車の買い替えは時期が重要。タイプ別ベストな売却タイミングとは?
2019/03/08
車を買い替える、乗り替えるのにベストなタイミングを考える
車を買い替えるのにベストなタイミングはいつか? 車に乗り続ける限り、とても気になるテーマだろう。今乗っている車を高く売れて、次の車を安く買えるタイミングについて、年数や走行距離、車検や保証期間ごとに調べてみた。
金銭的には買い替えは少ない方がオトク
タイミングについて考える前に、まずは前提として車を買い替える「頻度」の話をしておきたい。当たり前だが、車は買い替えるたびにお金がかかる。購入費用はもちろん、新車にしても中古車にしても「商品を市場に流通させるためのコスト」が発生するからだ。
例えば、新車で購入した車を一切乗らず翌日に売却したとする。価値はほとんど下がっていないにもかかわらず、購入金額よりも低い価格でしか売れない。一般的には、新車の場合でも買い取り価格は購入金額の7~8割程度。この減額は「車を業者が買い取ってオークションに出品し、販売店が買い取って店頭に並べる」といった流通コストが差し引かれるために起こる。
車は購入直後から資産価値が下がり続けるので「高値で売れるうちに買い換える」と考える人もいるかもしれない。しかし車両の購入額だけでなく流通コストによって売却額が減少するので、現実的には買い替えの頻度を少なくした方が圧倒的にオトクなのだ。
乗り替え頻度が少ないほどトクをする
では本当に乗り換え回数が少ないとオトクなのか試算してみよう。
例えば新車価格200万円の車を購入し、売る度に40万円の手数料が発生すると仮定。
経年により一年間に新車価格の10%ずつ価値を失っていくものとする(計算をわかりやすくするために簡易化)。
3年で買い替えると購入額200万円-売却額100万円=1回あたりの損失額は100万円ということになる。
これを10年という単位で考えると、最初の車購入に200万円、買い替え1回あたり100万円×3回となって500万円の損失。
ただし10年経った時点で保有している車の価値が140万円分残っているから、差し引きすると360万円/10年の損失額となる。
対して5年の場合、同じように計算すると10年間で320万円の損失となる。
つまり、3年の買い替えと5年の買い替えで生じる差額は10年間で40万円。5年で買い替えた方が、だいぶオトクだ。
もちろん、実際には購入時の税金や車検費用など維持費がかかるし、計算も複雑だ。ただ、原則的には買い替え頻度が少ないほど損失も少なくなる。
経済的な観点から言うと「一台を動かなくなるまで乗り潰す」のが最善となる。しかし、それは単純に金銭面を比較した場合でしかない。然るべき理由があるなら、車の乗り替えで掛かるコスト以上のメリットがある。
買い替えした方が良い、然るべき理由
例えば乗り替えることで下記のような効果が期待できるなら、買い替えても決してソンはしないだろう。
・安全性の向上
最近は予防安全技術の進化が著しく、新しい車に買い替えることは、すなわち安全を買うことにつながる。
ステアリングを握る自分のためだけでなく、家族のためでもあることを考えると見逃せない点だ。
・燃費の向上
前述の損失を覆すほどの経済的効果は「長距離を運転する人がスポーツカーからハイブリッドカーに乗り替える」といった極端な例でない限り期待できない。
しかし、日々の出費を抑えられる効果は高いし、新車のエコカーに乗り換える場合、節税効果も期待できる。
例えば、1.8Lの車から同排気量であるトヨタ プリウス(4代目)に新車で乗り換えたとする。乗り換える前と比べて、購入時と翌年の減税によって維持費は最低でも10数万円も安くなる(翌年以降は同じ。2019年3月31日までの基準)。
・車内の容量アップ
家族が増えたなら、乗車定員が多いミニバンへの乗り換えもアリ。
新しいスポーツを始めたから荷室の広いワゴンへ。車内の容量アップを求めての買い替えは、よくある動機のひとつ。
他にも「長時間運転での疲労低減を求め、乗り心地の良い車に乗り替える」といった理由も合理的と言える。
要は、出費に見合う価値が得られるなら乗り替えはソンではない。むしろ実生活を考えたら有効な選択肢だ
乗り替えるのに最適なタイミング、きっかけは?
さて、いざ乗り替えると決めたならタイミングを見計らうことが大事。買い替えのきっかけになりそうなタイミングごとに、適切な売り時を考えてみる。
・車検は受ける前がオトク
車検は受ける直前、つまり初度登録から3年、5年、7年を迎える少し前に買い替えるのが良策。
車検残期間が長いと査定額アップにつながるが、車検費用を上回るほどではない。つまり、車検が切れるギリギリのタイミングで売るのが最もオトクだ。
・走行距離はあまり気にする必要なし
走行距離が増えるほど低い査定額になるのは当然だが、○万kmという区切れでは大きく変化しない。
走行距離による査定基準は車種と年式、初度登録からの年数によって詳細に決められており、連続的に変化する。つまり「○万km走ったら売った方がオトク」と言えるものではないので、必要以上に気にしてなくてOKだ。
・「需要期前を狙え」はウソ?
3月は新車も中古車も一年の中で最も売れる時期。「ということは、その直前が高く売れる!」と思われがちだが、考えてみて欲しい。その時期に買う人が多いなら、車検もその時期だし、そのタイミングで車を手放す人も増えるということ。
需要と供給が同じくらいあるため、買い取り価格にはあまり変化がない。ただし、需要期を前に買取業者が仕入れ、つまり買い取りに力を入れる時期なので「その車種を是が非でも手に入れたい」という業者なら、高値で買い取ってくれる可能性もある。
・修理代が発生しそうなタイミングは大正解
買い替えるのに最も合理的なタイミングのひとつ。新車からある程度の年月が経過して既に中古車としての価値が低くなっている場合、高額な修理費を掛けたら売った時に元が取れない。
であるならば、修理費は次の車の購入資金にすべき。事故に遭って高額な修理代がかかりそうな時、エンジンなどの調子が悪くなってきた時などは、買い替えを検討すべきだ。
・新車保証は残っている方がベター
新車で購入した場合、売却時に新車保証が残っているケースがある。これはもちろん、査定時に有利に働く。
新車保証には、消耗品などを除き多くの部品を保証する「一般保証(3年または60,000kmなど)」と、走行に欠かせない部位など重要な部品に適用される「特別保証(5年または100,000kmなど)」があるが、特別保証だけでもプラス査定に繋がる。
・ローン完済直後はタイミングとして△
ローン完済直後に売却を考える人は多いが、タイミング的に良くも悪くもない。しかし、注意点がひとつ。ローンで購入した場合、車の所有権が信販会社などになっている場合があるのだ。
支払い終了後に移転登録(いわゆる名義変更)が必要で、通常この手続きが終わっていないと売却できないので留意すべし。ちなみに、ローンが残っていても査定額が上回る場合、売却後の一括返済を条件に所有権解除が認められることがある。
結論としては「○月に売るべき」「走行○万kmで売るべき」というタイミングはほとんど考慮する必要ない。車検や修理など大きな出費がかかる前に売却する。
そして、できるだけ買い替えの頻度を抑えるのが最もオトクとなるのだ。ただし長く乗るほど故障も増えがちなので、そのあたりの見極めもポイントだろう。
スムーズに乗り替えるための7STEP
乗り替えは、現所有車と新規購入車を入れ替えるタイミングを合わせることも大切。手続きも二度手間にならないよう、スムーズに行いたい。車がない期間をできるだけ短くするための手順は以下の流れだ。
■STEP1 次に乗る車を見つけ、購入方法を決める
次に乗る車を現金一括で買うか、分割払いで購入するか、現所有車の売却金を購入費用に充当させるかを決める。ローンやクレジットを利用する場合は、審査に時間がかかるので早めに申し込もう。
■STEP2 現所有車の売却方法を決める
今乗っている車を「下取り」に出すか、買取店などに「買い取り」してもらうかを決める。下取りの場合、車の引き渡しと納車を一度にできて手間がかからないし、一時的に車がなくなったり重複してしまったりする面倒を抑えられる。ただ、売却金額は低くなりがちだ。一方で、買い取りは手間がかかるものの、下取りより高値で売れる可能性が高いのが魅力だ。
■STEP3 売却先を決める
購入先と売却先が異なる場合は、複数の候補から売却先を選ぶ必要がある。高く買い取ってくれて、契約条件も納得できる業者を選ぼう。
■STEP4 売却・購入の手続きをする
売却先、購入先と契約し、それぞれ手続きする。下取りの場合は同時に行える。
■STEP5 現所有車を引き渡す
買取業者などに現所有車を引き渡す。次の車が納車されるまで車がない状態となるので、ここから先の手続きはできるだけスピーディに。
■STEP6 入金を確認し、次の車の購入費用を振り込む
現所有車の売却金は買い取りの場合、個人の口座に振り込まれるが、下取りの場合は自動的に購入費用と差し引きされることが多い。このタイミングで任意保険の切り替え手続きを行っておこう。
■STEP7 次の車が納車される
次の車が納車され、手続き完了。
乗り替えに必要な書類
車の買い換えでは、売却用と購入用に書類を2枚用意しなければならない。必要書類は以下の通り。なお、普通自動車と軽自動車で必要な書類はわずかに異なる。
■所有者が用意するもの
・現所有車の自動車検査証(車検証)【売却】
車検を通したことを証明する書類で、売却時だけでなく、車を走らせる時には常に携行する義務があるもの。引っ越しや結婚などで自動車検査証と印鑑登録証明書のどちらか一方だけ変更した場合、記載内容が異なってしまうため次の書類も必要となる。
・住所変更が一度あった場合:住民票(法人の場合は登記簿謄本)
・住所変更を複数回経た場合:戸籍の附票または住民票の除票
・結婚などで姓が変わっている場合:戸籍謄本(履歴事項全部証明書)
紛失したり、極端に汚れて文字が読めないなどの場合は、管轄する陸運支局で理由書と手数料納付書、第3号様式という申請書(陸運支局にOCR用紙がある)を提出すれば即日再発行できる。委任状を書けばディーラーや買取店に代行してもらうことも可能だ。
なお、ローン残債があるなどの理由で所有者と使用者の名義が異なる場合は、そのまま売却できない。残債分を一括返済し(売却額を充当することも可能)、所有者に「移転登録(いわゆる名義変更)」してもらう必要がある。
・印鑑登録証明書(軽自動車は不要)【売却・購入】
市区町村(法人の場合は法務局)で登録した実印の登録証書のこと。所轄役場のほか、行政サービスコーナー(印鑑登録カードが必要)で発行できる。普通自動車を購入・売却する際には、発行日から3ヵ月以内のものが必要だ。購入・売却で2通の提出が求められる。
・現所有車の自賠責保険証明書 【売却】
自賠責保険は人ではなく、車に対して掛けるもの。ゆえに買い替えの際には使用者を変えて次の所有車に引き継ぐこととなる。この書類がなかったり、期限が切れていたりすると自賠責保険を名義変更できない。引き継がれる分の費用が気になるところだが、次の所有者から回収され、売却額に上乗せして計上されるケースので確認しよう。紛失していたら、加入した保険会社に再発行してもらう。
・現所有車の自動車納税証明書(軽自動車納税証明書)【売却】
自動車税が未納だと次の車検を受けられない(車検を名義変更前に通す場合)ため、車の売却が認められない。金融機関などで納税した場合は収納印が押されているはずなので、確認しておこう。
なお、同一都道府県内で車検を更新する際には、納税されていれば書類がなくても問題なし。売却先に相談してみよう。証明書が必要な場合、普通自動車は自動車税事務所(県税事務所)、軽自動車は市区町村役場で即日再発行可能。
・実印 (軽自動車は認印可)【売却・購入】
普通自動車の購入・売却には実印が必要。買取店が用意する委任状や譲渡証明書などに捺印する。軽自動車の場合は認印で(もちろん実印でも)OKだが、スタンプ印はNG。
・振込口座情報 【売却】
売却額は通常、銀行振込で支払われる。必要書類を渡す際に金融機関名や支店名、口座番号、口座名義を伝えられるようメモしておこう。
・現所有車のリサイクル券 【売却】
自動車リサイクル料金が支払われていることを証明するリサイクル券は、売却時に次の所有者へと引き継ぐ仕組み。紛失してしまっても再発行できないので、「リサイクル料金検索」から「自動車リサイクル料金の預託状況」を印刷して代用しよう。
・保管場所(車庫)証明書(軽自動車は保管場所届出)【購入】
管轄の警察署に「自動車保管場所証明申請書」と、保管場所の「所在図・配置図」、「保管場所使用権原疎明書面」または「保管場所使用承諾証明書」を提出。一週間程度で保管場所証明書(いわゆる車庫証明)が発行される。発行にかかる費用は地域によって異なるが、申請手数料が2,100円程度、標章交付手数料が500円程度。軽自動車は保管場所届出が必要な地域と、必要ない地域がある。
■自動車買取店、購入店舗に用紙があり、記入するもの
・譲渡証明書(普通自動車のみ)【売却・購入】
・自動車検査証記入申請書(軽自動車のみ)【売却】
・委任状 【売却・購入】
・購入する車の車検証のコピー【購入】
・住民票(軽自動車のみ)【購入】
購入する車の車検証のコピーは、任意保険の切り替え手続きに必要。次の車を購入する店舗で必ずもらっておこう。
車の買い替えは、理由とタイミングがポイント
むやみやたらな買い替えは浪費にしかならないが、適度なタイミングでの乗り替えは生活を充実させてくれる。出費と労力をできるだけ抑えて、賢く乗り替えよう。