「ちょっと古いマセラティは壊れやすい」は本当か!? プロショップにド直球に聞いてみた!
カテゴリー: 編集部からのお知らせ
2025/02/24

マセラティは壊れやすいって本当? 専門店に聞いてみた
ちょっと古いマセラティには、フェラーリ製エンジンを搭載しているモデルが存在する。2002年に登場した「マセラティ クーペ」を皮切りに、その進化版である「グランスポーツ」、2004年デビューした4ドアセダンの「クアトロポルテ」、そして先代の「グラントゥーリズモ」まで、すべてその心臓部はフェラーリユニットなのだ。
フェラーリが開発したF136型4.2L(後期型は4.7L)のV8自然吸気エンジンは、鳥肌もののエグゾーストノートを奏でる。その音を聞くだけでこの車を所有していることへの満足感が得られるというオーナーもいるほどだ。
しかし、泣きどころがないわけではない。フェラーリでいうところの「F1マチック」、マセラティでは「カンビオコルサ」と呼ぶ6速セミAT。いわゆるトルコンATとも現在主流のDCT(デュアルクラッチトランスミッション)とも異なる、マニュアルトランスミッションの構造のままクラッチ操作を自動化した、F1マシンのトランスミッションをルーツとするものだ。ダイレクトなシフトフィールが魅力である一方で、あまり寿命が長くはないという欠点がある。それゆえ、壊れやすいというイメージをもたれがちだ。

実際のところはどうなのだろうか。神奈川県横浜市にあるフェラーリエンジンを搭載するマセラティのスペシャルショップ「ミラコラーレ」の野田社長に話を聞いてみた。
「さすがに国産大衆車のように乗りっぱなしというわけにはいきませんが、どういった周期でどこをメンテナンスする必要があるのか、我々にはそのノウハウがあるのでしっかりと整備すれば壊れることはありません。整備履歴の曖昧な個体に関しては、我々は“リセットする”という言い方をしますが、まず重点箇所を整えます。1度リセットしてしまえば、フェラーリエンジン本体は耐久性も高いですし、定期的にメンテナンスをしていけば安心して乗ることができます」
安心に乗るため「カンビオコルサ」の定期的交換がマスト
クラッチの寿命は、具体的にどれくらいなのか。
「カンビオコルサは、クラッチとクラッチを制御するためのポンプの定期的な交換が必要になります。交換サイクルは乗り方にもよりますが、クーペやクアトロポルテの初期モデルの場合で1万5000kmから3万kmくらい。グランスポーツやクアトロポルテの中期からはクラッチ板が対策品になっており4万~5万kmくらいまでもつようになっています」
ミラコラーレが販売する車両はクラッチの残量を%表示している。これはテスターで診断することが可能という。また、同店では車両を下からのぞき込み、わずか2cmほどの隙間から目視でクラッチ板の状態を判断することもあるというが、それは経験豊富なメカニックだからこそなせる技だ。そして、残量20%で実質的にはゼロと判断するという。残量はメーターなどに表示されるわけではないので、オーナーが目視できるわけではない。クラッチが摩耗すると、具体的にどのような症状がでるのだろうか。
「症状としては何種類かあります。1つの目安となるのが、例えば5速で走っていて前方の信号が赤になったとします。ブレーキを踏んでいくと、4、3、2、1と自動的にシフトダウンをして停止するわけですが、3から2や、2から1に落ちるときに、いきなりエンストすることがあります。ガクンとしたショックはなくて、エンストしたことがわからないくらいすっとエンジンが止まる。それが兆候の1つです。それから、これはマニュアル車と同様ですが、発進の際にクラッチが滑っている感触が出たら、ほぼ末期症状です。また、アクセルを全開にしてレッドゾーンでシフトアップさせてみたときに、正常であればガツンガツンとダイレクトにつながりますが、そこでにゅるっと滑る感触が出始めたときも同様ですね」
クラッチの交換費用は、部品価格の高騰や為替の問題などもあり、現在はおよそ100万円が目安になるという。ここからは実際の交換作業をみせてもらうことにする。
クラッチセンサーが故障するとエンジンがかからない、エンジンがストールするといったトラブルが発生する。クラッチ交換の際にこの部品を交換していないケースもあるようで、ミラコラーレでは同時交換を行っている。写真下段の中央に見えるシルバーのF1ポンプは5年に1度の交換を推奨しており、基本的にクラッチ交換のタイミングで同時に作業を行う。この部品が故障するとギアが入らなくなり、不動になってしまう。










中古車を選ぶ際のポイントは?
“予防整備”という言葉があるが、積み重ねたノウハウをもとにあらかじめ想定しうるトラブルのもとに対して壊れる前に対処しておくというものだ。
「できるだけ整備費用を安く抑えたい」というのは多くのユーザーに共通する思いだが、“損して得取れ”ということわざにもあるように、予防整備こそが大トラブルを防ぎ、最終的に大きな出費を避ける対策となるはずだ。
そして、こうしたちょっと古いマセラティの購入を検討する際には、整備記録を確認することが重要だ。クラッチ板の交換歴や残量のチェックはマストといえるだろう。ミラコラーレのような豊富な知識と経験をもったスペシャルショップであればその点もしっかりと提示してくれている。そしてのちには主治医として重要な意味をもつ。これからも安心して不世出のフェラーリ時代のマセラティをご堪能あれ。
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ライター&エディター
藤野太一
カーセンサー、カーセンサーネットの編集デスクを経て、カーセンサーエッジの創刊デスクを務める。現在はフリーランスのライター&エディターとして、自動車誌をはじめビジネス誌、ライフスタイル誌などにも寄稿する。