その古さが逆にカッコイイ! 人気再燃中の「カクカク系」SUV5選
2020/07/26
パキッとした平面で構成された、角張ったスタイルは、新鮮&カッコいい!
今売れているSUVといえば全長4m前後のトヨタ ライズ/ダイハツ ロッキー、あるいはもう少し大きいトヨタ C-HR、ホンダ ヴェゼルといった、比較的コンパクトなSUVだろう。
街乗りにも便利なこのサイズのモデル、かつてはハッチバックスタイルが主流だったが、今ではSUVが多くの人気を集めている。
振り返って見れば、クロカン四駆と呼ばれていた時代も、これくらいのサイズの「SUV」があった。
しかも、最近のモデルに見られる曲線を多用した複雑なデザインとは違い、パキッとした平面で構成され角張ったスタイルは、今見ると新鮮でカッコいい。
現に人気が再燃しているモデルも、実は多い。
当時の板金技術では、できることが少なかったのだろう。
けれど、それが逆に「平面を使ってどうやってカッコよく、他車との違いを出すか」という創意工夫が働く理由になったのかもしれない。
今回はそんな平面を多用した「カクカクSUV」を5車種紹介しよう。
なお人気の再燃と、もともと経年ゆえの台数減少もあって、中古車人気が高くなり、年式のわりに価格が高止まりしているモデルが多い。
しかも、今後台数は減ることはあっても増えることは考えにくいため、価格がさらに上がる可能性もある。
もしも気になる中古車を見つけたら、早めの行動が必要だ。
ボディバリエーションが豊富な元祖シティSUV
スズキ エスクード(初代)
初代スズキ エスクードが登場したのは1988年。
バブル経済全盛期で、クロスカントリー4WD(クロカン4WD)を含むRV(レクリエーショナル・ビークル)が人気の時代だ。
当時は三菱 パジェロやいすゞ ビッグホーン、トヨタ ランドクルーザーなど、全長4.5mを超える大きなサイズに3L前後のエンジンを搭載するクロカン4WDが主流だった。
一方で、軽自動車クラスではスズキ ジムニーが人気を集めていた。
その間隙をつくサイズ感で登場したのがエスクードだ。
最初は1.6Lエンジンを積む3ドア(全長約3.6m)で登場。3速ATと5速MTが用意された。
コンセプトは都会派の4WD。オフロードだけでなく、普段の街乗りもこれ1台で、というクロカンだった。
とはいえジムニーを育てたスズキゆえ、ジムニーやランドクルーザー同様ラダーフレーム構造を採用。
4WDシステムは副変速機を備えるパートタイム式と、今どきのSUVより本格的だ。
一部グレードを除いて、4WDに切り替える際にいちいち外に出てホイールをロックしなくていいフリーホイールハブが備えられるなど、街乗り使用にも配慮されている。
1990年8月には1.6Lエンジンの改良とともに、3速から4速ATとなった。
さらに同年9月にホイールベースを伸ばした5ドアモデルの「ノマド」が追加された。
1994年には2L V6エンジンモデルと2Lディーゼルターボモデルが、モデル末期の1996年には2.5L V6モデルも加えられた。
デビュー時の車両本体価格は、136万4000~165万3000円。
原稿執筆時点(2020年7月20日)で4台発見した。うち3台は支払総額100万円以内で狙える。
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スズキ エスクード(初代)×全国現行型とは異なり、見た目も中身も硬派なSUV
ダイハツ ロッキー(初代)
エスクードに続くように1990年に登場したのがダイハツ ロッキーだ。
1997年にいったん生産が終了しているモデルで、2019年に登場し現在人気のロッキーは、名前が同じ(復活)だが関連性は特にない。
ただ、どちらも「若者に向けたカジュアルSUV」という狙いは同じで、初代の方がより本格的なオフローダーだった。
搭載されたエンジンはエスクード同様1.6L。これに当初は5速MTのみだったが、1992年に4速MTモデルも追加された。
カジュアルといってもライバルのエスクード同様、ラダーフレーム構造を採用する本格派。
4WDシステムには、フルタイム式と、エスクードやジムニーのように副変速機を備えたパートタイム式の2種類があった。
しかし、オフロード志向の強いユーザーが多かったのか、手軽なフルタイム式は自然消滅した。
パートタイム式は、4WDに切り替える際にいちいち外に出てホイールをロックしなくていいフリーホイールハブを標準装備している。
エスクードが5ドアのノマドを、トヨタ RAV4も5ドアを追加したが、ロッキーは3ドアのみ。
結局これがあだとなったのか、先述のとおり1997年に生産が終了し、後継モデルが登場することはなかった。
デビュー時の車両本体価格は144万5000~179万8000円。
原稿執筆時点で2台発見し、どちらも支払総額100万円以下だった。
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ダイハツ ロッキー(初代)×全国2代目ジムニーの、無骨な普通車バージョン
スズキ ジムニーシエラ(初代)
軽自動車のジムニーに、軽規格より大きなエンジンを載せ、トレッドを拡大することでオンロードでの走行性能を高めたモデルは、1977年から設定されていた。
ジムニーの輸出モデルをベースとしたもので、初代ジムニーの時は「ジムニー8」、2代目では「ジムニー1000」「ジムニー1300」があり、1988年のエスクードの登場でいったん廃止されたが、1993年にジムニーシエラとして復活した。
シエラのベースは2代目ジムニー(の輸出モデルである「サムライ」)で、1990年の軽自動車規格変更によりジムニーが大きく変わった後のモデルとなる。
搭載されたエンジンは1.3L。当初は5速MTのみだったが、すぐに3速ATが追加された。
もちろん悪路走破に有利なラダーフレーム構造、4WDシステムは副変速機を備えるパートタイム式が採用されている。
1995年にジムニーとともにサスペンション形式が変わり、悪路走破性と乗り心地が改善されている。
その他にもエンジンの改良やフリーホイールハブの採用など、乗用車としての性能が高められている。
これは、同じ時期にデビューした三菱 パジェロミニの人気が影響したと思われる。
モデル末期の1997年には、ジムニーとともに2WD/4WDの切替を走行中でもできる「ドライブアクション4×4」が搭載された。
デビュー時の車両本体価格は137万8000円(5速MT)。
原稿執筆時点で21台見つかり、おおよそ総額100万円前後といったところ。
また、カスタムされている中古車も多いのが特徴だ。
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スズキ ジムニーシエラ(初代)×全国専門店ができるほどブームになっているSUV
日産 ラシーン(初代)
小型セダンであるサニーをベースに、「乗用車感覚で気軽に4WDを楽しめる」をコンセプトに開発されたのがラシーンだ。
上記3台と違い、ボディ構造はサニー(乗用車)と同じモノコックで、4WDシステムはサニーと同じフルタイム4WD。
つまり雪道などでは安心して走れるといった、いわゆる生活四駆だ。
そのため他の4台と比べると悪路走破性は高くないが、その代わりオンロードで快適な乗り心地を提供してくれる。
生活四駆といってもスキーにも出かけられるし、砂場だって脱出できる。
最低地上高は170mmとそこそこあるので、大きな岩がゴロゴロ転がっているようなキャンプ地でもない限り、ラシーンで十分出かけられるはずだ。
当時はそのコンセプトがあまり理解されず、結局1代限りで終わってしまったが、再評価された今ではラシーン専門店もあるほど人気となっている。
搭載されたエンジンは当初1.5Lのみ。これに4速ATが組み合わされた。
その後1.8Lモデルや2Lモデルが追加され、2Lモデルは5速MTも用意された。
全高が1450mm(ルーフレールの備わるタイプIIとIIIは1515mm)とSUVとしてはかなり低いが、意外と室内は広い。
大型サンルーフが用意されていた他、オプションで脱着可能なテレビもあった。
デビュー時の車両本体価格は157万~219万8000円。
原稿執筆時点で121台と台数が多く選びやすい。価格は支払総額35万~180万円と幅が広い。
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日産 ラシーン(初代)×全国パジェロミニの普通車バージョンはオン/オフとも得意
三菱 パジェロジュニア(初代)
当時の三菱の大ヒット作「パジェロ」を、軽自動車サイズに縮小したようなパジェロミニが1994年にデビュー。
翌年の1995年にはパジェロミニに軽規格より大きなエンジンを載せ、トレッドを拡大することでオンロードでの走行性能を高めたパジェロジュニアが登場する。
軽自動車のパジェロミニは、乗用車が用いるモノコックボディに、クロカン4WDが多く採用するラダーフレームをビルトインする凝った構造を採用。
1999年に登場した3代目パジェロも、それまでのラダーフレーム構造から、同じようなビルトイン構造を採用している。
乗用車とクロカン4WDのいいとこ取りを狙ったもので、当然パジェロミニをベースとしたジュニアも、このメリットを生かした「街乗り4WD」となる。
むしろ、排気量の余裕やワイドトレッド化によって、乗り心地や走行性能はパジェロミニよりもアップしている。
搭載されたエンジンは1.1L。これに3速ATまたは5速MTが組み合わされた。
副変速機を備えるパートタイム4WDだが、(パジェロミニ同様)イージーセレクト4WDシステムを採用。
これは、80km/h以内なら走行中でも副変速機の操作のみで2WD/4WDを切り替えられるというもの。
街乗りが中心だけど悪路も走りたいという人にピッタリだ。
販売期間は3年未満と短命だったが、代わりに1.8Lエンジンを搭載した後継モデル「パジェロイオ」が1998年に登場している。
デビュー時の車両本体価格は134万~162万5000円。
原稿執筆時点で15台見つかり、ほとんどが支払総額100万円以内で狙える。
ただし、モデル末期に追加されたクラシックカー風カスタムカーの「フライングパグ」が半数を占めているので、純粋なカクカク系は7台となる。
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三菱 パジェロジュニア(初代)×全国ライター
ぴえいる
『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。
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