フォレスター▲自動車・中古車に関する調査・研究を通じ業界の発展を目指すリクルート自動車総研が、調査データと独自の考察をお届け。今回のテーマは「中古車の平均購入価格」。写真はその平均価格とおおむね同程度で流通するスバル フォレスター(4代目)

年々上がる中古車の購入価格。その原因はコロナだけにあらず

「コロナによる世界的な半導体不足で新車の納期が遅延。その影響を受け中古車も品薄で価格が高騰」。

この1~2年でこんなニュースを耳にしたことはないでしょうか? これ、半分は正しく、半分はその限りではありません。
 

リクルート自動車総研グラフ

リクルート自動車総研が年に1回実施している『中古車購入実態調査』の平均購入価格を見ると、コロナ前から年々上昇傾向にあることがわかります。2020年こそコロナの影響かイレギュラーですが、前後は綺麗な階段状。しかも、コロナ禍前の方が購入額の増加幅は大きかったのです。

ただし、中古車の購入価格がどんどん上がっていると言っても、必要以上に嘆く必要はありません。その理由としては、環境や安全に考慮した車など、機能面が充実しているモデルが増えているのがひとつ。
 

プリウス ▲新型の登場で先代モデルとなった4代目のプリウス。平均価格の156.6万円なら600台以上の物件が選択肢となる

また、残価設定ローンやサブスク、リースなど所有や保有する方法も多岐にわたることで、より高年式な中古車が市場に増えています。より高性能な新しいものがたくさん流通するので、結果として平均価格を押し上げることになっているのです。

そして、これら要因で価格が上がる場合、多くは売却時の残存価格も上がることを意味しており、そういった点もトータルで考えることが重要でしょう。
 

ノート ▲総額100万円未満でも約300台の物件が流通する日産 ノート(2代目)のe-POWER

100万円未満派が多いが200万円以上の購入層も増加

「中古車だったら100万円未満で買いたい」という予算感をお持ちの方もいらっしゃると思います。

それを示すように、平均価格が上がり続けている今でも100万円未満で購入されている方のシェアは最大です(今年の調査では逆転しそうですが)。

対して、200万円以上で購入している方がジワジワとその勢力を伸ばしています。
 

X5 ▲平均購入価格の156.6万円なら人気のプレミアムSUVも。写真はBMW X5(2代目)

SUVが欲しい! 輸入車が欲しい! ハイブリッド車が欲しい! 最新の安全装備付き の車が欲しい! と、今や中古車でなんでも望みがかなう時代。

平均購入価格である156.6万円の予算を用意した場合、50万台超が掲載されているカーセンサーの物件のうち約30万台が選択肢となるのです。

少し予算を増やしてみたとき、どんなモデルが候補に入るのか、楽しみながら検索してみてください!
 

文/西村泰宏、写真/尾形和美、篠原晃一
西村泰宏(にしむらやすひろ)

リクルート自動車総研所長

西村泰宏

カーセンサー統括編集長 兼 リクルート自動車総研所長。自動車メディアを車好きだけでなく、車を購入するすべての人のエンターテインメントに変革すべく日々の仕事に従事している。