トヨタは今後の環境技術への取り組み方を明らかにした。ガソリンエンジンと電気モーターを併用するハイブリッド車(HV)をエコカーの主力とし、2015年末までに国内外で21車種を販売。「エコカーは普及してこそ環境に貢献する」という考えの元、燃料の多様化や各国の環境政策に合わせた車づくりをするという。

トヨタは、国内でアクアを、海外でヤリス(日本名ヴィッツ)を販売し、小型車から商用車までほとんどのカテゴリーにHVをラインナップ。さらに2012年6月に発売された11代目カローラに搭載された「Super CVT-i」や、北米向けLexus RX 350 F Sportに用いられた「FF用8速AT」などに代表されるトランスミッションの技術と組み合わせ、燃費性能と運転性能を合わせて向上させた。その甲斐あってトヨタはHVの2012年世界販売台数で初めて100万台を超える見込みだ。

今後は2015年末までの3年間で新型HV14車種とモデルチェンジ7車種を投入予定。直近では、高出力でありながら燃費も良いHV向け新型エンジンを搭載したクラウンを来年初めにリリースするという。

プラグインハイブリッド車(PHV)に関しては“次世代環境車の柱”と説明。プリウスPHVでは約8%のユーザーが200Km/Lという驚異の燃費を記録した(トヨタ調べ)。トヨタはPHVをさらに普及させるため、PHVを災害などの非常時の電源として活用できる外部電源供給システムを設定するほか、車両のグレードを充実させていくという。

EVは都市内の近距離移動で力を発揮すると想定。2012年末に「IQ」をベースにした「eQ」を、日米で自治体や特定利用者向けに限定販売する。ただ、トヨタは充電時間や航続距離など今のEVの実力について「まだ社会の需要が満たせない」と評価。リチウムイオン電池に代わるエネルギー密度の高い次世代電池として「全固体電池」の研究を進めている。

水素を燃料として走る燃料電池車(FCV)については、2015年ごろからセダンの販売を開始する予定だ。まずは日米欧の水素供給インフラが整備されている地域でリリースし、2020年代には年間数万台の販売を目指すという。また現在、日野自動車と共同開発を進めている新型FCバスは2016年に市場導入を目指す。

2012年12月に日米で限定販売される小型EV「eQ」。1回の充電で100km走行できる。価格は360万円を予定している

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低燃費と高出力を両立した新型の2.5L直列4気筒エンジン「2AR-FSE」。2013年以降、続々と新車に搭載される予定だ

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PHVを電源として利用するための「ヴィークルパワーコネクター」。車外の家電製品に電力を供給できる

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