ガレージハウス
 

ガレージハウスとは、住宅と駐車スペースが一体になった家のこと。車から家への出入りも便利で、趣味を楽しめるとっておきの場所にも! 暮らしを格上げするその魅力と、つくるうえでの基礎知識を紹介しよう。

【CASE1】愛知県/K邸 | アウトドアギアに囲まれて、家でもアクティブライフを楽しめるガレージハウス

「趣味はアウトドア全般で、愛用の道具を収納するだけでなく、観賞したり手入れできたりする場所として、秘密基地のようなガレージに憧れていました」と語るKさん。賃貸暮らしのころはグッズの収納のために倉庫も借りていたという。

ガレージハウス▲カーポートから車をバックさせて、ガレージ内でアウトドアグッズの搬入出がしやすい動線計画にした

ガレージ内にはウエットスーツを洗える深型シンクも設置。「重い道具をルーフボックスに載せることも想定し、入居後にクレーンも取り付けたくて、天井の耐荷重も考慮して設計を依頼しました」さらに奥行きを利用して、仕事用のデスクをDIY。キャンプに持参するソファも置き、壁は「見せる収納」にしてサーフボードを飾った。

ガレージハウス▲DIYした棚で収納力もアップ。左手のへこみには深型シンクを設けてウエットスーツを洗えるように。物干しバーも設置して洗った後はスムーズに乾かせる
ガレージハウス▲ガレージと前面のカーポートは天井を木で統一して連続感を出した。シンプルなコンクリート調の壁に、愛用のグッズが映える

「雨の日でもガレージでアウトドア気分が味わえるのもいいですね。居心地がよくてつい長居してしまう(笑)。大好きな道具を眺めながら、キャンプ用のコーヒーメーカーで入れた一杯を味わうのは最高のぜいたくです」

ガレージハウス

DATA
建築面積/176.19㎡
ガレージ面積/25.26㎡
竣工年月/2021年11月
家族構成/夫(30代)、妻(30代)
車種/SUBARU・アセント、MAZDA・CX-30
設計・施工/アールギャラリー(アールプランナー)

 

【CASE2】岐阜県/A邸 | メンテも愛車仲間との時間も! 一日中過ごせるガレージハウス

Aさんが注文住宅を選んだのは「ガレージハウス」が欲しかったから。「バイクの手入れだけでなく、自分好みのガレージで過ごしたいと、長年夢を育んできました」

ガレージハウス▲平屋のガレージハウス。程よくプライバシーを守れるように玄関に続く扉はすりガラスにした 
ガレージハウス▲車は普段ガレージ手前の駐車場にとめているが、台風のときはガレージに入れることを想定して広さを決めた

趣味に没頭できるように、土間玄関を挟んでガレージとリビングを配置。「バイク仲間には、玄関に上がらず気楽に訪ねられると好評です」

内部は小屋のような空間をイメージして、壁は強度が強いOSB合板を現し、天井の梁も見せることに。ギターや自転車を飾って趣味をちりばめた。ソファとテレビも備え、ゆっくりお酒を飲む時間も格別だそう。

ガレージハウス▲リビングからも土間玄関越しにガレージが見える。土間玄関の先に手洗いとトイレを設け、ガレージとの動線をコンパクトに
ガレージハウス▲バイクのエンジンを吹かす際は近隣に音で迷惑をかけないようにシャッターを閉めて密室状態に。対策として、換気性能の高い有圧換気扇と高窓を設置

「家ではほぼガレージにいます(笑)。年月を重ねるごとに愛着が増し、手入れの際に床に落ちたオイル染みも味わいになる。壁のディスプレイを変えるのも好きなんです。生涯、このガレージでかけがえのない楽しみを重ねていくのでしょうね」

ガレージハウス

DATA
敷地面積/335.21㎡
建築面積/95.50㎡ 
ガレージ面積/約30㎡
竣工年月/2015年8月
家族構成/夫(40代)、妻(40代)、子供(10代)
車種/Audi Q5、Vespa、HARLEY-DAVIDSON XLCH
設計・施工/たけひろ建築工房

 

【COLLECTION】え、これもそうなの? ガレージハウス図鑑

ガレージハウスは百人百色。“したい暮らし”次第で、自分たちならではの特別な空間をつくることができる。施主の個性が光るユニークなガレージに案内しよう。

#セカンドリビングガレージ

ガレージハウス▲室内とは程よい距離感を保てる、もう一つのリビングのようなガレージ。ソファやローテーブルを置いて、愛用のグッズを眺めながらリラックスできる(設計・施工/HOLIDAYS(ホリデイズ))
 

#ライブスタジオガレージ

ガレージハウス▲音楽に没頭でき、ステージでライブを楽しめる。床は足触りの良いフローリングでリラックス(設計・施工/HOLIDAYS(ホリデイズ))
 

#マイコレクションガレージ

ガレージハウス▲有孔ボードを使ってミニカーをディスプレイした、ギャラリーのようなガレージ。コレクションに干渉しないよう、ギャラリー手前に車1台を格納できる奥行きを確保(設計・施工/やまぜんホームズ)
 

#家事の味方ガレージ

ガレージハウス▲玄関の軒とガレージの天井が一体化しているため、雨の日でもぬれることなく、ドアやトランクを開けたまま荷物の出し入れができる。子供を車に乗せるときにも便利だ(設計・施工/クラフトホーム)
 

#おうちキャンプガレージ

ガレージハウス▲半屋外空間のガレージならアウトドアグッズを広げて、おうちキャンプを楽しむのも一興。土間仕様の床は汚れに強く掃除がしやすいので、後片付けの面でも◎(設計・施工/クラシスホーム)
 

#バーカウンターガレージ

ガレージハウス▲バーカウンターやテレビを設置した半地下のビルトインガレージ。ロフト状にして収納力を増やせば、室内に置きづらいアウトドア関係のグッズもたくさん収納できる(設計・施工/クラシスホーム)
 
 

【QUESTION】知っておきたい! ガレージハウスQ&A

ここではガレージハウスを建てる際に知っておきたい基礎知識を解説。カーセンサー統括編集長 西村泰宏のワンポイントアドバイスもチェック!

Q.趣味空間として活用する場合に考えておくべきことは?

ガレージハウス

A. 車の他に何を置くか、どう過ごしたいのか洗い出して
自転車・バイク、キャンプ道具など、車の他に何を置く予定かピックアップしてから広さを決めよう。ガレージ内でくつろぐなら、椅子やテーブルを置くゆとりも必要。ストックヤードとして使う場合も、モノの洗い出しを。

カーセンサー統括編集長’s ADVICE
カーセンサー統括編集長’s ADVICE

意外と忘れがちなのが、冬場のスタッドレスタイヤ。ホイールを付けて保管する場合、重さで変形しないよう横置きできるスペースを確保したいですね。

 

Q.どのくらいの広さが必要?

ガレージハウス

A. 車のボディ+前後左右1mを基本として考えよう
両脇からの乗り降りやトランクの荷物の出し入れを考えて、一般的には車のサイズ+前後左右1mあると良いといわれている。車種にもよるが普通自動車1台分なら、幅3.5m×奥行き6.0mほどあれば安心だ。

カーセンサー統括編集長’s ADVICE
カーセンサー統括編集長’s ADVICE

近年、車はモデルチェンジするたびにボディサイズが大きくなる傾向に。買い替えも考慮してゆとりあるサイズを確保しておきたいところ。SUVや電動化車両は重さも増えているので、耐重量の観点でも車種は設計士に伝えた方がいいですよ。

 

Q. ガレージハウスを建てる際にオトクなことってある?

ガレージハウス

A. 容積率の緩和措置の対象となることも
ガレージハウスの駐車部分が家全体(ガレージ含む)の床面積の合計5分の1までなら延床面積に算入しなくてもよい。この「容積率の緩和措置」を適用すると、敷地面積と容積率が同条件ならガレージ分広く建てることが可能。

取材・文/田村洋子 イラスト/Shu-Thang Grafix 間取図/尾黒ケンジ