第61回:車が故障して大事な商談に遅れた場合は!?
カテゴリー: 契約のトラブル
タグ:
2008/06/24
Q.車が故障したことによって負った損害を賠償請求したいのですが?
2カ月前に購入した車のエンジンが壊れて立ち往生。結局、大事な商談に遅れてしまいました。「駆動系は3カ月保証」とのことだったので、3カ月以内に壊れたのは販売店が責任を認めているような気もします。修理または契約解除はもちろんのこと、できれば商談に遅れたことによる損害賠償も請求したいのですが、可能でしょうか?
まず修理に関してですが、今回のケースでは「駆動系は3カ月保証」という契約が成立しているので、3カ月以内ならば修理をしてもらえる可能性は高いと思われます。なお、一般的に無条件に修理してもらえるケースは主に次のような場合が考えられます。
一見すると分からないような「隠れた瑕疵」が故障の原因の場合は瑕疵担保責任に基づき修理または契約解除が可能です。
また、車の走行に支障をきたす故障に気づかずに販売していたとすれば、根本的な目的を果たさない商品を売ったということになるので、債務不履行も考えられます。この場合も修理をして貰える可能性は高いでしょう。
そもそも、本来ならば故障を発見して修理した状態で売る義務があるので、故障した車を売った場合には、故意にしろ不注意にしろ不法行為責任も問える可能性はあります。ただし、そのためには、今回の故障の原因が購入時からのものなのか、それとも購入後の使い方によるものなのかを証明していく必要があります。
いずれにせよ、保証がしっかりしていない場合は、販売店側と購入者側でトラブルになるケースも珍しくありません。冒頭のように、エンジンやトランスミッションなど、走行に係わる駆動系の故障については、しっかりとした保証のある店で購入することをお勧めします。
次に損害賠償に関してですが、これは簡単に言えば「商談が成功すれば500万円の利益だったのに、遅れたことで成立しなかったので500万円を払え」といった話だと思われます。
この因果関係を証明するのはかなり大変な作業です。もし、先ほどのように、注意義務や隠れた瑕疵を立証しても、商談に失敗した原因も証明しなくてはいけません。もしかすると遅刻だけが原因ではないのかもしれませんから。そうなると、個人で全すべての要件を証明するのはかなり厳しいでしょう。
A.損害賠償を請求するのはかなり難しいでしょう
はじめに、「駆動系は3カ月保証」=3カ月以内に起きた故障は販売店が責任を「認める」、という理論は成り立ちません。これは、3カ月以内に駆動系が壊れたら「修理をする」という契約で、そこには販売店の責任を認める内容は含まれていません。そもそも、故障を保証することと商談に遅れた損害賠償を補償することはまったく別の要件です。この相談は2つの事例を分けて考える必要があります。まず修理に関してですが、今回のケースでは「駆動系は3カ月保証」という契約が成立しているので、3カ月以内ならば修理をしてもらえる可能性は高いと思われます。なお、一般的に無条件に修理してもらえるケースは主に次のような場合が考えられます。
一見すると分からないような「隠れた瑕疵」が故障の原因の場合は瑕疵担保責任に基づき修理または契約解除が可能です。
また、車の走行に支障をきたす故障に気づかずに販売していたとすれば、根本的な目的を果たさない商品を売ったということになるので、債務不履行も考えられます。この場合も修理をして貰える可能性は高いでしょう。
そもそも、本来ならば故障を発見して修理した状態で売る義務があるので、故障した車を売った場合には、故意にしろ不注意にしろ不法行為責任も問える可能性はあります。ただし、そのためには、今回の故障の原因が購入時からのものなのか、それとも購入後の使い方によるものなのかを証明していく必要があります。
いずれにせよ、保証がしっかりしていない場合は、販売店側と購入者側でトラブルになるケースも珍しくありません。冒頭のように、エンジンやトランスミッションなど、走行に係わる駆動系の故障については、しっかりとした保証のある店で購入することをお勧めします。
次に損害賠償に関してですが、これは簡単に言えば「商談が成功すれば500万円の利益だったのに、遅れたことで成立しなかったので500万円を払え」といった話だと思われます。
この因果関係を証明するのはかなり大変な作業です。もし、先ほどのように、注意義務や隠れた瑕疵を立証しても、商談に失敗した原因も証明しなくてはいけません。もしかすると遅刻だけが原因ではないのかもしれませんから。そうなると、個人で全すべての要件を証明するのはかなり厳しいでしょう。
■ワンポイント法律用語■
瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)
買い主に過失がない状態で、売買の目的物に隠れた瑕疵(欠陥)があることを知らなかった場合、買い主は売り主に損害賠償の請求が可能。また、売買の目的が達することができないときは、契約を解除することができる因果関係(いんがかんけい)
因果関係とは「ある結果がある原因によって導かれた関係のこと。法律的には「ある結果がおきた原因として認定するのは、社会的に常識と考えられる範囲まで」と考えられている。例えば、風が吹けば桶屋が儲かる的な、いくつも事象を挟むような因果関係は立証しづらい。日刊カーセンサーの厳選情報をSNSで受け取る
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