この車に乗るなら……という視点で人気車が持つ魅力に注目するカーセンサー(雑誌)の連載。今回はトヨタ ヴォクシーをクローズアップ!

▲ヴォクシーは、トヨタの売れ筋である5ナンバーサイズミニバン。2014年から生産されている現行型は3代目にあたる。今年7月にはマイナーチェンジを受け、ヘッドランプなど主にエクステリアが変更された。今回扱ったHYBRID ZSはハイブリッドモデルの最上級グレードにあたり、内外装に専用の加飾が施されている。また、ノア、エスクァイアは兄弟車にあたる▲ヴォクシーは、トヨタの売れ筋である5ナンバーサイズミニバン。2014年から生産されている現行型は3代目にあたる。今年7月にはマイナーチェンジを受け、ヘッドランプなど主にエクステリアが変更された。今回扱ったHYBRID ZSはハイブリッドモデルの最上級グレードにあたり、内外装に専用の加飾が施されている。また、ノア、エスクァイアは兄弟車にあたる

家族を乗せる以外にもミニバンの楽しみ方はある

日曜日の午後。ここのところ子供の習い事の送迎や家族でのキャンプなど、大人数を乗せ、また大荷物を載せてこき使うことが多かった。そのヴォクシーを、たまには洗車しようと近所のガソリンスタンドまで出向いただけのつもりが、気づけば昔よく気晴らしに来た公園へ足を運んでいた。

独身時代は2シーターでひとっ走りしてはこの公園で降下中の飛行機を眺めるのが好きだった。最初は機体を見て機種や航空会社を識別するのだが、だんだん細かいことはどうでもよくなって、ただぼーっと眺め続けるのがいつものパターンだ。

1人でこの車を走らせたのはいつ以来だろう。普段大勢を乗せて移動することが多いから気づかなかったが、シートアレンジでこんなに広い空間を作り出せるとは。2列目シートを最大限後ろへスライドさせ、背もたれをリクライニングさせ、足を前方へ放り出すと、国際線のビジネスクラスや家のリビングのマッサージチェアに劣らぬ快適空間が得られた。

スポーツカーを走らせていた頃は走行性能こそが車の価値のすべてだと信じて疑わなかったが、ヴォクシーは走らせていないときの車の価値を教えてくれた。

▲シートアレンジを「スーパーリラックスモード」にすれば、まるでリビングのようにくつろげる ▲シートアレンジを「スーパーリラックスモード」にすれば、まるでリビングのようにくつろげる

使いやすさを考え抜かれたクールなミニバン

ヴォクシーハイブリッドは徹底的なマーケットインの車であり、ヒットすべくヒットしている。

運転席の視線が高く、外寸も取り回しのよい5ナンバーサイズに収まっているために運転しやすい。それでいて7人が長時間快適に過ごすことができるだけのスペースが確保されている。乗員数と荷物量に応じた多彩なシートアレンジも可能。ミニバンでありながらクールな内外装デザインゆえ1人で乗ってもサマになる。

またハイブリッドによる環境性能は高く、それによってユーザーの環境意識も高いと判断されやすい。実際の燃費もよく、経済的に助かる。近頃人々の意識が高まっている環境性能の面でも抜かりはない。

加えて昨今意識が高まりつつある安全装備についても、レーザーとカメラを用いた衝突被害軽減ブレーキや、車線逸脱警報装置、オートマチックハイビームなどを備えているなど抜かりがない。

ここまで総合的にユーザーフレンドリーな車があっただろうか。

▲黒い室内にブラッドオレンジの差し色が大胆に使われたインテリア。走行データ関連の表示は上部の4.2インチの小型モニターに集約される ▲黒い室内にブラッドオレンジの差し色が大胆に使われたインテリア。走行データ関連の表示は上部の4.2インチの小型モニターに集約される
▲現代の車らしくセンターアームレスト後部にUSBソケット2個を装備する ▲現代の車らしくセンターアームレスト後部にUSBソケット2個を装備する
▲歴代兄弟モデルのヴォクシーとノアはヴォクシーが男っぽい顔つきで、ノアが優しい顔つきというのがパターンだった ▲歴代兄弟モデルのヴォクシーとノアはヴォクシーが男っぽい顔つきで、ノアが優しい顔つきというのがパターンだった


【解説した人】塩見智
1972年、岡山県生まれ。自動車雑誌編集部を経てフリーランスライターへ。年を重ねるにつれ、派手でパワフルな車よりも実用的で経済的な車に関心を抱くように。

▼検索条件

トヨタ ヴォクシー(現行型)
text/塩見智
photo/篠原晃一