トヨタ プリウス ▲今回紹介するのは、「21世紀に間に合いました」のキャッチフレーズとともに1997年に登場した初代トヨタ プリウス

21世紀に間に合いました

トヨタ プリウスは生産が終了してからはや17年、気づけばカーセンサーnetに掲載されている初代プリウスの台数は激減している。

デビューしたのは1997年12月のことで、キャッチフレーズは「21世紀に間に合いました。」だった。

初代は2代目、3代目などと比較すると“バカ売れ”したわけではないが、累計生産台数は7万台ちょっとだった。

それが原稿執筆時点(2019年8月6日)で、たったの13台しか掲載されていない。

プリウスは、エコカーの代名詞的存在となるべくして1.5L 直4エンジンと、永久磁石式同期モーターを併用するパワーユニットを搭載。

内燃式エンジンと電気モーターという2つの動力源をもつことから、“異なった要素を混ぜた/かけあわせた”という意味合いの英単語「Hybrid(ハイブリッド)」と呼ばれた。

10・15モード燃費は、当時としては衝撃の28.0㎞/Lを達成していた。

そして、車両本体価格は“21世紀にGO”の語呂合わせで215万円という低価格から設定されていたため、売れれば売れるほどトヨタにとっては赤字が膨らむ……とまことしやかに語られていた。

しかし、いつしか販売増による部品コスト削減に成功し、現在に至っている。

日刊カーセンサー ▲最高出力58psを発生する1.5Lの直4エンジンと30kWのモーターを組み合わせ、状況に応じて片方、あるいは両方を作動させて低燃費と排出ガスの削減を実現するハイブリッドシステム「THS」を搭載
▲トヨタ プリウス ▲エネルギーの使用状況が一目でわかるモニターも、当時は珍しかった

ハイブリッド技術だけではなく、パッケージングも優れていた

世界初の量産型ハイブリッドカーだったということも注目すべきだが、パッケージングも実に優れていた。

ボディサイズは5ナンバーサイズに収まる大きさながら、全高、着座位置を高くすることで空間を有効に活用し、大人5名乗車しても窮屈ではなかった。

同様のパッケージングは、プリウス以外のトヨタ車にも用いられた。

フロントグリルとボンネットは当時としては珍しく、シームレスになっていた。

これはデザイン的なポイントであるとともに、空気抵抗の低減にも一役買っていた。

なお、デザインを担当したのはセリカを手がけてきた、トヨタのアメリカのデザイン拠点「CALTY」だった。

走らせてみると……“フツーの4ドアセダン”という感想を抱いた人がほとんど(笑)。

これは決して悪いことではなくハイブリッドカーだからといって、特別速かったり遅かったり、運転が難しかったり……といったことが皆無だったということ。

それでいながら、世界最高峰の環境性能を有していたのだ。

初代モデルのハイブリッドカーらしさといえば、独特なタッチの回生ブレーキが挙げられる。

まだ出来栄えが良くなかったというのが正直なところだろうが、停車前に“カックン”と衝撃があったのは事実。

車業界では「カックンブレーキ」と呼ばれていた。

でも今となっては、それが初期のハイブリッドでのみ味わえた“違い”でもあった。

トヨタ プリウス ▲決して速くはない……。ただ“普通”に走れるということが、ハイブリッドカーの普及を飛躍的に伸ばした要因だろう
トヨタ プリウス ▲ブレーキングの際に生じるエネルギーを蓄電し、走行時のパワーとして使えるのが「回生ブレーキ」
トヨタ プリウス ▲初代のみトランクルームがキャビンと分離しているセダンタイプで、2代目以降はハッチバックタイプとなった

今はノスタルジックさすら感じるようになった

決して大げさではなく自動車業界に革命をもたらした、初代プリウス。

カックンブレーキという特徴も、今となってはノスタルジックでいい。

実用車としてまだまだ現役だし、独特なスタイルも他の車とは一線を画している。

それでいて、価格はほとんどの物件が50万円以下と安い。今後、中古車でも手に入れにくくなることが予見されるので、今のうちに狙っておくべき1台だと思う。

ちょっとでも気になった方は、中古車物件をチェックしてみてほしい!

文/古賀貴司(自動車王国)、写真/カーセンサー編集部

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古賀貴司(こがたかし)

自動車ライター

古賀貴司(自動車王国)

自動車ニュースサイト「自動車王国」を主宰するも、ほとんど更新せずツイッターにいそしんでいる。大学卒業後、都銀に就職するが、車好きが講じて編集プロダクションへ転職。カーセンサー編集部員として約10年を過ごし、現在はフリーランスのライター/翻訳家として活動している。