熱く盛り上がる旧車業界! AE86やケンメリ、ハコスカ、RX-7など昭和の名車に注目するファン層が拡大している!?
カテゴリー: レース&イベント
タグ: トヨタ / 日産 / ホンダ / マツダ / ケータハム / フォードGT / レパード / RX-7 / セブン / シビックタイプR / スカイライン / カローラレビンハッチバック / カローラレビン / スプリンタートレノハッチバック / スプリンタートレノ
2025/03/15

「旧車マニアの集会」という雰囲気とは少し異なるも強烈な熱気を感じるイベント

ノスタルジック2デイズは今年で16回目の開催となる旧車イベントだ。会場となったパシフィコ横浜には、カーセンサーnetで探しても数台しか掲載されていない懐かしのモデルから、まったく掲載されることなく生き続けているモデルが一堂に集まった。
昨今では、ヘリテージモデルの保存に力を入れているメーカーのブース出展もあるなど、その盛り上がりは年々増すばかりで、イベントの協賛もしているマツダがRX-7(FD型、FC型)やロードスター(NA型)を展示。また、トヨタや日産などのメーカー系ディーラーからも旧車が展示されているなど、知る人ぞ知る専門ショップとコアなファンだけが楽しむイベントとは様子が異なってきているように思えた。実際に会場で見かける参加者には、小中学生や若い女性も少なくない感覚だ。

会場中央付近にブースを出していたショップ「ユーティリタス」の池谷社長に旧車ファン層に変化があるのかを伺った。
「意外と来場者の顔ぶれは変わっていないんじゃないですかね。当時20、30代の来場者が年を取って50、60代になった今でもまだ見に来てくれている、という感覚です。当社は開催当初から参加していますが、展示している車種はぶっちゃけて言えば同じです。ただ、当時の展示車は中古車本体価格100万円以下で流通しているものも多かったんですが、今はその同じ車種の中古車本体価格が400万とか500万円とかになっているんですけどね(笑)」
ノスタルジック2デイズが始まった16、7年前はR33、34型スカイラインGT-Rがまだ現役だった時代。その先代にあたるR32型が中古車マーケットのメインに鎮座し、その前の世代となるR30、31型は恐らく中古車相場の旬にあったはずなので、池谷社長のおっしゃるように程度の良い個体でも車両本体価格で100万円台、状態によっては50万円前後で流通していたはずだ。現在の価格を前に、あの時購入を見送ったことを後悔している人も決して少なくは無いだろう。
「でも当時買えなかった人が50代、60代になってお金に余裕ができた今、この価格でも価値を評価してくれるんですね。お客さんたちが年を取った分、我々出店同業者のみんなも白髪が増えて同じだけ歳を取りましたけどね(笑)。ただ、彼らのお子さんらが車好きの親の影響でこの世代のモデルに興味を持ち始めていることも確かです」
レストア、レプリカ業界にも明らかな変化が


会場には「名車」の域に達しているようなモデルやレーシングマシンのようなチューニングが施されている車両も多く展示されていた。中でも目を引いたのが伝説のル・マン優勝マシン「フォード GT」と思われる個体。当然、その周りには人だかりができていた。本物なら販売価格はウン千万円どころか億円単位になるだろうと想像しながら、出展者の株式会社アートクラフト CEOの矢野秀文さんに「これ、本物ですか?」と聞いてみた。
「これはレプリカですね(笑)。実はベース車両はトヨタ MR‐Sです。ホイールベースがフォードGTとほぼ同じなのでベース車としては理想なんですよ。この個体ですが、エンジンはV8ではなくベース車のままトヨタ製の1.8L直4です。ボディや内装はオリジナルを再現していますが、中身はMR‐Sなのでエアコンだって付いていますし普段使いも可能ですよ」

内装もオリジナルを忠実に再現しているようで、運転席に座らせてもらうとその雰囲気を全身で感じることができた(筆者は本物に触れたことがないが……)。ただ、エンジンなどが本物とは異なるレプリカモデルを来場者含めファンはどう評価しているのだろうか。
「本物を愛でたいという人も当然いらっしゃいますが、あえてのレプリカ車で愛でるより実際に走らせたい、気軽に接したいという方たちのニーズの高まりを感じています。当社では様々な往年の名車のレプリカ車両を制作していますが、年々問い合わせも増えてきています。こちらの個体はゼッケンや照明含むカラーリングやダッシュボードなどオプション付きなので1800万円ですが、ベースモデルは1200万円からとなります。ユーザーさんの用途に合わせ、使いやすいよう細かい部分のオーダーにもお応えしています」
ノスタルジック2デイズはまだまだ進化を続ける

旧車とそれを扱うショップ、そしてそれを見に来る客層について、このイベントを主催する株式会社芸文社の取締役である石井成人さんにもお話を伺った。
「毎年開催規模は大きくなってきています。当初は弊社が出版する雑誌に掲載していただいていたショップさんだけが集まるような感じでしたが、近年は自動車メーカーやディーラーさん、チューニングショップなどのご参加もありイベント規模が大きくなってきました。併せて来場者様の層にも広がりが出てきていることを実感しています」
普段見かけなくなった懐かしいモデルたちとそれを見に来る来場者の様子から、旧車もまだまだイケるという旧車業界の勢いと熱量を感じることができる。
「いやいや、とはいえ旧車の保存は年々厳しくなっていると思います。実は、部品が手に入りにくくなっているんです。国産車でいえば、十数年前のスクラップインセンティブの影響が大きかったと感じます。わずかな補助金のために当時かなり多くの車がスクラップされてしまいました。人気グレードはファンによってある程度維持されましたが、流用可能な共通パーツの供給元となるはずだった中間以下グレードの車両の流通量があの時に一気に減ってしまったんです。ただ、専門店とパーツメーカーが協力して部品製造を続けていたりするケースや、旧車用に新規で開発製造を始めるパーツメーカーも出てきています」


ノスタルジック2デイズが始まった当時は60、70年代の車両がメインで、ハコスカ、ケンメリ、S30 Z、ベレット、初代セリカやレビン、トレノ、ホンダS600/800などが多かったそうだ。そこから17年の間に80、90年代車が増えていき、現在はこの世代のモデル中心となる。だが、今年ももう2025年。石井さんは、ついこの前という感覚の2000年代の車もいつの間にか20年から25年が経過し、旧車と呼んでもいい年月が経っていますね、と続ける
「今20代の若者が、親が若い頃に乗っていた車や自分が子供の頃に親が乗っていた車を探しているケースが多いのですが、それはすなわち80、90年代車がメインです。昭和レトロとか平成レトロとかいわれるように、日本が勢いのあった時代感を含めて、そういう時代の車に憧れがあるように思います。そのような流れから未来を推測するなら、いつかミニバンが並ぶ時代がくるのかもしれませんが、それは決してノスタルジック2デイズのメインストリームにはなり得ない話だと考えています。主催者としては、あくまでも中心は70年代以前のアイアンバンパー+キャブレターの旧車と80、90年代のネオクラシック(ヤングタイマー)で、ハコスカやZ、2000GTといった普遍的価値や人気を誇る旧車の存在は揺るぎないものと考えています」



何年後かのノスタルジック2デイズには、決してメインにはならないもののミニバンや初期のハイブリッドモデルが来場者のノスタルジーをかき立てる脇役に添えられるのかもしれない。ノスタルジーを感じる車は人それぞれ。それは世代ごとにも異なり、時代によっても変わっていくのだ。ノスタルジック2デイズが開催されたパシフィコ横浜の当日の公共駐車場には、会場に展示してあるような旧車も多く駐車されていた。この景色の裏側には、維持の難易度が高まる旧車を丁寧に扱うプロショップとオーナーたち双方の「旧車が好き」という熱量と保存努力があるのだ。中古車情報を扱うカーセンサーの一人として、旧車を愛する彼らに感謝するとともに、ノスタルジック2デイズが来年以降さらに勢いを増していくだろうことを確信した。


その他、会場で気になった車















