▲ここ数日お借りしていたアウディQ3。同行者がキーのとじ込みをやってしまったためJAFの救援を要請した ▲ここ数日お借りしていたアウディQ3。同行者がキーのとじ込みをやってしまったためJAFの救援を要請した

当初は「あまりに小市民的!」と否定しようと考えたアウディQ3だったが

写真上のとおり同行したカメラマン氏がキーのとじ込みをしてしまうというオマケ付きではあったが、アウディQ3というコンパクトSUVでしばし首都圏を放浪した。大変素晴らしい車だった。素晴らしい車だったがしかし、筆者は当初この原稿を書くにあたり、アウディQ3のことを……というか近年流行のプレミアム・コンパクトSUVのことを否定しようと考えた。「確かに素晴らしいが、我々が買うべきセグメントはコレではない!」と。

なぜ否定しようと考えたかといえば、アウディQ3はすべてにわたってあまりにも「ちょうど良い」からだ。

日本の道路で使う分には大きすぎず小さすぎない適度なサイズ。プレミアム感はあるが、普段づかいするのを躊躇してしまうほどではない適度な高級感。筆者が個人的に希代の名車だと思っている現行アウディA3スポーツバックと比べればややナマクラだが、しかし凡百のSUVと比べれば明らかに良好なフットワークと動力性能。広大ではないが、比較的背が高いゆえにいろいろ積み込めるラゲージスペース。そして何より、今一番人気といっても過言ではない「アウディ」というブランドの新車を、しかも「SUV」という流行ド真ん中の車を、車両本体価格390万円からというまあまあ手頃な値段で買えるということ。

▲全長4395mm×全幅1830mmのアウディQ3。筆者が試乗したグレードは1.4L直噴ターボを搭載する1.4TFSI ▲全長4395mm×全幅1830mmのアウディQ3。筆者が試乗したグレードは1.4L直噴ターボを搭載する1.4TFSI

このようにすべてにわたって「ちょうど良い」というのがアウディQ3の魅力なわけだが、すべてがちょうど良いということは「突出した部分はない」ということの裏返しでもある。

そうなると、人生とは芸術であり、芸術は爆発であると信ずる筆者としては「こういったモノに乗っていては人間が小さくなり、爆発できない。どうせ輸入SUVに乗るならもっとこう、情念が爆発するようなデカくてパワフルで物凄い存在感のやつを、新車は高いから中古で買うべきである。それで一緒に爆発しようじゃないか!」と訴えかけようと思ったのである。

しかし冷静になって考えてみれば、爆発したいと思っているのは筆者1人の勝手な意向であり、普通そうは思わないだろう。普通は、日本で使うにはジャストなサイズで、適度に高級で適度にイメージが良く、程よく運動性能が高く、そして馬鹿デカくはなくともそれなりに広いラゲージスペースとリア居住空間を備えている車を程よい予算で購入し、あくまでスマートに人生を楽しみたいと考えるのが健康な常識人というものである。

▲程よく高級な輸入SUV(アウディQ3)から望む夜の表参道。正直、悪い気はしません ▲程よく高級な輸入SUV(アウディQ3)から望む夜の表参道。正直、悪い気はしません

そうなるともはやアウディQ3を、いや、今流行りの輸入コンパクトSUVというものを否定する理由はどこにもない。否定する理由がないどころか、ここまで繰り返し挙げたとおり「日本で使うにはホントちょうど良い」という理由ばかりが浮かび上がるのが、昨今の輸入コンパクトSUVである。これを否定するのは筆者のように愚かで頑迷な者に任せ、健康な常識人である皆さまにおかれてはぜひぜひ前向きに、「ちょうど良い輸入SUV」を選んでいただきたいと、嫌味でも何でもなく心の底から願っている。

何をもって「ちょうど良い」とするかは微妙なところだが、最大公約数的なところを推測するならばサイズ的にはVWティグアン(全長4430mm×全幅1810mm)以下、価格は車両本体価格300万円以内、そして見栄えや世間体の点からいって現行モデルか、限りなく現行モデルに近いもの……といったところだろうか。この条件でソートしてみたのが下記物件リンクなので、ご興味のある方はぜひご覧いただきたい。

▲こちらがアウディQ3とほぼ似たようなサイズとなるVWティグアン ▲こちらがアウディQ3とほぼ似たようなサイズとなるVWティグアン

ということで今回のわたくしからのオススメはズバリ「300万円以下の現行輸入コンパクトSUV」だ。

text/伊達軍曹