「車を見に行っても、どこをどう見たらいいのか……」

そんな方々の悩みを解消すべく、実際に販売店で実車を見ながらチェックポイントを解説。これを参考に、気になる車に会いに行こう!
 

三菱 アウトランダーPHEV ▲今回見てきたのは2014年式の前期型(写真左)と2017年式の中期型(写真右)アウトランダーPHEVを見てきた。人気ジャンルのSUVにPHEVを組み合わせたモデルだ

走り、エコ、いざというとき、すべて叶えてくれる万能SUV

アウトランダーPHEVは大容量バッテリーを搭載するプラグインハイブリッド車。

基本はモーターで駆動し、エンジンは発電が中心となるEVライクな走り味が魅力で、ランサーエボリューション譲りの4WDシステムは高い走りのポテンシャルも持つ。

また、アウトドアや「いざというとき」に役立つ100VのAC電源も人気の理由。

プラグインハイブリッドのため外部充電にも対応しているが、エンジンで発電できることから、購入者の約半数が自宅に充電設備を持たないユーザーだという。

流通しているのは100万円台前半~という価格が魅力の前期型と、外観を一新し高級感がアップした中期型が中心。

中古だとバッテリーの劣化が気になるところだが、今回お話を伺ったクリーンカー多摩の轟木店長いわく「バッテリーが消耗してエンジンのかかる頻度が上がってしまう『残存電池量が70%以下』の物件は少ない」そう。

ガソリン車とは異なる注意点やチェックポイントを聞いた。
 

三菱 アウトランダーPHEV

今回見た車

三菱 アウトランダーPHEV(前期型)

「i-MiEV」で培ったEV技術、「ランサーエボリューション」で鍛えた4WD技術、「パジェロ」で築いたSUVのノウハウを結集した画期的な“自分で発電する電気自動車”。充電電力使用時走行距離60.2km(JC08モード)を達成し、日常生活はほぼEV(電気自動車)として使用することができる。
●支払総額/170.5万円(税込)
●年式/2014年式
●走行距離/4.6万km
※2020年7月17日時点の情報

三菱 アウトランダーPHEV

今回見た車

三菱 アウトランダーPHEV(中期型)

フロントデザインが一新されている。LEDのヘッドライト、リアコンビライトが採用されるなど、先進的なイメージを演出。専用形状のバンパーなど各所がボディと同色となり、ガソリンモデルと差別化されている。各部も改良され、操縦安定性や乗り心地、静粛性も向上している。
●支払総額/289万円(税込)
●年式/2017年式
●走行距離/4.9万km
※2020年7月17日時点の情報

PHEVならではの気になるポイントを聞いてみた

ガソリン車と異なり、駆動用のバッテリーを搭載しているPHEV車両。

特別に気をつけたいポイントや、バッテリーに関する疑問を轟木店長に聞いてみた。

Q1
PHEV特有のケアはありますか?

轟木さん
轟木さん

バッテリーの特別なケアはありません。ただ発電が中心となるエンジンはアイドリングという概念がなく、効率の良い回転数でいきなり回るようになっているので、ガソリン車に比べエンジンオイルが汚れやすい傾向にあります。エンジンの使用頻度が少ないからと怠るのは禁物。5000㎞でのオイル交換が推奨です。

Q2
充電に関するサポートやサービスはありますか?

轟木さん
轟木さん

全国の充電器が利用できる「充電カード」があります。登録申し込みは、webもしくは郵送で、発行まで1週間~10日ほどかかります。申し込み時に車体番号とナンバーが必要なため、納車後のお届けとなる可能性が高いのでご注意を。三菱のディーラー系中古車店以外でご購入されても、登録可能です。

Q3
バッテリーを長持ちさせるためのポイントは?

轟木さん
轟木さん

充電方法はディーラーやサービスエリアなどに設置されている急速充電器と、200Vの家庭用電源で普通充電する方法がありますが、急速充電はバッテリーへの負担が大きくなります。普段は普通充電をお使いいただくことでバッテリーの劣化を抑え、バッテリー内部の状態を最適に整える効果も期待できます。

Q4
購入後バッテリーの劣化具合を調べられる?

轟木さん
轟木さん

三菱ディーラーが保有する専用の診断機を使用することで、現在のバッテリーの状態(残存電池量)をチェックすることができます。作業工数が多いため、1泊2日程度のお時間をいただくことが多いです。価格は店舗ごとで異なりますがおおむね7000円弱に設定されています。詳しくは最寄りの販売店へお問い合わせください。

実車で見ておきたいチェックポイント

さて、次に実車で確認したいアウトランダーPHEVのチェックポイントについて聞いてみた。

PHEVモデルならではのポイントや前期のみの注意点などなど。ぜひ中古車を見に行く際の参考にしていただきたい。

CHECK POINT 1
底面にあるマフラーのキズ


床下に駆動用バッテリーが備えられていることから、マフラーが運転席側にオフセットして通っている。

そのため、ガソリン車のアウトランダーに比べてマフラーを地面にこすってしまう可能性が高い。

キャンプなどのアウトドアレジャーに連れ出される率の高い車種だけに、運転席下をのぞき込んで変形や大きなキズがないかを確認しておきたい。
 

三菱 アウトランダーPHEV ▲もしダメージを受け損傷したら交換しなければならない部品で費用もかかるので要チェック

CHECK POINT 2
電動リアゲートのダンパー


一部グレードに装備されている電動リアゲートは、開閉の作動時にリアゲートを支えるダンパーから「ギ―」という異音が発生している場合がある。

これはダンパーの劣化が原因で、さらに症状が進むとリアゲートを支えきれずに閉まってきてしまうことも。

レジャーなどでリアゲートに荷物を積む頻度が高いユーザーは、特にチェックしておきたい点だ。
 

三菱 アウトランダーPHEV ▲実際に動作させて異音を確認し、開けっ放しにしてハッチが下りてこないかしばらく様子を見たい

CHECK POINT 3
【前期モデル限定】テールランプ周辺部の汚れ


クリアテールを採用していた前期モデルでは、テールランプの隙間に汚れが入り込んで茶色に変色した状態になってしまうことがある。

これは不具合ではなく清掃で綺麗になるが、通常の洗車では難しい部分なので、納車前に清掃してもらうようにお願いしておくといいだろう。

中期型以降はカラードとなり改良されているため問題なしだ。
 

三菱 アウトランダーPHEV ▲細かいブラシを用いても通常の洗車では落ちないので気になる場合は販売店に相談を

装備しておきたいイチオシのオプションはコレ

これまたPHEVならではの話だが、装備しておきたいオプションがあると轟木店長が教えてくれた。

快適性能や充電に関する重要かつ、後から装着することのできないオプションなので、購入前に確認しておきたいポイントだ。

オプション装備1
電気温水式ヒーター


メーカーオプション品でぜひとも選んでおきたいのが、電気温水式ヒーター。

通常のヒーターはエンジン熱を利用して温風を出しているため暖房を使うと必ずエンジンが始動してしまうが、これを装着することでエンジンがかかる率を大幅に下げることができる。

装着されているかどうかはエンジンルーム上部中央に金属パイプが通っているかどうかで判断可能。
 

三菱 アウトランダーPHEV ▲エンジンルームをのぞき込み写真のようなパイプが通っていれば電気温水式ヒーター装着車である

オプション装備2
急速充電機能&100V AC電源


前期モデルは急速充電機能がオプションのため、外部の急速充電器を使う予定があるなら充電リッドを確認したい。

また電源を使うなら、100V AC電源が備わっているかも併せてチェック。こちらはラゲージおよびセンターコンソール後部にコンセントがあるかどうかで判別可。

どちらも後付けは不可能なので、確認を忘れずに。
 

三菱 アウトランダーPHEV ▲写真右側の差込口が急速充電用のもの。これの有無で急速充電対応かどうかがわかる
東日本三菱自動車販売クリーンカー多摩

取材協力

東日本三菱自動車販売 クリーンカー多摩

三菱ディーラーの中古車専門店。近隣のみならず遠方からの注文にも対応している。在庫の台数は50台以上と豊富なのも嬉しいポイント。

住所:東京都八王子市松木30-3
電話:042-675-1121

文/小鮒康一(フナタン)、写真/三浦孝明

※雑誌版カーセンサー 2020年10月号(2020年8月20日発売)の記事「気になるクルマに会いに行こう」をWEB用に再構成して掲載しています。

小鮒康一(こぶなこういち)

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小鮒康一(フナタン)

スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車を買ってしまう暴挙に出る。愛車は日産 リーフ、初代パルサー、NAロードスター。