フォルクスワーゲン up!▲フォルクスワーゲンの衝突被害軽減ブレーキ、シティエマージェンシーは30km/h以下で作動する。ポロ、ゴルフ、パサートは30km/h以上でも衝突の危険を検知すると警告、それでも回避操作を行わないと減速する「フロントアシストプラス」が備わる

衝突被害軽減ブレーキは2009年から装備されるようになった

2009年に旧型ボルボ XC60が、日本で最初に自動停止を含む衝突被害軽減ブレーキ搭載車として認可されると、せきを切ったように同ブレーキを搭載する輸入車メーカーが続いた。

今回フォーカスするフォルクスワーゲンもそのひとつだ。

同社で日本初の搭載車となったのは、パサートCC。2011年のマイナーチェンジの際、30km/h未満で走行中に作動するシティエマージェンシー機能が追加された(V6 4モーションに標準装備、2.0TSIにオプション)。

モデルサイクルの途中で追加されたこともあり、残念ながら同機能を搭載したパサートCCは現在中古車としてほとんど流通していない。

その後も、フルモデルチェンジやニューモデル投入のたびに、次々と衝突被害軽減ブレーキ搭載車を増やしていく。

やがてその技術は自動運転技術へと進化し、現在同社のレベル2(ステアリング操作と加減速を車がサポート)の運転支援技術搭載車はゴルフシリーズ、パサートシリーズ、アルテオン、ティグアン、ゴルフトゥーランへと増えている。

そんな中から、今回は比較的お手頃な支払総額150万円以下で、5台以上の物件が見つかるモデルを紹介しよう。

どれも安全水準が高いだけではなく、フォルクスワーゲンらしい質実剛健さをもっているモデルばかりだ。

なお、衝突被害軽減ブレーキ機能は日進月歩の技術であるため、一部改良などで新機能を追加することが多い。それらの差を見極めながら、購入を検討するようにしよう。

また、衝突被害軽減ブレーキが備わっているからといって過信は禁物……というのは言うまでもない。

スモールサイズでも衝突被害軽減ブレーキを標準装備
フォルクスワーゲン up!/cross up!(現行型)

フォルクスワーゲン up!▲写真はup!。衝突被害軽減ブレーキだけでなく、横滑り防止機能はサイドエアバッグなどクラストップレベルの安全機能を備えている。乗車定員は4名
フォルクスワーゲン cross up!▲写真はcross up!。up!と同様の安全機能を備える。最低地上高をup!より10mm高め、専用フロントバンパーやルーフレールを装備。up!シリーズとしては最大の16インチアルミホイールを履く

2012年デビュー時から、全車にシティエマンジェーシーブレーキが搭載されたup!。全長3545mmと軽自動車並みのスモールサイズとしては、初めての全車標準装備となった。

また、同社の基幹モデルであるゴルフよりも先に搭載されたことになる。

2015年に登場したcross up!も最初から同ブレーキが全車に採用された他、後に追加されたスポーツモデルのGTIにも標準装備されている。

同ブレーキは5km/h~30km/h未満で作動するシステムで、30km/h以上での減速機能はない。

デビュー後約8年たつが、衝突被害軽減ブレーキ機能に関しては現在までデビュー時と変わらない。

1Lエンジンにクラッチペダルのない5速MT(AT免許でOK)が組み合わされるのはデビュー時から変わっていないが、2015年6月にアイドリングストップ機能が追加され燃費が向上している(cross up!はデビュー時から装備)。

また、2017年4月からオートライトやレインセンサーを全車に標準装備した。

軽自動車とほぼ同じサイズだけど、ボディのしっかり感や走行時の安定感、排気量+約340ccの余裕などを感じられる。

デビュー時の車両本体価格は149万~183万円。

原稿執筆時点(2020年5月14日)で総額150万円以下の中古車は、up!が300台以上、cross up!は約30台見つかり、ボディカラーやグレードなどにこだわりがあっても見つけやすい状態と言えそうだ。

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フォルクスワーゲン up!(現行型)×全国

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フォルクスワーゲン cross up!(現行型)×全国

さすがは世界基準! デビュー時から先進安全機能が充実
フォルクスワーゲン ゴルフ/ゴルフヴァリアント/ゴルフオールトラック(現行型)

フォルクスワーゲン ゴルフ▲デビュー時に用意されたグレードは1.2Lターボ×7速ATのTSIトレンドラインとTSIコンフォートライン、1.4Lターボ×7速ATのTSIハイライン。GTI(2Lターボ×6速ATまたは6速MT)や4WDの最強グレードR(2Lターボ×6速ATまたは6速MT)にも衝突被害軽減ブレーキが搭載された
フォルクスワーゲン ゴルフヴァリアント▲ゴルフヴァリアント。通常で650Lあるラゲージを備える。2Lターボ×6速AT×4WDのRも用意された
フォルクスワーゲン ゴルフオールトラック▲ゴルフヴァリアントと比べ最低地上高が25mm高く、専用バンパーなどを備えたゴルフシリーズ初のSUVモデル、ゴルフオールトラック。駆動方式は4WD。1.8Lターボ×7速ATのみとなる

歴代このクラスの世界基準車と言われ続けてきたゴルフ

現行型が2013年4月にデビューした際にも、旧型に比べ大きく安全性の水準を上げてきた。

30km/h未満から作動するup!のシティエマージェンシーブレーキに加え、30km/h以上でも衝突の危険が予測される際には警告音を発し、それでもドライバーが回避操作を行わない場合には自動で車を減速させる「フロントアシストプラス」を全車標準装備したのだ。

さらに、万が一衝突等した後に自動で10km/h以下まで減速して2次衝突被害リスクを軽減する機能や、ドライバー疲労検知システムも標準で備えた。

その他、高速走行時に先方車を自動追従する「ACC(アダプティブクルーズコントロール)」や、ウインカーを出さずに車線をまたごうとすると、走行している車線に押しとどめるようステアリングを補正する「LKA(レーンキープアシストシステム)」も用意されている。

2014年1月に投入されたゴルフヴァリアントや、2015年7月に登場したゴルフオールトラックも同様の先進安全機能が備えられた。

2016年には、ゴルフとゴルフヴァリアントのLKAを備えるグレードが増えたり、最上級グレードのTSIハイラインには、後退時の衝突被害軽減ブレーキが追加されるなど安全装備の拡充が図られた。

また、2017年5月の一部改良ではアダプティブクルーズコントロールに渋滞追従機能が備わるなど、常に安全性の水準が上がっている。

デビュー時の車両本体価格は249万~299万円。

原稿執筆時点では、支払総額150万円以下でゴルフは400台以上、ゴルフヴァリアントは150台以上見つかり、どちらも100万円以下から探すことができる。

なお、ゴルフオールトラックは、最近人気のあるクロスオーバタイプということもあり、上記2台に比べて価格は高めだ。

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フォルクスワーゲン ゴルフ(現行型)×全国

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フォルクスワーゲン ゴルフヴァリアント(現行型)×全国

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フォルクスワーゲン ゴルフオールトラック(現行型)×全国

2014年のマイナーチェンジでゴルフ同様の安全機能を装備
フォルクスワーゲン ポロ(3代目)/クロスポロ(初代)

フォルクスワーゲン ポロ▲2016年にエントリーグレードのトレンドラインが追加されたが、最廉価モデルとはいえ他グレードと同様の先進安全機能を備えている
フォルクスワーゲン クロスポロ▲ポロより最低地上高を15mm高め、専用ルーフレールや専用プロテクターを備えたクロスポロ

ゴルフの弟分とはいえ、2009年に登場した旧型・3代目ポロは初代ゴルフより大きい。

それでも全長4000mm以下、全幅も1700mm以下に抑えられていて、街乗り中心でもしっかりとした乗り心地を求める多くのユーザーに支持を得ている。

そんな旧型ポロは、2014年8月のマイナーチェンジで衝突被害軽減ブレーキを搭載。

同時に備えられた先進安全機能は、2013年にデビューしたゴルフと同じ内容になる。また、ポロとして初となるリアビューカメラも同時に採用された。

マイナーチェンジ当初は、1.2Lターボ×7速ATのTSIコンフォートラインとTSIコンフォートラインアップグレードパッケージ(後にTSIハイラインと名称を変更)のみだったが、その後に投入されたブルーGT(1.4Lターボ×7速AT)や、車高を高めたSUVルックのクロスポロ(1.2Lターボ×7速AT)、さらに特別仕様車などに搭載された。

なお、スポーツモデルのGTI(1.8Lターボ×7速ATまたは6速MT)には、万が一衝突等した後に自動で10km/h以下まで減速して2次衝突被害リスクを軽減する機能は備わったが、衝突被害軽減ブレーキは搭載されていないので注意が必要だ。

2014年のマイナーチェンジ時の車両本体価格はポロが223万9000円~、クロスポロは275万円。

原稿執筆時点で衝突被害軽減ブレーキを搭載したポロは約280台、クロスポロは15台ほど見つかった。いずれも支払総額100万円以下から探すことができる。

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フォルクスワーゲン ポロ(3代目)××衝突被害軽減ブレーキ付き×全国

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フォルクスワーゲン クロスポロ(2代目)×衝突被害軽減ブレーキ付き×全国

フラッグシップらしく先進安全機能を全車標準装備
フォルクスワーゲン パサート/パサートヴァリアント(現行型)

フォルクスワーゲン パサート▲セダンのトランク容量は586L、ヴァリアントは650Lといずれもミドルクラスサイズではトップ(デビュー時)。室内だけでなくラゲージも広い
フォルクスワーゲン パサートヴァリアント▲キーを持ったままリアバンパー下にあるセンサーを足で反応させると、テールゲート(セダンはトランク)が自動で開く

フォルクスワーゲンの日本におけるフラッグシップがパサートだ。

ゴルフよりひと回り大きいが、搭載されるエンジンは1.4Lターボ。これに7速ATが組み合わさり、燃費は2015年のデビュー時でクラストップとなる20.4km/L(JC08モード)を実現した。

ボディタイプは、セダンとステーションワゴン(ヴァリアント)がある。

デビュー時から全車に先進安全機能を標準装備。衝突被害軽減ブレーキやレーンチェンジアシスト、渋滞時追従システム、万が一衝突した際に自動で減速して2次衝突被害リスクを軽減する機能などを備える。

2016年11月のマイナーチェンジでは、従来一部グレードでオプションだったLEDヘッドライトが全車標準装備に。

加えて、TSIエレガンスライン(従来のコンフォートラインから名称を変更)はアルカンターラ&レザーシートが標準で備わり、TSIハイラインにはオプションで駐車支援システムやアラウンドビューモニターなどをセットにした、テクノロジーパッケージが用意された。

なお、2018年に追加されたパサートオールトラック(パサートの最低地上高を高め4WDを搭載したクロスオーバー)も同様の安全装備を備えるが、原稿執筆時点で150万円以下では見つからなかった。

デビュー時の車両本体価格はセダンが329万~460万9800円、ヴァリアントが348万9900~480万9700円。

セダン、ヴァリアントとも、原稿執筆時点で150万円以下はそれぞれ数台ずつ見つけることができた。

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フォルクスワーゲン パサートヴァリアント(現行型)×全国
文/ぴえいる、写真/フォルクスワーゲン

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。