▲車両価格や取り回しの良さにこだわりつつ、軽自動車にはない広さにもこだわりたい人が多く選ぶコンパクトカー。安全装備にもこだわりたいという人のために、中古車の先進安全装備搭載状況を調べてみました▲車両価格や取り回しの良さにこだわりつつ、軽自動車にはない広さにもこだわりたい人が多く選ぶコンパクトカー。安全装備にもこだわりたいという人のために、中古車の先進安全装備搭載状況を調べてみました

人気モデルトップ3の安全性能【コンパクトカー編】

自動車メーカーのたゆまぬ技術開発により、走りや乗り味、快適性など自動車はあらゆる面で進化を遂げています。

数年前までは、ハイブリッドカーが普及し、その後2009年にエコカー減税もスタートしたことで、燃費性能が注目されていました。

そして現在、メディアで様々な交通事故のニュースが流れていることから、 人々が大きな関心を寄せているのが先進安全装備でしょう。

交通事故をゼロにする、これはドライバーを含めた車に関わる人、みんなの悲願です。

そのために、自動車メーカーやサプライヤー、国、自治体などが技術開発やインフラ整備、啓発活動などを行っています。

そして現在、販売されている多くの車に先進安全装備が搭載されるようになりました。

自分が事故の当事者になるリスクを減らすため、 そして何より歩行者などを事故の被害者にしないために、先進安全装備が付いた車への乗り替えを考えている人も多いはず。

2019年現在、新車だけでなく中古車でも様々な先進安全装備が付いた車を選べるようになりました。

ただ、先進安全装備はその性能が常に進化しているため、 よくわからずに中古車を選ぶと機能は付いているけれど 自分が求めていた性能のものではなかったということになる可能性があります。

そこで、特に衝突被害軽減ブレーキで人を検知できるようになったのはいつかを中心に、人気車種の安全性能を振り返ってみましょう。

この記事では、【コンパクトカー編】と題して軽自販連のデータを基に、2018年販売台数、コンパクトカーのランキングトップ3車種をピックアップして調べてみました。

また、「サポカー」「サポカーS」は、経済産業省と国土交通省が推進する高齢運転者による交通事故対策の一環として推進する愛称ですが、 それの搭載状況もあわせて記事にしています。

「サポカー」「サポカーS」については下記の記事に詳しく載せています。
 

 

●3位 トヨタ シエンタ

現行型(2015年7月~生産中モデル)

5ナンバーサイズで全長も短いコンパクトなボディに3列目シートを搭載。街中でのちょっとした移動の際に最大7名まで乗れるコンパクトミニバンのシエンタ。

初代は2003年9月に登場し、2015年6月まで製造されるロングセラーモデルでした(途中2010年10月~2011年5月まで製造終了している時期がありました)。

先進安全装備が搭載されたのは2015年7月、現行型へのフルモデルチェンジのタイミングです。
 

【1】シエンタ 現行型(2015年7月~2018年8月モデル)
 

▲先代よりも広い室内で使い勝手が大幅に向上した現行型シエンタ。フルモデルチェンジで先進安全装備を搭載▲先代よりも広い室内で使い勝手が大幅に向上した現行型シエンタ。フルモデルチェンジで先進安全装備を搭載

トヨタの衝突回避支援パッケージ「Toyota Safety Sense C(トヨタ・セーフティ・センス・C)」を、全グレードにオプション設定しました。

Toyota Safety Sense Cの衝突回避支援型プリクラッシュセーフティは、レーザーレーダーと単眼カメラを使い、衝突の危険があるとシステムが判断したらまずはドライバーに警告。

それでも衝突の危険がなくならない場合は、約10~約80km/hの範囲でシステムがブレーキを作動し、衝突回避や衝突被害の軽減を支援します。

Toyota Safety Sense Cには、他にブザーとディスプレイ表示でドライバーに警報を出して車線逸脱の回避を支援するレーンディパーチャーアラート、ハイビームとロービームを自動で切り替えるオートマチックハイビームが備わります。

また、Toyota Safety Sense Cの付帯機能として先行車発進告知機能が付いています。

この時点ではまだ誤発進抑制機能は備わっていませんでした。
 

▼検索条件

トヨタ シエンタ 現行型(2015年7月~2018年8月生産モデル)×支払総額あり×全国

【2】シエンタ現行型(2018年9月~生産中モデル)
 

▲マイナーチェンジで新世代先進安全装備パッケージを搭載▲マイナーチェンジで新世代先進安全装備パッケージを搭載

現在、Toyota Safety Senseは第2世代へと進化。Toyota Safety Sense Cと上級モデルに搭載されていたToyota Safety Sense Pを統一し、Toyota Safety Senseというパッケージになりました。

シエンタには2018年9月のマイナーチェンジで、Toyota Safety Senseを搭載。

プリクラッシュセーフティ(衝突被害軽減ブレーキ)は、対車両のときは自車速度約15~約140km/h、対歩行者(昼間)の場合は自車速度約15~約65km/hで警報を発します。

そして被害軽減ブレーキは対車両で自車速度約10~約80km/h、対歩行者(昼間)で自車速度約10~約65km/hで作動します。

さらに、レーンディパーチャーアラート、オートマチックハイビーム、先行車発進告知機能が搭載されています。

また、15km/h以下で前方および後方にある静止物を検知してエンジン/ハイブリッドシステムの出力を抑制し、ぶつかりそうになると被害軽減ブレーキを作動させるインテリジェントクリアランスソナーは、Toyota Safety Senseのパッケージとは別扱いで装備されるように。

Toyota Safety SenseはGグレード系で標準装備、Xグレード系でメーカーオプション、インテリジェントクリアランスソナーは3列シートのG Cueroで標準装備、その他のグレードでメーカーオプションに。

先進安全装備が付いていることを購入条件にするなら、プリクラッシュセーフティが対歩行者にも対応した2018年9月以降のモデルを。購入時はどんな装備が搭載されているかを販売店に確認してください。

現行型はToyota Safety Senseとインテリジェントクリアランスソナーを搭載したものが「サポカーS<ワイド>」、Toyota Safety Senseのみの搭載で「サポカー」に該当します。
 

▼検索条件

トヨタ シエンタ 現行型(2018年9月~生産中モデル)×支払総額あり×全国
 

●2位 トヨタ アクア

アクア 現行型(2015年11月~生産中モデル)

2011年12月にデビューしたハイブリッド専用モデルのアクア。 アクアに先進安全装備が初搭載されたのは、2015年11月の一部改良時。マイナーチェンジから約1年後のことでした。
 

【1】アクア 現行型(2015年11月~2018年3月モデル)
 

▲2011年12月にデビューしたアクア。先進安全装備は2015年11月から搭載されました▲2011年12月にデビューしたアクア。先進安全装備は2015年11月から搭載されました

2011年12月にデビューしたハイブリッド専用モデルのアクア。 アクアに先進安全装備が初搭載されたのは、2015年11月の一部改良時。マイナーチェンジから約1年後のことでした。

搭載されたのはToyota Safety Sense Cで、SとLはメーカーオプション、その他のグレードは標準装備となっています。

Toyota Safety Sense Cには衝突回避支援型プリクラッシュセーフティ、レーンディパーチャーアラート、オートマチックハイビームで、先行車発進告知機能も備わります。性能はシエンタと同様になります。
 

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トヨタ アクア 現行型(2015年11月~生産モデル)×支払総額あり×全国

【2】アクア 現行型(2018年4月~生産中モデル)
 

▲2018年4月から新生代先進安全装備パッケージを搭載▲2018年4月から新生代先進安全装備パッケージを搭載

アクアの先進安全装備が第2世代のToyota Safety Senseへと進化したのは2018年4月。

Crossover、G、G ソフトレザーセレクションに標準装備で、SとLはメーカーオプションとなっています。

内容はシエンタと同様で、昼間の歩行者にも対応するプリクラッシュセーフティ、レーンディパーチャーアラート、オートマチックハイビーム、先行車発進告知機能を搭載。

インテリジェントクリアランスソナーは全グレードオプション設定となります。

先進安全装備が付いていることを購入条件にするなら、プリクラッシュセーフティが対歩行者にも対応した2018年4月以降のモデルを。購入時はどんな装備が搭載されているかを販売店に確認してください。

現行型はToyota Safety Senseとインテリジェントクリアランスソナーを搭載したものが「サポカーS<ワイド>」、Toyota Safety Senseのみの搭載で「サポカー」に該当します。
 

▲後付け可能な踏み間違い加速抑制システムのセンサー部(写真は先代プリウス)▲後付け可能な踏み間違い加速抑制システムのセンサー部(写真は先代プリウス)

また、アクアは、トヨタが純正の後付け用品として販売する「踏み間違い加速抑制システム」の取り付け可能車種となっています。

これは前後に取り付けた超音波センサーで、前後それぞれ約3m以内にある障害物を検知してブザー音で注意喚起。それでもアクセルを強く踏み込んでいると加速を抑制するもの。

先進安全装備が付いていない中古車を買う際は、これを取り付けるのを検討してみるのはいかがですか?

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トヨタ アクア 現行型(2018年4月~生産モデル)×支払総額あり×全国
 

●1位 日産 ノート

ノート 現行型(2013年12月~生産中モデル)

エンジンは発電のみ行い、バッテリーに蓄えた電気でモーターを駆動し走行するe-POWER搭載車がデビューしてから新車販売台数首位の常連となっているノート。 現行型ノートに先進安全装備が初搭載されたのは2013年12月のマイナーチェンジ時でした。
 

【1】ノート 現行型(2013年12月~2015年6月モデル)
 

▲ノートは早い段階で被害軽減ブレーキ搭載車を設定しました▲ノートは早い段階で被害軽減ブレーキ搭載車を設定しました

内容はフロントカメラで前方の車両や歩行者を検知し、衝突の危険性を察知すると警告灯とブザーでドライバーに警報。それでも減速できなかった場合は、緊急ブレーキを作動させるエマージェンシーブレーキと車線逸脱警報がセットになるもの。

この機能はSとS DIG-Sを除く全グレードにパッケージ設定されていて、搭載車はグレード名に「エマージェンシーブレーキPKG」と表記されます。

エマージェンシーブレーキパッケージ装着車は、前後のソナーで障害物を検知し、約15km/h以内でアクセルペダルをブレーキペダルと間違えて強く踏み込んでしまったりブレーキ操作が遅れた場合に、エンジン出力やブレーキを制御して衝突防止を支援する、踏み間違い衝突防止アシストがオプション設定されました。

また、4つのカメラの映像を合成し、自車を俯瞰で見ているようにモニターに映し出すアラウンドビューモニターに移動物検知機能が備わったのもこのタイミングです。
 

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日産 ノート 現行型(2013年12月~2015年6月モデル)×支払総額あり×全国

【2】ノート 現行型(2015年7月~2017年8月モデル)
 

▲エマージェンシーブレーキパッケージを全グレード標準装備に▲エマージェンシーブレーキパッケージを全グレード標準装備に

2015年7月のマイナーチェンジで、エマージェンシーブレーキパッケージを全グレード標準装備に。

そのため、グレード名から「エマージェンシーブレーキPKG」という表記がなくなりました。

ただ、新車時には「エマージェンシーブレーキレス」「LDW(車線逸脱警報)レス」を選ぶことができたので、念のため、この年式を購入する際は搭載状況を確認してください。

なお、踏み間違い衝突防止アシストは従来どおり全グレードオプション設定でした。

2016年11月からはエクステリアにVモーショングリルが備わり、e-POWERも設定されています。
 

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日産 ノート 現行型(2015年7月~2017年8月モデル)×支払総額あり×全国

【3】ノート 現行型(2017年9月~生産中モデル)
 

▲2017年9月、先進安全装備の性能が進化▲2017年9月、先進安全装備の性能が進化

2017年9月の一部改良では、フロントのカメラがマルチセンシングカメラになりエマージェンシーブレーキの性能が向上。ネーミングもインテリジェントエマージェンシーブレーキになりました。

踏み間違い衝突防止アシストもフロントカメラと連動することにより、作動範囲が約25km/hまで広がると同時に歩行者にも対応できるようになりました。

そして、LDW(車線逸脱警報)はインテリジェントLI(車線逸脱防止支援システム)とLDWの組み合わせへと進化。警報だけでなくステアリングに車線内へと戻す方向に力が加わるようになっています。

▲先行車に追従するインテリジェントクルーズ▲先行車に追従するインテリジェントクルーズ

他にも約30~約100km/hの範囲で車速をコントロールしながら先行車に追従するインテリジェントクルーズコントロール、自動でハイビームとロービームを切り替えるハイビームアシストなどが備わります。

インテリジェントエマージェンシーブレーキ、LDW、踏み間違い衝突防止アシストはe-POWER Sを除く全グレードで標準装備になります。

先進安全装備にこだわるなら、2017年9月以降のモデルを!

現行型はe-POWER Sを除く全グレード「サポカーS<ワイド>」に該当しています。
 

▼検索条件

日産 ノート 現行型(2017年9月~生産中モデル)×支払総額あり×全国

先進安全装備よりも大事なこと

コンパクトカー編と題して人気モデルの先進安全装備の機能と搭載状況を紹介してきましたが、最後に大切なことをひとつ。

先進安全装備は完璧な機能ではありません。状況によっては機能が働かなかったり、働いたとしても衝突回避が間に合わなかったりする可能性もあります。

最も大切なのは日ごろから安全運転を心がけることだということは忘れないでくださいね。
 

文/高橋満(BRIDGE MAN)、写真/トヨタ、日産
高橋満(たかはしみつる)

自動車ライター

高橋満(BRIDGE MAN)

求人誌編集部、カーセンサー編集部を経てエディター/ライターとして1999年に独立。独立後は自動車の他、 音楽、アウトドアなどをテーマに執筆。得意としているのは人物インタビュー。著名人から一般の方まで、 心の中に深く潜り込んでその人自身も気づいていなかった本音を引き出すことを心がけている。 愛車はフィアット500C by DIESEL