事故車って何? 車両を修理すべきか売るべきかの見極め方
カテゴリー: 車買取の基礎知識
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2019/03/12
事故車でも売れる! 問題は査定にどれくらい影響するか
「事故を起こしてしまった! もう自分の車には価値がなくなった……」と悲観することはない。事故車でも売却することは可能。
今回はどこまでを事故車と言うか、そして事故が査定に与える影響について具体例を挙げながら解説する。
そもそも「事故車」「修復歴車」って何?
まず「事故車」という言葉について。
一般的には事故に遭った車を事故車と呼ぶことが多い。
しかし、買い取られた中古車がオークション会場や店頭で売却される際は事故車とは呼ばず、「修復歴車」として区別される。
そして修復歴車にあたるのは事故車すべてではない。特定の部位を部位を損傷、または交換している車両だけを指す。
下記は、査定基準の標準化を行っている団体「日本自動車査定協会」が定めたガイドラインだ(2019年3月8日時点)。
■修復歴にあたる部位
・フレーム(サイドメンバー)
・クロスメンバー
・インサイドパネル
・ピラー
・ダッシュパネル
・ルーフパネル
・フロアパネル
・トランクフロア(リアフロア)パネル
上記のように走行に影響しそうな骨格部を損傷、または交換している車は修復歴車として扱われる。
実は中古車市場で区別されるのは、この「修復歴」があるか否か。
つまり、どんなに大きな事故に遭っても上記の部位を損傷または交換していないなら、きちんと修理さえされていば査定に影響はない(実際には大きな事故に遭った場合、骨格のどこかに損傷を受けることが多い)。
逆に言うと、どんなに完璧に直しても、これらの部位を損傷または交換した経歴があると修復歴車に該当し、査定額も下がってしまう。
修復歴車の基準を事故のケースごとに解説
事故を起こしたら、自分の車が修復歴車となったのか気になるところ。そこで、具体的にどんなケースが修復歴に当たるのか見てみよう。
・接触事故でフロントバンパーだけを交換した
前走車にコツンと軽く接触した程度の事故でフロントバンパーを交換しても、その奥にあるクロスメンバーに損傷を受けていなければ修復歴にはならない。
・追突事故でリアバンパーと周辺を修理した
追突事故の場合、さほど大きな衝撃でなくてもトランクフロアパネルに損傷を受けてしまうことが多い。そのため、大半のケースで修復歴ありになる。
・フロントフェンダーを電柱に擦った
フェンダーは外側と内側の二枚構造になっている。傷ついたのが外側のパネルだけならセーフだが、外側をぶつけた影響でインサイドパネルが歪んでしまっていたら修復歴車とされる。
・フロント、リア全体が大破した
前ならフロントグリルより後ろの部分、後ろならトランクなど荷室まで損傷を受けた大きな事故の場合は、ほぼ間違いなく修復歴車となる。
・床下が錆びている
床下(フロアパネル)は修復歴箇所に該当するので、事故に遭っていなくても錆びたり、ブツけてしまったりしていると修復歴車と判断される。
・屋内駐車場で天井をブツけた
ルーフパネルは修復歴箇所に該当するので、凹ませた形跡があったら基本的には修復歴車となる。
・側溝に脱輪しただけでフロントガラスにヒビが入った
最近の車は衝突の衝撃をボディ全体で吸収する構造になっている。軽い事故でも思わぬところにまで影響が及んでしまうことがあり、側溝に脱輪しただけでガラスにヒビが入ることも。その場合、ピラーが歪んでしまった可能性が高く、ピラーに損傷を受けていれば修復歴車となる。
上記のように損傷・修理した部位によって車の査定額は変わる。修理時には、交換部位が修復歴の該当箇所かどうかをチェックしよう。
ただ、自分の車が修復歴車かどうか、自分で判断するのは難しいだろう。その際は売却時に事故歴がある旨を申告すること。
事故車でも売れる! 素早く、高値で売却するためのノウハウ
「修復歴」がある車だからと言って価値がゼロになるわけではない。大きな事故に遭った車であっても、たいていは値段がつく。
というのも、買取店は大手以外にも様々な「専門分野」をもつ店舗が存在し、「事故車・廃車・不動車」を専門に扱っている店もあるからだ。
事故車・廃車・不動車を専門にする買取店は海外市場を含む独自のネットワークを持ち、通常では価値がつかないような車でも買い取ってくれる。
例え修理不可能でも使える部品を外して売却するため、価値が残るというわけだ。
事故車でも廃車すると、少なくとも数万円の費用がかかる。
車が動かず、使えるのが部品だけだとしても売却できるなら、廃車費用がかからないどころか手元にお金が残る可能性がある。トライする価値は十分にあるだろう。
車の状態によって適切な売り方と売り先を決めよう
適切な売り先は車の状態によって異なる。事故のケースごとに、適切な売り方と売り先を検討してみよう。
■走行可能
・事故には遭っているが、既に修理済み
・事故に遭った直後で、まだ修理していない
車が公道を安全に走れる状態ならたいてい、修復歴車かどうか問わず一般的な買取店に売却できる。一括査定などを利用して車を売却するのがオススメだ。
■走行不能
・事故に遭った直後で、まだ修理していない
・事故には遭っていないが、故障で動かない
損傷の程度によっては、通常の買取店でも売却できる場合がある。まずは一括査定などに申し込もう。結果「買い取り不可能と判断された」「廃車を勧められた」「極端に安い価格を提示された」と査定されたら、事故車専門の買取店に査定を依頼すると良い。車の売却額だけでなく、レッカー代などを差し引いた総額で比較検討することが大切だ。
また、買取店が廃車(抹消登録)する場合には、自動車税が還付される。
還付金を旧所有車である自分が受け取れるのか、あるいは買い取り金額に上乗せされているのかは事前に確認しておこう。
事故減価は事故の影響範囲で決まる
店頭販売時には、修復歴車であることを明示する義務がある。当然、修復歴がない車よりも低い価格で販売されることが大半。
その分、買い取り価格が安くなるのは仕方のないところだ。だが、どれくらい買い取り価格に影響を及ぼすのかについては、損傷した部位や程度による。
実際にカーセンサーの掲載車両を見ても、修復歴のない車とほとんど変わらない価格で販売されている修復歴車もあれば、かなり値下がりしている車もある。
現在は車の構造も修復歴の基準が定められた当初と変わってきており、買取店によって、査定士によって判断が変わる可能性がある。
よって、事故を起こした車が「修復歴車」に当たるかどうかの判断は査定に出してみるしかない。
ちなみに、追突など相手に過失がある事故に遭った場合に覚えておきたいことがある。
車の修理代や怪我の治療代を相手に請求できるのはもちろんだが、修復歴車となったことで発生する損失額(=事故減価)も、請求できる可能性があるということだ。
もらい事故に遭ったら査定業者に査定を依頼し、「事故減価額証明書」を出してもらうことを忘れないように。
売るべきか、乗るべきかの判断ポイント
「事故に遭ってしまったから一刻も早く乗り替えたい!」という気持ちは分からないでもない。
だが、そんな時こそ損失が少なくなるよう冷静に行動すべき。そこでケースごとに乗り替えるべきか否か考えてみた。
・比較的軽い事故で修復歴がつかない場合(修理済み/未修理)
当初、予定したタイミングまで乗り続けてから買い替えることをオススメする。修理代だけの損失で済むからだ。予定より早く売却してしまうと、むしろ出費がかさんでしまう。
・修復歴となる事故に遭った場合(修理済み)
経済的な観点のみなら、できるだけ長く乗る方がオトクだ。修復歴がない車でも7-10年もすれば価値は相当に低くなる。そこまで長く乗れば修復歴の有無にかかわらず、車の価値に差はないので損失は修理代のみになるからだ。
・修復歴となる事故に遭った場合(未修理)
このケースが最も判断の分かれるところ。事故減価が発生するため、売却金額は当初、予定していたよりも低くなる。その予想金額よりも修理費の方が高額になりそうなら、未修理のまま売却する方がオトクだろう。逆に修理代があまり掛からないなら、修理してから当初予定していた時期まで乗り続けるのもアリだ。
・全損に近い事故(未修理)
これは迷わず、修理せずに売却すべし。修理代は高額になり、例え直しても価値は限りなく低くなってしまう可能性が高い。
事故車の適切な売り先を見つけて損せず売却
今回は経済的な観点から、できるだけ損失を少なく事故車を売却する方法を調べてみた。
とはいっても実際には「長く連れ添った愛車だから、高額な修理費がかかっても乗り続けたい」といった精神的な部分もあるだろうし、プレミアがつく希少車など修復歴があっても高く売買されるケースもある。
各々の事情や生活、精神面や金銭面を考慮しつつ、事故車の売却は総合的に判断して欲しい。