▲クラシックモダンなスタイルはジウジアーロ率いるイタルデザインが手掛けたもので、とにかく曲線美の塊です ▲クラシックモダンなスタイルはジウジアーロ率いるイタルデザインが手掛けたもので、とにかく曲線美の塊です

セクシーで大人っぽく、乗る人すべてを美しく見せる車

車は移動の手段でありながら、乗る人の魅力を引き立てる“ファッションアイテム”でもあります。「時代遅れなことを言いやがって」とお叱りを受けるかもしれませんが、誰しもが携帯電話を持つ時代でさえ、高級腕時計が売れ続けることを鑑みれば、ご納得いただけるかと思います。

というわけで、性別も年齢も問わず、乗る人のイメージを若々しく、エレガントに見せてくれる高級スポーツカーに注目。カーセンサーを検索していくうち、イタリアの名門スーパーカーメーカー、マセラティのある中古車が格安で流通していることに気づきました。

その車こそ今回オススメする3200GTです。マセラティがフェラーリ傘下に収まり開発、生産ライン、販売手法すべてを見直し、文字どおり生まれ変わったマセラティが最初に投入したモデル。まさにマセラティ復活の象徴であり、ジウジアーロデザインによるセクシーかつ伊達な心意気を教えてくれる1台です。
 

▲LEDのハの字テールランプは、後にアメリカ市場への進出を狙い、輝度面積の大きい三角形のコンベンショナルなものに変更されました ▲LEDのハの字テールランプは、後にアメリカ市場への進出を狙い、輝度面積の大きい三角形のコンベンショナルなものに変更されました

内外装の色っぽいデザインについてケチをつける人はいないでしょう。中古車となると内装のプラスチックパーツのコーティングが経年劣化し“ベトつく”ことがありますが、容易に修復できます。
 

▲コックピットはタイトで、スポーティさとセクシーさが両立しています。ちなみに、トランスミッションは6速MTと4速ATが設定されています ▲コックピットはタイトで、スポーティさとセクシーさが両立しています。ちなみに、トランスミッションは6速MTと4速ATが設定されています

3.2L V8ツインターボエンジンは笑ってしまうほどドッカンターボで、アクセルを踏みすぎると強烈なホイールスピンをかましてくれます。「車の走行性能としてどうなの」と問われれば議論の余地はあるでしょうが、ドライバーには笑みをもたらしてくれる個性です。

3200GTの新車時価格は1100万円~でした。しかし今となっては、だいぶお手頃になっています。カーセンサー掲載物件の平均車両価格は約225万円(2015年11月5日現在)。掲載台数は全部で11台しかありませんが、3つも200万円以下の物件がありました。

高級車が時間の経過とともに値落ちするのは何も特別なことではありません。ただ、スーパーカーに分類されてもおかしくない3200GTの値落ちぶりは、中古車ユーザー必見です。中古車価格は需要と供給が支配しています。悲しいかな3200GTは不人気なのでしょう、もはや。

この手の記事を書くとよくご指摘いただくのが、維持費についてです。3200GTの維持費は、ぶっちゃけそれなりにかかります。エコカーでもありませんし、燃費もそれなりにかかります。パーツの値段だって安くありません。だって、スーパーカーですもの。そこだけはある程度の“覚悟”が必要になります。

しかし、200万円台でも購入できる高級スポーツカーの中で、これほどのセクシーさをもつ車が他にあるでしょうか? 老若男女を問うことなく、誰が運転していても「カッコいいなぁ」と周囲から注目されることでしょう。

キーをひねってエンジンを始動させるクランキング音だけで、独特なサウンドが五感を刺激してくれます。もっと言うと、3200GTを見るだけで、3200GTに座るだけで、非日常がもたらされますよ。
 

text/古賀貴司(自動車王国)
photo/マセラティ