アウディA7 スポーツバック▲丸目モデルの代表ともいえるミニシリーズ。老若男女問わず人気がある

古典的で、可愛すぎないサイズの丸目をした個性派

製造技術の進化もあって、最近は複雑な形状をしたヘッドライトを備えた車が多い。

もちろんそれはそれでカッコいいんだけれど、古典的で、どこか愛嬌のある、丸い形のヘッドライトをもつ、丸目の車もやっぱり味がある。

最近で言えば、スズキ ジムニー/ジムニーシエラなんて、初代のイメージ喚起にも一役買っている。

丸目ライトは、特に軽自動車に採用されていることが多い。

現行型だけに絞っても、スズキはジムニーをはじめハスラーやアルトラパン、ダイハツではキャストや、ミラトコットなど多くのモデルに丸目を採用している。

そんな丸目の軽自動車たちは、やはりその可愛らしい見た目ゆえ女性からの支持が高いようだ。

しかし、一方で「クラシカルな見た目には引かれるが、ちょっと可愛すぎる……」と感じる人が、男性を中心に多いのも事実。

そこで今回は、丸目だけれど軽自動車ではないため、古典的で愛嬌はありつつも「可愛すぎない」モデルを紹介しよう。

中でも支払総額150万円以下から狙えて、まだまだ現役バリバリの2010年式以降の物件が見つかるモデルを集めてみたので、早速見ていこう。

ハスラーよりひと回り大きいから、遠出のキャンプもOK!
スズキ クロスビー(現行型)

スズキ クロスビー▲衝突被害軽減ブレーキや前後誤発進抑制機能など先進安全技術は上級グレードのMZに標準で、MXはオプションとなる。LEDヘッドランプもMZに標準で、MXはオプションだ
スズキ クロスビー▲対応ナビゲーションを装着した場合、自車をモニター上で俯瞰で見れることで駐車をサポートする機能が備わる。ラゲージは防汚タイプで汚れても水拭きできる。またラゲージ側から後席を倒してフルフラットにすることも簡単だ

クロスビーはパッと見、軽自動車の旧型ハスラーと同じように見えるが、実はプラットフォームが違う。

ワゴンRなど他の軽自動車と共通のプラットフォームを使うハスラーに対し、クロスビーはひと回り大きいイグニスやソリオと同じプラットフォームを採用している。

単に、ハスラーに1Lエンジンを搭載しただけのモデルではないのだ。

実際サイズは全長3760mm(旧型ハスラーは3395mm)×全幅1670mm(同1475mm)全高1705mm(同1665mm)と、ハスラーよりひと回り大きいため、見た目的に迫力がある室内は広い。

1Lターボ+モーターのマイルドハイブリッドシステムに6速ATが組み合わされ、ハスラーの660cc×CVTとは動力性能も大きく異なる。

一方でハスラー同様、SUVらしい悪路での走破性は高い。

最低地上高は180mmと高く、4WD車にはぬかるみや滑りやすい路面で発進をサポートしてくれるグリップコントロールや、急な下り坂で車速を約7km/hで維持してくれるヒルディセントコントロールなどが備わる。

つまりハスラーのような愛着の湧く見た目で、街乗りしやすいサイズが欲しくて、キャンプなどでよく遠出するからよりハイパワーな相棒が欲しい、という人に向いている。

デビュー時の車両本体価格は176万5800円~214万5960円。

原稿執筆時時点(2020年4月22日)では、修復歴なしで走行距離5万km未満の物件が150万円あたりから狙える。

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スズキ クロスビー(初代)×全国

華麗なるミニ一族! 5つのボディバリエーションから選べる
ミニ ミニ(2代目)/ミニクラブマン(初代)/ミニコンバーチブル(2代目)/ミニクーペ(初代)/ミニロードスター(初代)

ミニ ミニ▲2007年2月に登場したミニ。デビュー時の車両本体価格は218万~363万円。現行型と違い、クラシックミニ同様3ドアのみとなる
ミニ ミニクラブマン▲2007年10月に登場したミニクラブマン。デビュー時の車両本体価格は274万~414万円。バックドアと運転席側のドアは観音開きとなる
ミニ ミニコンバーチブル▲2009年4月に登場したミニコンバーチブル。デビュー時の車両本体価格は299万~414万円。電動ソフトトップは15秒で開閉する。ルーフを開けると自動でエアコンが専用モードに切り替わる
ミニ ミニクーペ▲2011年9月に登場したミニクーペ。デビュー時の車両本体価格は297万~426万円。ハッチバックより50mm背が低く、フロントウインドウも寝ている。2人乗りのためラゲージスペースはハッチバックより広い

クラシック ミニの面影をそのままに、BMWが現代にリモデルしたのが2002年以降に生産されたミニシリーズだ。当然、特徴的な丸い目も受け継いでいる。

BMW版ミニはバリエーションも多く、特に今回の条件に当てはまるのはハッチバックのミニ(2代目)とステーションワゴンのミニクラブマン(初代)、4人乗りオープンカーのミニコンバーチブル(2代目)、2人乗りのミニクーペ(初代)、2人乗りオープンカーのミニロードスター(初代)と5モデルもある。

搭載されるエンジンは1.4L(ワン)、1.6L(クーパー)、1.6Lターボ(クーパーS)、1.6Lターボのハイチューン版(ジョン・クーパー・ワークス)。

なお、ワンはハッチバックのみに設定されている他、2010年4月の一部改良で1.6Lとなったが、同じ排気量のクーパーよりも最高出力/最大トルクは低い。いずれも6速MTまたは6速ATが用意されている。

ミニコンバーチブルやミニクーペ、ミニロードスターは、クラシック ミニにはなかったボディバリエーションだ。

いずれもゴーカート感覚などの「ミニらしさ」を楽しめるだけでなく、コンバーチブルやロードスターならオープンカーならではの爽快感が味わえる。

また、ミニクーペはよりスポーティ感があるのが特徴だ。

各モデルにはサーキットでも楽しめるハイパフォーマンス版のジョン・クーパー・ワークスもある他、特別仕様車もいくつか出ているので、他人とはひと味違う丸目のミニを楽しみやすいだろう。

原稿執筆時点でハッチバックのミニなら支払総額30万円以下、ミニクラブマンは同40万円以下、ミニコンバーチブルとミニクーペは100万円以下から狙うことができる。

なお、ミニロードスターはやや高めで、総額170万円からとなる。

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ミニ ミニ(2代目)/ミニクラブマン(初代)/ミニコンバーチブル(2代目)/ミニクーペ(初代)/ミニロードスター(初代)×全国

ロングセラーゆえ、70モデル以上ある特別仕様車から選ぶのも楽しい
フィアット 500/500C(現行型)

フィアット 500▲2016年11月に初のマイナーチェンジが行われたが、大きなデザイン変更はなかった。写真はマイナーチェンジ前に120台限定で販売されたヴィンテージ。ヌォーヴァへのオマージュとして仕立てられた特別仕様車だ
フィアット 500▲ステアリング正面に大きな丸型メーターは、ヌォーヴァをほうふつさせるアイテム。ただしメーター内にはマルチファンクションディスプレイが備わる。写真は高級家具で有名なポルトローナ・フラウ社製の本革を使用したシートを備えたヴィンテージ

60年以上も前、1957年に登場したヌォーヴァ500(チンクエチェント)は、イタリア人にとっての戦後の国民車だ。

日本でもアニメや映画などですっかりお馴染みになった。現行型は2008年2月にデビュー。

ヌォーヴァをほうふつさせる、愛くるしいスタイルによってすぐに世界中で愛される名車となった。

中でも丸目はそのイメージ喚起に大きく貢献したはずだ。そんな現行型も気づけば10年以上販売されている。

間もなく電気自動車になって新型が登場する予定だが、目元は丸系ではあるが人気テレビ番組のキャラクター、チコちゃんのように、少しにらむようなイメージらしい。

現行型のボディタイプはハッチバックの500の他に、ルーフ前端からリアウインドウ下端までソフトトップが開く、スライディングルーフを備えた500Cがある。

搭載するエンジンは当初は1.2L直4のみで、すぐに1.4L直4が加わった。しかし1.4Lはいつしかラインナップから外れ、それと入れ替わるように2010年7月に2気筒(ヌォーヴァと同じ気筒数)875ccツインエアが追加された。

トランスミッションはAT免許で乗れる2ペダルの5速MTと、3ペダルの5速MTの2種類。

日本で最初に販売された際の1.2 8V ラウンジの車両本体価格は225万円。

中古では500が支払総額40万円以下から、カブリオレの500Cも同60万円以下から見つかる。

10年以上の間に特別仕様車が70台以上も発売されているだけに、自分だけのお気に入りのチンクエチェントを探してみるのも楽しいはず。

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丸目だけでなく、フォルムも初代を継承した現代のカブトムシ
フォルクスワーゲン ザ・ビートル(初代)

フォルクスワーゲン ザ・ビートル▲全長4278mm(ニュービートル+152mm)×全幅1808mm(同+84mm)×全高1486mm(同−12mm)。リアセクションは初代タイプ1のフォルムをなぞっているという
フォルクスワーゲン ザ・ビートル▲グローブボックスは、初代タイプ1と同じく、上に向かってフタが開く。ニュービートルで人気だった一輪挿し用アイテムはオプションで用意された

誰もが知っている名車「ビートル」。正式にはフォルクスワーゲン タイプ1というのだけれど、アメリカで授けられた愛称「ビートル(カブトムシなどの甲虫類)」の方が有名に。

1999年にはその名もズバリ「ニュービートル」という、新生代のカブトムシが誕生。そして今回紹介するザ・ビートルは、その後継モデルだ。

いずれも丸目はもちろん、初代タイプ1の丸っこいフォルムも継承している。

ニュービートルではそのフォルムを半円を用いて抽象的に表現したが、ザ・ビートルは初代のフォルムを現代の車としてデザインし直した。

その分ニュービートルのファニーな感じが消えたことで、女子ウケが減ったらしい。


ザ・ビートルは2012年に登場。品質面の世界基準とうたわれるゴルフ(6代目)がベースで、ニュービートルと比べて居住性もちゃんと設計されている。

デビュー時は1.2Lターボ×7速ATを搭載。2013年には2Lターボ×6速ATが追加された。

2016年9月にマイナーチェンジが行われたが、パワートレインに変更はない。さらに同年11月には1.4Lターボ×7速ATが加わった。

デビュー時の車両本体価格は250万~303万円。原稿執筆時点で支払総額70万円以下から見つかる。

500(チンクエチェント)ほどではないが、それでも特別仕様車が20モデル以上あるので、ボディカラーや装備の違いにも注目しながら選ぼう。

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ジープ属を示す丸目+7本スリットと、カクカクしたボディが魅力
ジープ パトリオット(初代)

ジープ パトリオット▲全長4420mm×全幅1810mm×全高1665mm。当時の三菱自動車とダイムラー・クライスラーが共同開発した乗用車用のプラットフォームを使用している
ジープ パトリオット▲上級グレードのリミテッドには本革シートやプレミアムオーディオが備わる。一方、ベーシックグレードのスポーツには汚れのつきにくいシート生地が用いられている。2009年3月のマイナーチェンジで、インテリアが曲線基調に変更された

第2次世界大戦で活躍したジープの直系であるラングラー同様、丸目ライトに7本の縦スリットの入った、伝統の顔を備えたパトリオット。

カクカクとしたフォルムも、初代チェロキーを思わせる。当時のチェロキーより小さいが、サイズ的にはラングラーの方が小さい。

とはいえ「普段の街乗りを考えたSUV」としては、当時のジープブランドでは最もコンパクトなサイズだ。

全長4420mmは現行型スバル XVとほぼ同じサイズ。そこに2.4Lエンジンを搭載する。組み合わされるトランスミッションは日本のジヤトコ製CVTだ。

4WDシステムはフリーダムドライブ Iと呼ばれるもので、通常は前輪で走るがスリップを感知すると後輪へも駆動力を伝えるタイプ。

スイッチを押せば常時4WDにできローレンジモードも備える、オフロードパッケージがオプションで用意されていた。

2012年モデルから2Lエンジンを搭載し、ジープブランドで最初となるFFモデルが追加されたが、2013年5月、前年に登場したコンパスと入れ替わるように販売が終了した。

デビュー時の車両本体価格は294万~329万7000円。

原稿執筆時点で支払総額70万円以下から見つけられる。走行距離5万km未満でも、総額150万円以下から探せる。

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文/ぴえいる、写真/ミニ、スズキ、FCA、フォルクスワーゲン

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。