっこう安い」と言うのも語弊はあるだろうが、それでも、「世界的な名車」であり、「第一級のスポーツカー」で、なおかつ「大事に乗っている限りはリセール価格もそんなに下がらない車」が530万円というのは、「けっこう安い」と評するほかないのだ。
タイプ997の前期型は「エンジン右バンクの6番シリンダー内にキズが生じ、その結果としてエンジンが壊れることがある」という理由で全体の相場が安めになっているわけだが、この「6番シリンダー問題」というのは何も「必ず」発生するわけではない。丁寧に保守されてきた個体を、今後も丁寧に扱うのであれば、そうそう起こるものでもないのだ。
もちろん「絶対に起きない」とは断言はできないのがこの問題の難しいところだが、「過剰にビビる必要はない」というのが筆者の私見である。
要するに997型のポルシェ 911とは、「比較的現実的な予算で購入できる、最新世代の911に比較的近いニュアンスのポルシェである」ということだ。
そうであるがゆえに997型は今後、中古車界の大スター……とまではならないにしても、「まずまずのスター」にはなるだろうとは思うのだ。
そして取材車両は、冒頭付近で申し上げたとおり走行わずか2.7万kmの低走行物件で、カルモナレッドというひとクセある個性的なボディカラーであり、なおかつ超希少な「タルガ」でもある――ということで、「それが530万円ってのは、実はかなり注目に値するのではないか?」と思っている次第だ。
もちろんご判断はお任せするが、気になる方は、各自販売店まで問い合わせ等を行っていただきたい。かなりキレイな1台である。
▼検索条件
ポルシェ 911 タルガ4(タイプ997)×全国自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル XV。
【関連リンク】
この記事で紹介している物件
あわせて読みたい
- 西川淳の「SUV嫌いに効くクスリをください」 ランボルギーニ ウルスの巻
- EVハイパーカーメーカー「リマック」が今熱い!従来のスーパーカーを猛追するクロアチアの新星【INDUSTRY EDGE】
- SUVじゃなくていいじゃない! この夏、「キャンピングGT」に乗ろう!【カーセンサー8月号】
- 【功労車のボヤき】「オペルとは思えないほどイカしてる!」というトホホな褒め言葉に涙した日もあったけど……。オペル一族の逆襲!?
- 【試乗】メルセデス・ベンツ 新型Sクラス│”新時代の車”を堪能できるラグジュアリーセダンの最高峰!
- 植田圭輔さんが、真っ赤なポルシェで緑の中を駆け抜ける!
- ドア開閉音からも分かる卓越したビルドクオリティ、空冷時代だからこそ生きたポルシェの技術力
- 【試乗】新型 フォルクスワーゲン T-Cross│「TさいSUV」はハッチバックよりもどこが欲張りか? 実際に乗って考えた
- 今はもう中古車でしか味わえない高純度FR、国産を代表するミドルセダンのレクサス GS【Back to Sedan】
- 世界で3社しか市販していないレアなFCVの1台、トヨタ MIRAIのドライブフィールに注目! 【EDGE’S Attention】