ジャガー Fタイプ▲デビュー直前となる2013年の東京モーターショーには、発表前のジャガー Fタイプクーペ(写真)や、レクサス RCが飾られていた。BMWもi8を先行展示、メルセデス・ベンツもSクラスクーペをコンセプトカーとして参考出品するなど2014年直前からクーペ大豊作の予兆があった

実はクーペが豊作だった2014年

車検前のタイミング、つまり新車登録時から3年後・5年後・7年後……に中古車物件が増えることが多い。

中古車を探す側としては、なるべく高品質の中古車を安く買いたいと思うはず。

そこで、今回ベストバランスとしてオススメしたいのが5年落ち物件だ。

今から約5年前の2014年に登場したモデルの中から、今回はクーペを紹介しよう。

例えば、90年代だけ見てもスカイラインやスープラ、RX-7……など、かつては数え切れないほどクーペスタイルのスポーツカーが人気だった日本。

しかし、今では軽自動車やSUV、ミニバンに押され、国産メーカーの現行型クーペはほんの一握りになってしまった。

だから本来、ここで取り上げる数は少ないはず……なのだが、どういうわけか輸入車を中心に2014年はクーペ豊作の年だったのだ。

<2014年に登場したクーペ>

・レクサス RC/RC F(現行型)
・ジャガー Fタイプクーペ(現行型)
・フォード マスタング(2014年11月登場モデル)
・メルセデス・ベンツ Sクラスクーペ(現行型) 
・BMW 2シリーズクーペ(現行型)
・BMW i8(現行型) 
・BMW M4クーペ(現行型) 
・シボレー コルベット(現行型) 
・アルファロメオ 4C(現行型) 
・ランボルギーニ ウラカン(現行型) 
・アルピナ B4/D4クーペ(現行型) 


上記モデルを見ると、各メーカーの高級モデルが多いことがわかる。

クーペは単に走りの良さだけでは、もはや売れない時代というわけだろう。

しかし高級車に格上げされたことで、機能や性能が充実するから、安くなった中古車を選ぶ側からしてみればうれしい話。

今回は上記モデルの中から支払総額500万円以下をめどに、お得感の高い中古車が探せる4モデルを早速紹介しよう。

レクサスの“カッコ良くて走りがいい”クーペ
レクサス RC/RC F(現行型)

レクサス RC▲レクサスであることを主張するスピンドルグリルと、張り出したフェンダーが特徴的なエクステリア。ロー/ハイビームを自動で切り替えるオートマチックハイビームも用意された
レクサス RC▲走行状態と連動して光量を調整する間接照明をレクサスとして初採用。レバー操作でフロントシートを前倒しすると、後席へスムーズに乗れる位置まで自動でスライドする

セダンであるISやGSの単なるクーペ版ではなく、純粋にカッコ良いクーペを作ろう。

そうした思想で生まれたのがレクサス RCだ。

実際RCの骨格はISとGSのそれをうまく活用しつつも、専用設計となっている。

さらにRCは、プレミアムブランド・レクサスのモータースポーツの入り口となるRC Fを念頭に開発されたため、走りの素性もいい。

つまり、カッコ良くて走りがよく、レクサスらしい高級感を与えられたクーペがRCなのだ。

RCには3.5LのV6自然吸気エンジンに8速ATが組みあわされた350と、2.5Lの直4エンジン+モーターの350hが用意された。

ギア比可変ステアリングや後輪の切れ角を制御するDRS、横滑り防止装置を統合制御することで、様々なドライブシーンに対応した走行性能を発揮するレクサス・ダイナミック・ハンドリングシステムが備わる「Fスポーツ」グレードが、どちらにも用意されている。

一方、RC Fは5L自然吸気エンジンに、マニュアルモード時のギア変速がRCより速い8速AT(RCが0.2秒、RC Fは0.1秒)が組み合わされる。

またオプションで、後輪左右の駆動力を電子制御して、理想的なコーナリングを行えるTVDを用意するなど、サーキット走行を想定した最新の走行技術が投入されている。

新車時の車両本体価格はRC350が596万~678万円、RC350hが565万~629万円、RC Fが953万~1030万円。

RCなら支払総額350万円以下で350も350hも選べ、RC Fは新車時の半額以下となる支払総額500万円以下から狙える。

至れり尽くせりの快適性と、安心してスポーツドライビングを楽しみたい人に向いているクーペだ。

▼検索条件

レクサス RC/RC F(現行型)×2014~2015年式×全国

お手頃価格になってきた希少コンパクトクーペ
BMW 2シリーズクーペ(現行型)

BMW 2シリーズクーペ▲BMWなら当然とばかりに前後重量比は50:50。フロントエプロン両端のエアインテークから取り込んだ空気を、高速でフロントホイールアーチへと放出することで、フロントホイールの側面を空気のカーテンで覆い、空気抵抗を低減するエアカーテンが採用された
BMW 2シリーズクーペ▲同時期の1シリーズではオプションのグレードもあったiDriveナビゲーションシステムや、衝突被害軽減ブレーキを全車標準で装備するなど、装備はやはり高級車志向

2シリーズクーペは1シリーズクーペの後継モデルという位置付けだが、同時期の1シリーズ(FR最後のモデル)とはインテリアやホイールベースの長さこそ同じものの、1シリーズより105mm長くて10mm幅が広く、フロントマスクも異なる専用のクーペボディが与えられている。

1シリーズがFF化した今、BMWで最もコンパクトなFR車だ。

デビュー時に搭載されたエンジンは直4の2Lターボ(220i)と、M社によるチューニングが施された直6の3Lターボ(M235i)。

いずれも8速ATが組み合わされる他、M235iには6速MTも用意された。なお、M235iは2016年1月に最高出力&最大トルクを向上させたM240iに進化している。

先ほどのレクサス RC/RC Fとは異なり、派手な電子デバイスは用意されていない。

それでも、同社のエントリーモデルとはいえ、ただ走らせるだけで思わずニヤけてしまうような走りの楽しさを味わえるのは、さすがBMWだ。

トヨタ 86より200mm長いが、それでも全長は4.5mを切る。このコンパクト感は車を操っている感覚がより高まるのではないだろうか。

デビュー時の車両本体価格は220iが444万~468万円、M235iが584万円(6MT)/598万円(8AT)。

中古なら220iは支払総額200万円以下から、M235iでも300万円以下からと、どちらも新車時の半額から狙えるようになった今がチャンスだ。

他のBMWのモデルもいいが、同社が唱える“駆けぬける歓び”を体感してみたい人には、コンパクトFRクーペが最も味わえると思うのでぜひオススメしたい。

▼検索条件

BMW 2シリーズクーペ(現行型)×2014~2015年式×全国

1000万円超のスポーツクーペも半額以下に
ジャガー Fタイプクーペ(現行型)

ジャガー Fタイプ▲2011年のフランクフルト・モーターショーで発表されたコンセプトカー「C-X16」をほぼ踏襲したデザイン。ルーフパネルはアルミニウム製の他、パノラミックガラスも選べる
ジャガー Fタイプ▲クーペRにはサポート性の高いスポーツシートや、フラットボトム状のステアリングが奢られる他、シートも本革製となる。クーペやクーペSは一部にレザー/スエードが用いられたスポーツシートが採用されている

あまりにも長い期間クーペを作っていなかったため、ジャガー=高級セダンメーカーと思っている人もいるだろうが、かつてはル・マン24時間レースで3年連続優勝したり、F1にも挑戦していたメーカーなのだ。

そのジャガーが、Eタイプ以来久々に開発した2シータースポーツカーがFタイプクーペだ。

オールアルミ製ボディなど、当然気合いが入っている。

2013年にまずコンバーチブルが「Fタイプ」としてデビューし、翌2014年に「Fタイプ クーペ」が登場した。

2+2ではなく、潔く2人乗りとしたことで、FR車らしいロングノーズ&ショートデッキという美しいボディになっただけでなく、シート背後にゴルフバッグが2つ収まるスペースが生まれている。

デビュー時に搭載されたモデルは、550ps/680N・mを発揮する5LのV8+スーパーチャージャーを搭載するクーペRと、同じ3LのV6+スーパーチャージャーを搭載するものの、チューニングの違いで380ps/460N・mとなるクーペS、340ps/450N・mのクーペとなる。

クーペRは強心臓に応じた専用の足回りや、左右後輪のトルクを自動制御する機能を備える。ミッションはいずれも8速AT。

デビュー時の車両本体価格はクーペが823万円、クーペSが1029万円、クーペRが1286万円。

中古なら支払総額500万円以下で走行距離5万km未満のクーペSが狙える。一方クーペRは約700万円からとなる。

ジャガーならではのスポーティなハンドリングが味わえるモデルだけに、半額で買えるようになった今、他のスポーツカーとの違いをぜひ体感してみてほしい。

▼検索条件

ジャガー Fタイプクーペ(現行型)×2014~2015年式×全国

特別仕様車のみとなった最後の野生馬
フォード マスタング(2014年11月登場モデル)

フォード マスタング▲「2015年後半にマスタング史上初となる右ハンドルを導入」するとアナウンスされていたが、ついにかなわず、正規輸入車は左ハンドルのみ。リアには50周年記念エンブレムが備わる
フォード マスタング▲ステアリングには路面の凹凸などをモニタリングしながら、ステアリング操作をサポートする「ドリフト補正機能」なるものが備わっていた。50周年記念モデル専用の浮き出た模様が施された本革スポーツシートが採用されている

販売自体は2015年春からだが、2014年は1964年のデビューから数えて50周年に当たるため、2014年11月から特別仕様車の50イヤーズ エディションの受注が開始されたフォード マスタング。

2016年にフォードが日本市場から撤退したことで、結局この特別仕様車(2015年にも追加販売された)がマスタングの最終正規モデルとなった。

搭載されたエンジンは、当時同社が推し進めていたダウンサイジングターボ“エコブースト”。

初めてFRに対応した2.3Lターボで314ps/434N・mを発揮し、これに6速ATが組み合わされた。

また、足回りは同車として初めて四輪独立懸架(低重心化できるなどのメリットがある)となった他、日本のみの特別仕様としてハンドリング性能やブレーキ性能を強化したパフォーマンス・パッケージを標準装備している。

ノーマル/スポーツ+/スノー・ウエット/トラックの4つのドライブモードから、走行特性を選ぶことができ、それぞれのモードに応じてステアリングの重さやアクセル開度、横滑り防止装置のプログラミングが変更される。

また、スリップした際に四輪それぞれのブレーキを自動コントロールすることで車両を安定させる機能も備わっていた。

デビュー時の車両本体価格は465万円。

希少なアメリカンクーペということもあってか、他のモデルに比べると値落ちがあまり進んでいないが、それでも5年たった今では走行距離3万km未満の物件が支払総額は約370万円から狙える。

今のうちに程度の良いマスタングを手に入れるチャンスではないだろうか。

▼検索条件

フォード マスタング(2014年11月登場モデル)×2014~2015年式×全国
文/ぴえいる、写真/編集部、トヨタ、BMW、ジャガー、フォード

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はルノーのアヴァンタイムと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。