ソアラ

【連載:どんな車と、どんな時間を。】
車の数だけ存在する「車を囲むオーナーのドラマ」を紹介するインタビュー連載。あなたは、どんな車と、どんな時間を?
 

徹底した磨き上げで今もなお現役な希少限定モデル、ソアラエアロキャビン

贅沢な装備で華やかなバブルを象徴する大ヒットモデル、2代目ソアラの中でも、ひときわスペシャルなオープンモデルのエアロキャビンが森さんの愛車だ。ソアラの最上級グレード、3.0 GTをベースに、電動格納メタルトップを備えたエアロキャビンは、モデル末期の1989年に500台のみの限定でリリースされた。
 

ソアラ

「今何台が生き残っちょるかねえ」という森さんも、整備の際の部品不足には悩まされているそうで、頼りはヤフオクだという。

若い頃からの車好きで、これまでの車歴を聞くと、「ハコスカ、ケンメリ、ローレル、430セドリック、アコード、レジェンド、クラウン……いろいろ乗っちょるけん、わからん」といってワハハと笑う。

そんな森さんが、このエアロキャビンを手に入れたのは8年前のこと。ホンダ X4という1300ccのビッグバイクにも乗る森さん、ツーリング仲間が古い車に次々と乗りだしたり、お兄さんもまたハコスカとS30フェアレディZに乗る旧車乗りだそうで、何か旧車に乗りたいと物色していたところ、たまたま見つけたという。
 

ソアラ

「このソアラなんで2人乗り? ってお店の人に聞いたら、屋根が開くちゅうから、そらまたいいなと思って」 購入を決めた。

それから車高調を入れ、後は基本的にノーマルのまま、磨きに磨いて大切に乗っている。通勤など日常の足には軽自動車を使い、洗車機はもちろんNG、雨の日は乗らず、屋根の下でカバーをかけて保管しているというだけあって、革張りの内装含めすばらしいコンディションだ。

お店の人も「こんなきれいだったかね?」と驚いたそうだ。

これまでトラブルは1度だけ。ただし、かなり大事だった。ドライブ中にラジエターのつまりからオーバーヒートしてしまってレッカーされ、結果的にエンジンを換装することに。

ソアラの最上級グレードの売りである、1気筒あたり4バルブの24バルブDOHC「7M」 3L直6エンジンを見つけるのに、1年以上かかったという。
 

ソアラ▲多少の傷はあるが、シートも丁寧に使ってなるべくオリジナルの状態を保つ
ソアラ

この他に、やはりバブルの華として名高いZ32系フェアレディZも所有するため、エアロキャビンは「そろそろこっちを動かさなきゃな」というときにだけ乗るそうだが、乗るときはしっかり距離を走らせる。当時最強を誇った自慢の7Mエンジンも含め現在は好調で、友人に会いに、住んでいる大分県から熊本県まで出かけたりもするそうだ。

最大の楽しみはやはり季節のいいときのオープンエアドライブだ。

「すれ違う人が、こう振りかえるとき。ああやって見てもらえるのは気分がいいです」

出先の駐車場などでも、気づいた人からは必ずといっていいほど、電動トップを開けて見せてほしいとせがまれるそうだ。

この日も通りがかりの人から頼まれ、森さんはオープン&クローズを披露する。メタルトップは華やかなバブルの気配をきらめかせながら静々と動き、ギャラリーの歓声が「おおー!」と上がる。そしてごきげんの森さんなのであった。
 

ソアラ▲帰る際には、オープンにした屋根を筆者やギャラリーに見せつけ(?)ながら、にこやかに愛車を走らせた森さん。これからも周囲の羨望のまなざしを集めてくださいね!

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トヨタ ソアラエアロキャビン(初代)×全国
文/竹井あきら、写真/山辺学
ソアラ

森 利光さんのマイカーレビュー

トヨタ ソアラエアロキャビン(1989年式)

●購入額/40万円
●マイカーの好きなところ/オープンになるところ
●マイカーの愛すべきダメなところ/ホイールが5穴だから旧車向きのいいホイールが選びにくい
●マイカーはどんな人にオススメしたい?/この良さは、同年代の人にこそわかるはず!
 

竹井あきら

ライター

竹井あきら

自動車専門誌『NAVI』編集記者を経て独立。雑誌や広告などの編集・執筆・企画を手がける。プジョー 306カブリオレを手放してからしばらく車を所有していなかったが、2021年春にプジョー 208 スタイルのMTを購入。近年は1馬力(乗馬)にも夢中。