ポルシェ ケイマン▲操舵輪と駆動輪を分けることができるので、気持ちいいハンドリングを実現しやすい後輪駆動スポーツカー。今回はスープラ同様、2シーターにもこだわってセレクトした

490万~690万円で狙える独・英・伊の2シーター後輪駆動

「待望の復活」という声もあるトヨタ スープラ。国産車としては久々の新型スポーツカーだし、もはや数が少なくなった2シーター後輪駆動モデルだ。

世の中の車が電動化や自動化へと着々と進んでいる中、車好きの一人としてもこれを機にスポーツカーがもっともっと盛り上がってほしいと思う。

でもスープラ1台だけじゃなかなかスポーツカー気分が盛り上がらない。やはりジョコビッチがどんなにすごくても、今年のウィンブルドンが盛り上がったのは、フェデラーの活躍があったからこそ。錦織やナダルだって忘れちゃいけない。(テニスの話ね)

つまりライバルが必要だってこと。とはいえ、いくらスープラが「718ケイマンをターゲットに開発しました!」といっても、スープラのトップグレードがようやく718ケイマンのベースグレードと同じくらいの価格……。しかも、他のライバルは、もっと高いし。

トヨタ スープラ▲2019年5月に登場した新型スープラ。BMWとの共同開発モデルだが、FR+直6エンジンというパッケージングは先代モデルから継承されている(RZのみ)


そこでオススメしたいのが、中古車まで視野を広げることだ。これなら、スープラの新車時の車両本体価格490万~690万円と同じ価格で、十分購入妄想バトルが繰り広げられる。

ジョコビッチは強いけど、やっぱり熟練のフェデラーはすごいし、錦織はやっぱり応援したくなるけれど、クレーコートじゃナダルが優位……って、スープラが誰に該当するかは置いといて。

というわけで、支払総額490万~690万円で購入できる2シーター後輪駆動スポーツカーを集めてみた。

自然吸気の水平対向6気筒を搭載したスポーツカー
ポルシェ ケイマン(2012年12月~2016年4月生産モデル)

ポルシェ ケイマン▲素のケイマンは2.7L、ケイマンSは3.4Lの水平対向6気筒を搭載。いずれも6速MTか7速AT(ダブルクラッチMTのPDK)が選べた。デビュー時の最高出力は2.7Lモデルが275ps、3.4Lモデルが325ps
ポルシェ ケイマン▲同時期のパナメーラや911と同様になったセンターコンソール。サイドブレーキがなくなり、このモデル(981型)から電気式のスイッチに


スープラが開発ターゲットに掲げたのは、現行型の718ケイマン。中古車ならターゲット価格でも高年式&少走行距離が狙えるが、今回はあえて718を名乗る前のケイマンを取り上げた。

なぜなら、このモデル(981型)が自然吸気のフラット6(水平対向6気筒)をミッドに載せているからだ。これはポルシェ好きにはたまらないポイントだろう。

718ケイマンではフラット4(同4気筒)ターボに換装され、911も旧型(991型)の後期モデルからツインターボ化されているので、長らくポルシェのイメージを作ってきた自然吸気フラット6が消滅しかけているのだ。

先日登場した718ケイマンGT4や911 GT3には自然吸気フラット6が搭載されているが、新車価格で1000万円超。その点、このケイマンなら! というわけ。

しかも718ケイマンは、フラット4ターボに載せ替える際に名称に718を加えた、いわば981型の後期モデル。つまり718ケイマン(982型)と基本は同じ車なのだ。

もちろん「最新のポルシェが最良のポルシェ」という言葉があるとおり、性能を求めるならば718ケイマンだが、その前期モデルにあたる当のケイマンはというと、原稿執筆時点で見ると支払総額約460万円で2012年式ながら走行距離3.3万kmという物件が狙える。

デビュー時の車両本体価格が612万円からということを考えれば、他のポルシェ同様あまり値落ちしていないが、自然吸気フラット6モデルだけに、今後もリセールバリューが期待できそうだ。

▼検索条件

ポルシェ ケイマン(2012年12月~2016年4月生産モデル)×総額490万~690万円×全国

モータースポーツの名門が復活ののろしをあげた1台
ジャガー Fタイプクーペ(現行型)

ジャガー Fタイプクーペ▲名車Eタイプ以来、実に40年ほど本格的な市販スポーツカーから離れていたジャガーが復活させたFRクーペ。ボディはオールアルミ製。トランクはゴルフバッグを2つ積める407Lを確保している
ジャガー Fタイプクーペ▲中央部が若干下方向にセットされた、独特なステアリングホイール。ギアシフトの隣にはスロットルの応答性を高めシフト動作を素早くするダイナミックモードの切り替えスイッチが用意される


トヨタにとってのスープラのように、Fタイプクーペはジャガー久々のスポーツカーだ。

ジャガーというと高級車ブランドと思う人も多いが、昔からル・マンやF1をはじめ、今ではフォーミュラEにも参戦するなど数々のレースで活躍し、高性能スポーツカーを販売してきたメーカーだ。

Fタイプクーペは2014年に日本でデビュー。スープラ同様、フロントにエンジンを置くFRスポーツカーだ。エンジンはすべてスーパーチャージャー付きで、ベースグレードとSクーペには3LのV6、Rクーペには5LのV8が搭載される。いずれもミッションは8速AT。

2016年にはRクーペの4WDモデルとSクーペの6速MTモデルが、2017年にはRクーペの4WDの高性能版というべきSVRも加わった。さらに2018年には300psを発揮する2Lの4気筒ターボモデルも加わるなど、ラインナップが増殖している。

思いのままクイクイと曲がるので、ステアリング操作が楽しくなるピュアスポーツカーであることに加え、V6モデルでも0-100km/hは同時期のポルシェ ケイマンの5.4秒より速い5.1秒と加速感も十分にある。

新車時価格800万円超だが、原稿執筆時点でベースグレードなら2014年式の走行距離約2万kmで支払総額約460万円から狙える。

▼検索条件

ジャガー Fタイプクーペ(現行型)×総額490万~690万円×全国

レーシングカーのような刺激がたまらない
アルファロメオ 4C(現行型)

アルファロメオ 4C▲ドアを開けて約30cmもある敷居をまたいで乗り込み、シートに体をもぐり込ませる、というレースカーのような儀式が必要。モデナのマセラティ工場で生産される
アルファロメオ 4C▲ボトムがフラットなステアリングはパワステではない。6速ATのみの設定ということもあり、センターコンソールにはギアシフトがないがパドルシフトによるマニュアル操作が可能


「手の届くスーパーカー」を標榜するアルファロメオ 4C。240psを発揮する1742ccの4気筒ターボをシートの背後に載せ後輪を駆るMRだ。

数字だけ見ると大したことはないように思えるかもしれないが、何しろスーパーカーみたいにカーボンモノコックやガラス繊維強化樹脂の外板を採用し、乾燥重量で950kg(日本仕様は装備も含めると1100kg)の軽量ボディだ。0-100km/hは4.5秒という俊足。

ミッションはデュアルクラッチの6速AT。路面や走行状況に応じてシャシーやエンジンなどを統合制御するアルファD.N.A.システムで、オールウエザー/ナチュラル/ダイナミック/レースモードの4モードから選べる。

座ると目線は低く、エンジンをかければエグゾースト音は爆音で、ダイレクト感ある走りはレーシングカーのように刺激的だ。

デビュー時の車両本体価格は、ベース車が783万円。同時に発売されたローンチエディションが891万円。原稿執筆時点では2015年式の走行距離2万kmが支払総額約600万円で見つけることができる。

▼検索条件

アルファロメオ 4C×総額490万~690万円×全国

確かに最近はスポーツカーの数が少ないが、こうして見るとそれぞれキャラクターの際だったモデルたちばかり。

ポルシェもジャガーも電気自動車を作る時代になってきたことだし、今のうちにガソリン車の、古典的な後輪駆動スポーツカーを味わってみてはどうだろうか。

文/ぴえいる、写真/ポルシェ、ジャガー、アルファロメオ、トヨタ

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はルノーのアヴァンタイムと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。