▲この手信号、教習所で習ったのを覚えていませんか? ウインカーが故障した場合、右ハンドル車なら窓から右手を水平に伸ばすと右折、水平に伸ばした右腕の肘から先を垂直に立てると左折(左ハンドル車は同じ形を左手で行う)。ちなみにこの合図、自転車でもやらないといけません ▲この手信号、教習所で習ったのを覚えていませんか? ウインカーが故障した場合、右ハンドル車なら窓から右手を水平に伸ばすと右折、水平に伸ばした右腕の肘から先を垂直に立てると左折(左ハンドル車は同じ形を左手で行う)。ちなみにこの合図、自転車でもやらないといけません

“流れるウインカー”が法文に明示された

2014年10月9日、国土交通省が「装置型式指定規則」及び「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示」を一部改正したのをご存じですか? 

発表を見ると「これにより自動車の前部又は後部に備える方向指示器について、一定の要件を満たすものに限り、連鎖式点灯(シーケンシャル点灯)により点滅することができることとします」と書かれています。実はこれまで“流れるウインカー”については明示されていませんでしたが、欧州各国では認められており、アウディなどが採用しています。この改正で日本でも明示されました。

▲2014年3月にマイナーチェンジしたアウディ A8が採用した「マトリクスLEDヘッドライト」には内側から外側に向かい流れるように点滅するウインカー「LEDダイナミックターンインジケーター」が装備されています ▲2014年3月にマイナーチェンジしたアウディ A8が採用した「マトリクスLEDヘッドライト」には内側から外側に向かい流れるように点滅するウインカー「LEDダイナミックターンインジケーター」が装備されています

点滅式ライトの前は矢印が飛び出していた!?

自動車の装置は構造や配置、デザインなどに様々な決まりがありますが、運転中にごく当たり前に使うウインカー(方向指示器)、どのように進化してきたかご存じでしょうか? そもそもガソリン自動車が発明された1800年代後半の車には方向指示器はありませんでした。

というのも、当時は自動車自体が珍しい存在。ウインカーで周囲に自分の動きを知らせないといけないほど交通量が多くありませんでした。そのため、馬車で使われていた手信号で十分だったのです。

しかし交通量の増加に従い、事故を防ぐためにはまわりの車に自分の動きを知らせることが必要になってきます。そこで方向指示器が開発されたのです。

最初は車体の後ろに備えられた文字盤の「LEFT」「RIGHT」という文字を手動で操作する形でしたが、1900年代になるとボディ両サイドにつけられた収納式の矢印が跳ね上がる矢羽式の方向指示器が登場。日本ではアポロ工業という会社が開発した外付けの矢羽式方向指示器が普及しました。そのため、当時の日本では方向指示器のことを「アポロ」と呼ばれていたそうです。

その後の自動車メーカーの沿革などを見てみると、1940年代の車にはまだウインカーが付いていません。現在のようにライトが点滅するタイプのウインカーは1960年代のアメリカで普及し、日本車もまず輸出車両に装着されました。その後国内の販売モデルにも取り付けられ、やがてライトが点滅するウインカーが当たり前になっていきました。

▲1886年にカール・ベンツが特許取得した世界初のガソリン自動車。この頃にはまだ方向指示器がついていませんでした。周囲からドライバーが見えるオープンモデルなので、手信号で十分だったそうです ▲1886年にカール・ベンツが特許取得した世界初のガソリン自動車。この頃にはまだ方向指示器がついていませんでした。周囲からドライバーが見えるオープンモデルなので、手信号で十分だったそうです
▲1935年式のダットサン14型ロードスター。Aピラーについた黒い縦長の箱がアポロ式方向指示器です ▲1935年式のダットサン14型ロードスター。Aピラーについた黒い縦長の箱がアポロ式方向指示器です
▲アポロ式方向指示器が動作状態。進路変更したい方向の矢羽が跳ね上がります ▲アポロ式方向指示器が動作状態。進路変更したい方向の矢羽が跳ね上がります
text/高橋 満(BRIDGE MAN)