オーバー200km/hでEVマシンが市街地を疾走、新世代レースのフォーミュラE【EDGE MOTORSPORTS】
カテゴリー: レース&イベント
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2021/07/10
FIA主導のもと開催されているフォーミュラE。Eという名前のとおり、全出場マシンが電気モーター駆動となる新時代のレースだ。モーター音をうねらせ200km/h超えで走るマシンの駆け引きを、市街地で見ることができる唯一無二のレースとなっている。
今回は、フォーミュラEと参戦メーカーの代表EV車の最新事情、魅力を解説したい。
メーカー設計の内部機構によって、各メーカーの電動ノウハウが生きる
フォーミュラEは、2014-2015年シーズンに始まった、100%電動のフォーミュラカーによるワンメイクレースだ。シリーズは、秋の開幕から年をまたいで年間十数戦程度が行なわれる。
排ガスも騒音もないため、サーキットではなく大都市やリゾート地などの市街地コースで行われるのが大きな特徴だ。駅の近くなどアクセスのよい場所にコースを設営し、観客は基本的に公共交通手段で移動する。サーキットにつきものの、交通渋滞を巻き起こさないという面でもサスティナブルなレースだ。
2020年に開幕したシーズン7より、国際自動車連盟(FIA)主催の世界選手権大会となり、これによりFIA フォーミュラ1世界選手権(F1)、FIA 世界ラリー選手権(WRC)、 FIA 世界耐久選手権(WEC)などと同格のレースシリーズとなった。
第1世代のマシンでは、バッテリー容量が小さく、またレース中に充電することもできないため、ピットインして別のマシンに乗り替えるという独自ルールを採用してきた。しかし、第5シーズン(2018-2019年)より「GEN2」と呼ばれる第2世代のマシンへとアップデート。バッテリーが28kWhから54kWhとほぼ倍増となり、別のマシンへと乗り替える必要がなくなった。
最高出力も従来の272psから340psにアップ(決勝レースでは272psに制限される)、最高速度も225km/hから280km/hになった。また、従来はオープンホイールタイプだったが、安全性向上のためフェンダーが備わった。さらに、ドライバーの頭部保護のため、F1マシンと同様の「Halo(ハロ)」が装着されている。
現行ルールでは、モノコック、空力パーツ、シャシー、バッテリー、タイヤはワンメイクで、MGU(モータージェネレーターユニット)、インバーター、ギアボックスはチームごとの独自開発が認められている。
タイヤはミシュランのワンメイクで、全戦が市街地コースという特性からスリックタイヤではなく、ウエットも兼用の溝付きタイヤを使用する。サイズは、量産の市販車に合わせ18インチサイズで、市販の『PILOT SPORT』と似た構造やパターンを採用。ここで得たノウハウが、近い将来の市販タイヤに直結しているという。
当初、シーズン7(2020-2021年)から、空力パーツなどに改良が施された“GEN2 EVO”にアップデートされるはずだったが、新型コロナウイルス (COVID-19) の世界的流行の影響により、シーズン8からの投入へと延期された。
現在はシーズン7の後半を迎えており、7月には10&11戦がアメリカ・ニューヨーク、そして12&13戦がイギリス・ロンドンで、8月の14戦&最終戦がドイツ・ベルリンで開催予定だ。
今シーズン参加しているのは12チーム24台で、24名のドライバーがエントリー。参戦しているのは、アウディ、BMW、DSオートモビル、ジャガー、メルセデス・ベンツ(EQ)、日産、ポルシェといった顔ぶれだ。
ちなみにアウディは、今シーズン限りでフォーミュラEでのワークスプログラムを終了し、2022年から新たにEVによるダカールラリープログラムをスタートするという。
また、シーズン9(2022-2023年)からは、第3世代マシンである「GEN3」に移行する。これは、GEN2と比べ120kg軽量化、最高出力が現行の340psから476psにまでパワーアップ。さらに、急速充電機能も備えるというから相当なアップデートとなる。マクラーレンなどが新規参入を検討しているというが、コロナの影響もありまだ詳細は決まっていない。
東京都も2019年度、予算にフォーミュラEの誘致にむけた調査費を計上していたようだ。また、横浜みなとみらいなども候補にあがっていたが、コロナ禍にオリンピックもあってさすがに国内の動きは止まっているようだ。また、F1をやめて電動化にかじを切るホンダの参戦はあるのか、コロナ収束の先にある電気自動車のレースは新たなブームとなりえるのか、要注目だ。