Q.契約書の裏に細かく書いてある約款の効力はどの程度のものですか?

車を購入するときに、契約書の裏に書いてある細かい契約事項。あまりに詳細で字も小さいので、きちんと読まずに契約してしまいました。理不尽なことは書いていないと思うのですが、もし書いてあった場合、従わなくてはいけないのでしょうか?

A.捺印をした時点で内容に承諾したことになり、内容を守らなくてはいけません

原則としては、捺印した時点でその約款に書いてある内容を承諾したということになります。約款とは質問にあるように、注文書の裏に書いてある契約条項のこと。契約における細かい内容を決めたものです。一般には、契約時に販売店が用意した約款を読んでそれに同意する、というかたちになります。

しかし、これを読み忘れた、もしくは面倒臭くて読まなかったという場合でも、契約書に署名捺印すると、法律上は「その項目に同意した」とみなされてしまいます

約款には様々な内容が書かれていますが、きちんと読むとこれまでに取り上げたことのある「車両の引き渡しのタイミング」や「契約時期の成立」「キャンセルについて」「注文に応じられない場合」なども書かれています。

ですから、たとえ面倒でも、必ず内容を確認し、納得できなければ販売店に確認をするなどして、十分理解をした上で契約を結ぶことが大事なのです。

ちなみに、最初に原則としてといったのには訳があります。最初から売買の形態が詐欺的なものの場合、約款に理不尽なことが記載されていても、消費者契約法に基づいて契約を解除できます。また、消費者に不利な特殊なケースの場合は、口頭で説明をする義務が生じるでしょう。不明な点に関しては、販売店側に口頭で説明を求めるのもいいかもしれません。

第67回:契約書に書いてある約款の効力ってどのくらい強いの!?|渋滞ができる法律相談所
illustration/もりいくすお

■ワンポイント法律用語■

約款(やっかん)
企業が不特定多数の商品売買を行うときに、一つ一つに契約条項を作るのは大変なので、あらかじめ定められた契約条項を作り、契約内容を明確にするときなどに使われる
消費者契約法(しょうひしゃけいやくほう)
消費者と事業者の間で結ぶすべての契約が対象。一定の場合に消費者に契約の取消権を与え、消費者の利益を守ろうとする法律