日産 フェアレディZ▲エコが正義な世の中で300馬力&300N・m以上にこだわれるなんて、もしかしたら今のうち!? 手が届くようになってきた今こそ狙いたい

やっと280ps以上になったと思ったら、省エネが当たり前の時代に

プロ野球でトリプルスリーといえば「打率3割・30本塁打・30盗塁」以上の成績のことで、長い歴史の中でもわずか10人しか達成していない偉業だ。

それに対し、中古車のトリプルスリー「最高出力300馬力以上・最大トルク300N・m以上・中古車価格300万円以下」だって、中古車フリークのボクらにとっては、同じくらいすごいことなんじゃないだろうか。

なにしろ長年国産メーカーは最高出力を自主的に280psまでにとどめていたため、あんなに速かったR32型スカイラインGT-Rや、スーパーカーみたいなスタイルの初代ホンダ NSXですら280psだ。

当時は280psの壁が破られる日をいまかいまかと夢見ていた。

結局2004年のホンダ レジェンドが最初に300psを記録、後に続く車も現れたが……ときすでに遅し。

その頃はもう世の中はハイブリッドカーであふれ、輸入車ではダウンサイジングターボが人気を集めていた。

今じゃ電気自動車時代の足音がハッキリ聞こえてくるようになった。それくらい低燃費・環境性能が重視されている今、300馬力&300N・m以上って必要なのか? 狭い日本、その性能をどこで引き出すのか? 

それでも心の中で「速さはロマンだ!」と叫ばずにはいられない。

同じように、300馬力&300N・m以上に魅力を感じている人は少なからずいると思う。

一方で大パワーエンジン搭載車は得てしてお値段が高く、なかなか手が届かなかったけれど、今なら300万円以下で十分見つけられるようになってきた。

そんな最高出力300ps以上・最大トルク300N・m以上とハイスペックながら中古車なら300万円以下で買える……今回はそんなボクらのトリプルスリーの中から国産クーペモデルを調べてみると、2モデルが見つかったので紹介しよう。

どちらも日産車だが、それぞれ性格の異なるモデルだ。ぜひハイパワーエンジン搭載モデルでロマンを感じてみてほしい。

余裕ある大人のロングツーリングが似合う
日産 スカイラインクーペ(V36型)

日産 スカイラインクーペ▲北米ではインフィニティG37クーペとして日本より早く販売された。セダンより低くて幅広いスタイルだ。2008年12月の一部改良で、小キズが付きにくい同社独自のスクラッチシールドがボディ塗装に採用されている
日産 スカイラインクーペ▲インテリアには本木目パネル(オプション)や本アルミパネルが設定された他、マグネシウム製のパドルシフトやアナログ時計を備え、黒と茶色の本革シートも用意されるなど、高級感のあるインテリアが採用されている

最高出力333ps/最大トルク363N・mを発揮する3.7LのV6自然吸気エンジンを搭載。

アクセルペダルの踏み込み量に応じて吸気バブルの作動角とリフト量を可変制御し、エンジンをハイレスポンス・高出力化するVVELを搭載する。また、最大トルクの90%を2400~7000回転域という広範囲で発揮してくれる。

2007年のデビュー時に組み合わされたのは5速ATだが、翌2008年12月には7速ATに切り替えられ、よりスムーズな加速が味わえるようになった。

またタイプSとタイプSPには、マニュアルでもこのV6自然吸気エンジンを楽しめるように6速MTモデルが用意された。 さらに同グレードには、車速に応じて前後タイヤの切れ角を自動で調整する4輪アクティブステア(4WAS)を標準装備。

中低速でのコーナリングでは狙ったとおりのラインでスムーズに曲がり、高速走行時は安定した車線変更を行うことができる。

ゆったりと高速クルージングを楽しめ、快適なドライブの時間を送れるスカイラインクーペは、まさに大人のクーペと言えるだろう。

デビュー時の車両本体価格は369万6000~447万3000円。

原稿執筆時点で130台以上見つかったが、そのほとんどの中古車が支払総額300万円以内で見つかり、走行距離5万km未満も40台近くある。

上位グレードでも十分手が届くため、トリプルスリーの中では狙い目と言えるだろう。

▼検索条件

日産 スカイラインクーペ(V36型)×全国

よりスパルタンなバージョンニスモも射程圏内
日産 フェアレディZ(Z34・現行型)

日産 フェアレディZ▲安全性向上と装備の充実を図ると+100kgだが、徹底的な軽量化でその分を相殺。結果、パワーウエイトレシオは旧型の4.7kg/psから4.4kg/psへ向上した。またパワートレイン搭載位置を旧型より15mm下げるなど低重心化が図られた
日産 フェアレディZ▲バージョンTとバージョンSTは本革+スエード調ファブリックシートで、オレンジ/ブラック/グレーの3色が用意された。またフェアレディZ伝統の3連メーター(時計・電圧計・油温計)が備えられている

スカイラインクーペの1年後、2008年に登場した日産 フェアレディZもまた、VVELを搭載した3.7LのV6自然吸気エンジンを搭載した。

最高出力336ps/最大トルク365N・mや最大トルクの90%を2400~7000回転域という広範囲で発揮し、組み合わされるトランスミッションが7速ATする点も同じだ。

ただし、フェアレディZには世界初となるシンクロレブコントロール付6速MTも用意された。

これはシフトダウン時に自動でエンジン回転数を合わせてくれるもので、ヒール&トーをしなくてもスポーティな走りが楽しめるというものだ。

ホイールベースを旧型と比べて100mm短くするなどしてハンドリングの向上を図り、グランドツーリングカー的なスカイラインクーペに対して、スポーツカーとしての走りに徹底的にこだわられたモデルだ。

また2009年にはノーマル+19psにチューンされ、ヤマハ製ダンパーなどを備えたスパルタンモデル、『バージョンニスモ』を追加。

2012年7月のマイナーチェンジでは、ユーロチューンドサスペンションの採用などにより走りの性能がさらに向上。

そして2014年にはリアサスペンションが改良され、日常での乗り心地を向上させるなど、登場以来常に進化を続けているモデルだ。

デビュー時の車両本体価格は362万2500~446万2500円。

現在も新車で買えることもあり、原稿執筆時の中古車台数は比較的多い325台で、そのうち支払総額300万円以内で狙えるのは半数以上の約250台もある。

2012年のマイナーチェンジ前のモデルなら、バージョンニスモもギリギリ狙えるため、よりスポーティな走りを求めるならぜひ探してみてほしい。

また、登場初期型や走行距離が多めのものなら総額100万円以内で狙えるのもうれしい。

▼検索条件

日産 フェアレディZ(Z34・現行型)×全国
文/ぴえいる、写真/日産、篠原晃一

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はフィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。