世界初の4輪ABS搭載車はメルセデス・ベンツSクラス(W116型)。では、国産車初は?
2015/04/09
車を安全に走行させるため、今もなお進化し続ける
車の基本性能を語るとき、よく耳にするのが「走る」「曲がる」「止まる」の3つ。特に「止まる」は安全に運転するための絶対条件。確実に止まれない車では安心してアクセルを踏めません。
「止まる」機能を果たす装備は、もちろんブレーキ。ところが滑りやすい路面や急ブレーキを踏むとタイヤがロックして、ハンドル操作が利かなくなり、スピンなどを起こしてしまいます。
これを防ぐために用いられるのが、教習所で教わるポンピングブレーキ。そして、これを機械的に行ってくれる機能がABS(アンチロック・ブレーキ・システム)です。タイヤがロックしたら車側でブレーキを抜いた状態を断続的に作り出すことで制動距離を短くし、ハンドル操作が可能にしてくれます。
ABSはもともと、電車向けに開発された装備でした。しかし、1969年にフォード コンチネンタルマークⅢ、1971年には日産 プレジデントが採用したことで車にも普及し始めます。しかし、ABSを採用したのは後輪だけで、舵を切る前輪は制御されなかったのでハンドル操作ができませんでした。
世界で初めて4輪にABSを採用した車は1978年にオプションで設定したメルセデス・ベンツ Sクラス(W116型)。国産車では1982年に登場したホンダ プレリュード(2代目)が廉価グレード以外でのオプションで設定されました。
発売当初、ホンダは4輪ABSのことを「4wA.L.B.」と称していたようにABSは当時、メーカーによって呼び方が異なりました。その後、あらゆる車にオプションで設定されて急速に普及。それに従って、全メーカーともABSという名称に統一されていきます。
2代目プレリュードがデビューして30年以上が経ちましたが、ABSは、駆動力制御機能やパワーステアリングと協調して制御することでより安定した走行を可能にするなど、今もなお進化し続けています。