ランサーエボリューションXとともに自分のポテンシャルを最大限に引き出す! ストイックに“分切り”を目指すオーナー
2025/04/18

【連載:どんなクルマと、どんな時間を。】
車の数だけ存在する「車を囲むオーナーのドラマ」を紹介するインタビュー連載。あなたは、どんなクルマと、どんな時間を?
ランエボオーナーになる前から、オフ会やイベントに参加
幼少期、近所に車が大好きな親子がいて、その影響で自分も車というものに興味を持った。あるとき、たまたま街中で颯爽と走るかっこいいスポーツカーに一目惚れした。それが「三菱 ランサーエボリューション」である。一目惚れしてからというもの、ランエボ愛は日に日に増していき、いつか新車を買って乗りたいという夢を描くようになる。
車好きに育ったやまけんさんは、学生時代は吹奏楽部に所属しトロンボーンを担当。音楽漬けの日々を送っていた。進路を考える時期に音大か、それとも車を学べる学校に進学するかで悩み、最終的に後者を選んだ。彼の車漬けの日々は、ここからますます増していくのだった。
車を学び、暇さえあれば動画サイトでサーキットを攻める動画をたくさん見たりといった大学生活送っていた頃、衝撃的なニュースが飛び込んできた。「ランサーエボリューション、販売終了」である。当然、頭がカチ割れるほどのショックを受けた。
卒業したら新車を買おうと夢見ていたが、それができなくなってしまうと危惧したやまけんさんは、父親に相談し、とりあえず買ってしまおうと言ってくれて、すぐさま見積もりを取りに親子でディーラーに駆け込んだ。そして再度、ハンコを持ってディーラーに行こうとしたとき、売り切れましたと言われ、相当凹んだそう。
「そのときは縁がなかったようです……」

当時やまけんさんが最初に手にした愛車はトヨタ カルディナだったが、エボが好きすぎて主催に許可を取り、いろいろなランエボのオフ会やイベントには顔を出していた。
「近いうちにエボオーナーになる予定だ」と言いながらつながりを作っていったという。「今は100人近くエボ関係の知り合いや仲間がいると思います」というのだから驚きである。
時が経ち、無事エンジニアとして就職したやまけんさんに、またもや衝撃的なニュースが舞い込んだ。ランエボのファイナルエディションの中古車が走行距離1200kmで売りに出ていると、同じく車関係で働く友人に教えてもらったのだ。考える暇もなく、すぐさま実物を見にいき、気づいたらハンコを押して手付金を払っていた。子供の頃から抱いていた夢が、ついに現実となった瞬間である。

それからは、通勤車としても趣味車としてもこのランエボ1台でとにかく乗りまくった。年間2万5000kmほどドライブしていたが、最近、大切に乗っていきたいと思うようになり、足車用に家族から譲り受けたホンダ フリードと2台持ちして車ライフを楽しんでいる。
カルディナ時代から、とにかく走ることが大好きだというやまけんさん。仕事で疲れがたまったときや、ストレスを感じてしまったときに、ふらっと街に乗り出してドライブをよくするという。
「ふらっと」というが、一般的な人にとっては距離が長い。200kmほどぐるっと郊外を一周し、チルして家に帰る。毎回、帰ってきて駐車してもランエボの余韻に浸り、降りるのが名残惜しいため帰ってきてもすぐ車から降りない。
「僕のエボは、家のソファよりも快適です(笑)」
ちなみに、このランエボでのドライブ最長記録は都内から富山までの往復。とあるオフ会に行くために、行きは下道で8時間かけて向かい、帰りは高速に乗っていろんな道を楽しんだという。


今の目標は筑波サーキット コース2000での“分切り”
サーキットデビューは納車して2年がたったときだ。ランエボのオフ会で出会った知り合いと本庄サーキットに一緒に行ったのが最初だった。「走ることが大好きな人」から「タイムアタッカー」になった瞬間である。
サーキットの魅力に一瞬にして引き込まれた彼は、ランエボをもっときちんと乗りこなしたい、速さを引き出してあげたいと一層思うことになった。すぐさまレーシングスーツなど一式揃えて、走りに没頭するようになる。
ホームコースは筑波サーキットと富士スピードウェイがメイン。特に筑波のコース2000では、最初に走った記録1分6秒台から、現在は足回りのチューニングのみで2秒台まで縮める成長を見せた。「エンジンチューニングを果たした今の目標は、ここで“分切り”することですね。車のスペック的には十分可能なはずなので」


カスタムは、外は純正、中はカリカリチューンが好みとのことで、外装に改造を施すことはほとんどしていない。
サーキットを走るようになってから、足回りのセッティングを試すようになり、タイヤとホイールを純正よりサイズアップさせてムッチリとした見た目とした。だいぶ車高が下がっているようにも見えるが、比較的高めのセッティング。今履かせているタイヤとホイールによってそのように見せているという。
「ホイールみっちみち(いっぱい)に入る大径のブレーキが好きですね」と細部までとことんこだわる。さらに最近ではパワーにもこだわるようになり、エンジンを純正の2Lから2.2Lへ排気量を拡大させたり、ミッションをオーバーホールしたりフロントLSDを入れたりと多岐にわたる。

納車してから9年が経った。
「カスタムだけでざっと500万~600万円以上は貢いであげていると思います(笑)」
レーサーの谷口信輝選手が、憧れの人だというやまけんさん。以前、走行会のイベントでゲストとして来ていた谷口選手に自分のランエボに乗ってもらえる機会があり、その際セッティングを褒めてもらえたことが何より嬉しかったし、思い出に残っているそう。
ファイナルエディションは台数も限られている貴重なモデルゆえ、カスタムを施しサーキットを走っている人はランエボ界では珍しいそうで、やまけんさんですか? と声をかけられるとこもしばしば。
愛車のランエボといろんな思い出をともに作ってきたやまけんさん。「この先、どんな人生のステージになっても絶対に手放さないですね」と誓う。
「味わい深い2桁ナンバーの車から降りてくるイケオジオーナーのように、自分もランエボとともにそんなかっこいい将来を送りたいですね」と笑顔で新しい夢を語ってくれた。


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三菱 ランサーエボリューションX×全国
やまけんさんのマイカーレビュー
三菱 ランサーエボリューションX
●購入価格/420万円
●マイカーの好きなところ/まずは見た目! 内装も意外と高級感があって居心地がよいところ。
●マイカーの愛すべきダメなところ/Aピラーが太すぎて、コーナーの先が見にくいこと。あとはパーツが高いことですね(笑)
●マイカーはどんな人にオススメしたい?/歴代ランエボの中では、比較的価格の高騰が抑えられているので、「ランエボが好き」「スポーツカーが好き」という人にはオススメしたいですね

自動車ジャーナリスト
瀬イオナ
車メディアの雑誌編集部員を経て、2024年にフリーランスとして独立。「走って書ける」自動車ジャーナリストを目指して修行しながら、若手ジャーナリストとして活動中している。車業界に入ったきっかけは、某動画で中谷明彦師匠を見つけたこと。現在に至るまで「ドライビング」はもちろん「ジャーナリスト」の心得など業界におけるすべてを教わりながら日々鍛錬中である。趣味はドライブ、レーシングカート、サウナ。