Q.契約時にはなかったキズがついているような…。無償で修理してほしいんだけど?

納車の日に車を取りに行くと、契約時にはなかったキズが…。販売店に修理を求めると「元々キズはついていた。中古車だからこれくらはしかたない」との回答。契約時になかったキズが納車時にできている管理不行き届きを理由に、契約の解除や修理を求めることは可能でしょうか?

A.「善管注意義務違反」で無償修理を要求できる場合もあります

走る、曲がる、止まるなど車としての機能が損なわれているわけではないので、契約の解除まで求めるのは無理だと思いますが、契約後、納車までについたキズであれば「善管注意義務違反」にあたるので、無償での修理を求めることは可能でしょう。

ただ、このケースで難しいのは、キズがどの段階でついたかを立証することです。新車の場合には、キズがあれば販売店の責任になります。しかし、中古車の場合は、客側がキズを見逃している場合も考えられます。もし客側が見逃している場合は、現状有姿ということで、客側の負担で修理をすることになるでしょう。

今回のケースでは、契約時に店員と一緒に細かくチェックして確認しておく必要があったのではないでしょうか。場合によっては、修理をお願いした部分に関しては写真を撮っておくなど、目に見える証拠を残しておくことも必要かもしれません。そうすれば、「キズがあった」「いやなかった」と水掛け論を交わすこともありません。

販売店は大きなものから小さなものまでキズ全般を考慮して価格を決めているので、そういったケースでは、無償の修理を販売店に強要することはできません。もしどうしても小さなキズが気になるなら、その車を買わなければよいのです。客側の要求はなんでも通ると勘違いしないようにしましょう。

第68回:契約時には見当たらなかったキズを見つけたら!?|渋滞ができる法律相談所
illustration/もりいくすお

■ワンポイント法律用語■

善管注意義務(ぜんかんちゅういぎむ)
行為者の職業や社会的地位に応じて通常期待されている注意義務のこと。専門家やプロは、取引において一般的・客観的に要求される平均的な注意を尽くす必要がある。