車検とは?費用の相場はいくら?法定費用と車検基本料金なども解説▲車検とは?費用はいくら?などの疑問にお答えします!

新車・中古車を問わず、車に乗るためには必ず必要になる「車検」。この記事では、自家用の乗用車・軽自動車の例に挙げて新規車検登録後に受ける「継続車検」について解説する。

車検とは何か、なぜ受けなければならないのかといった基本的な知識から、実際に車検を受ける際の流れや必要書類まで紹介しよう。
 

 

車検とは?

車検の正式名称は「自動車検査登録制度」。自家用車の場合、新車購入時に新規車検登録を受ける。これによって車検証・検査標章(シール)とナンバープレートを交付され、公道を走行できるようになる。抹消登録した中古車を再び使用する場合も、新規登録が必要だ。

新車の登録後は初回が3年後、2回目以降が2年ごとに継続車検を受ける。中古車の新規登録後は、2年ごとに継続車検を受けなければならない(国内未登録の中古車は除く)。一方で、商業車の場合は基本的に初回車検が2年後、2回目以降の車検は1年おきとなる。

この制度には2つの意味がある。1つ目の意味は「検査」。自動車の点検や整備、検査を行って安全を保ち、公害を防止することだ。
 

保安基準への適合性
自動車を安全で、公害をもたらさない状態に維持しておくことは、使用者の社会的責務といえます。道路運送車両法では、「道路運送車両の保安基準」を定め、この保安基準に常時適合させることを義務づけています。

自動車検査登録総合ポータルサイト「検査登録の役割」より引用(※外部サイトへ遷移します)

安全の確保、公害の防止の担保手段
自動車は、走行することにより、また、使用期間の経過等に伴ってその構造・装置の劣化、摩耗をさけることはできません。このため、自動車の同一性と保安基準適合性について定期的に検査を実施する必要があります。
検査制度は、自動車の諸元(大きさ、重量、排気量等)の確認と安全の確保、公害の防止を制度的に担保するための必要不可欠な手段であるわけです。

自動車検査登録総合ポータルサイト「検査登録の役割」より引用(※外部サイトへ遷移します)

2つ目の意味は「登録」。「所有権の公証」という民事登録と、「自動車の保有実態の把握」という行政登録の2つの目的があるのだ(軽自動車は「届出」となる)。
 

民事登録の性格
所有権を公証し、第三者対抗要件を与えることにより、ユーザの所有権を保護し、車についての法的安定性を確保することができます。これをベースに、自動車の流通の安定と円滑化が図られます。

自動車検査登録総合ポータルサイト「検査登録の役割」より引用(※外部サイトへ遷移します)

行政登録の性格
ナンバープレートを交付し、自動車の識別を可能にすると同時に、個々の自動車の保有実態を行政的に把握することができます。

自動車検査登録総合ポータルサイト「検査登録の役割」より引用(※外部サイトへ遷移します)

車検とは?費用の相場はいくら?法定費用と車検基本料金なども解説▲つまり車検は、公道を走るために必ず必要な検査と登録だ
 

車検費用の内訳

車検の費用はそれなりの金額がかかる。最低限どのくらい準備しておけば良いのかを理解し、あらかじめ用意しておきたい。内訳は大きく2つに分けられる。

【1】法定費用:税金や保険、手数料
【2】車検基本料金:法定点検費用や整備費用、交換が必要な部品代


 

 

車検に関する「法定費用」

車検の法定費用は「重量税+自賠責保険+印紙代(車検証発行などの手数料として)」。

これらは車両の種類や重量、新車登録からの経過年数、エコカー減税に該当するか否かで金額が変動し、自家用車か商業車かでも費用は異なる。

下記に自家用車の継続車検にかかる3つの法定費用をそれぞれ表にまとめた。こちらを参考に、愛車にかかる法定費用を把握しておきたい。

なお、重量税のエコカー減税は令和2年度燃費基準を達成したうえで、令和12年度燃費基準の達成率に応じて「免税」か「本則税率」(軽減)かが適用される。自分の車がどちらなのかわからない場合は「自動車重量税額照会サービス」を利用するのがスムーズだ。
 


加えて、印紙代も車検を受ける場所によって料金が異なる。

車検を自社で実施できると国から認められている「指定工場」と比べて、車検の検査用設備がない「認証工場」は運輸支局(一般的には「陸運事務所」「陸運局」と呼ばれる公的事務所)に持ち込んで車検を受ける。そのため、印紙代の料金が高くなる。自分で運輸支局に持ち込んで車検を行う「ユーザー車検」も、認証工場と同じ料金となるので覚えておこう。
 


重量税(2年車検)

  エコカー エコ
カー
本則
税率
12年
以下
13年
経過
18年
経過
0.5~1.0t車 免税 1万円 1万6400円 2万2800円 2万5200円
~1.5t車 免税 1万5000円 2万4600円 3万4200円 3万7800円
~2.0t車 免税 2万円 3万2800円 4万5600円 5万400円
~2.5t車 免税 2万5000円 4万1000円 5万7000円 6万3000円
~3.0t車 免税 3万円 4万9200円 6万8400円 7万5600円
  エコカー エコ
カー
本則
税率
12年
以下
13年
経過
18年
経過
0.5~1.0t車 免税 1万円 1万6400円 2万2800円 2万5200円
~1.5t車 免税 1万5000円 2万4600円 3万4200円 3万7800円
~2.0t車 免税 2万円 3万2800円 4万5600円 5万400円
~2.5t車 免税 2万5000円 4万1000円 5万7000円 6万3000円
~3.0t車 免税 3万円 4万9200円 6万8400円 7万5600円

自賠責保険料(2023年度の改定料金)

  12ヵ月 24ヵ月 36ヵ月
乗用車 1万2700円 1万7650円 2万3690円
軽自動車 1万1440円 1万7540円 2万3520円
  12ヵ月 24ヵ月 36ヵ月
3ナンバー車 1万2700円 1万7650円 2万3690円
5ナンバー車 1万1440円 1万7540円 2万3520円

印紙代

  認証工場・ユーザー車検 指定工場
3ナンバー車 2200円 1600円
(OSS申請1400円)
5ナンバー車 2100円 1600円
(OSS申請1400円)
軽自動車 1800円 1500円
  認証工場・
ユーザー車検
指定工場
3ナンバー車 2200円 1600円
(OSS申請1400円)
5ナンバー車 2100円 1600円
(OSS申請1400円)
軽自動車 1800円 1500円
 

車検に関する「車検基本料金」

車検基本料金には通常、法定点検費用や事務手数料などが含まれている。車検を受ける場所によって様々なプランを設定しており、金額はそれぞれ大きく異なる。当然、部品の交換が必要な場合は別途費用がかかるので、車両の状態によって金額は増減する。

そのため、法定費用と異なり、費用は一概にいくらとは言えない。部品代を除けば3万5000~5万円程度の料金設定が散見されるが、サービスの違いなどで1万円以下や10万円以上としているケースも。お店の説明を聞いたり、複数のお店に見積もりを取ったりするなどして、納得したうえで依頼することが大切だ。

ただし、新車保証を継承あるいは販売店保証が継続している車両には、販売店や指定された工場での整備を条件としている場合がある。ディーラーや販売店に必ず確認しよう。
 

車検のチェック▲部品代は車種や交換する部品によって異なる。古い車の場合、部品自体がないことも……
 

車検を受けられる場所

車検を受けることができる場所はディーラ―や車検専門店、整備工場、車用品店、ガソリンスタンドと選択肢が多い。

以下にそれぞれの特徴をまとめたので、これを参考に車検をどこにお願いするか検討してほしい。

ディーラー
特徴:交換が必要な部品が合った場合に純正部品を使用。自社の車種なら専用テスターで診断する
費用:車種に詳しく、整備項目も多い傾向にある。費用は高め
期間:細かい点検や予備整備など行う場合があり、時間がかかる

車検専門店
特徴:どの店舗でも一定水準のサービスを受けられる
費用:価格設定が明確で、比較的安く抑えやすい
期間:短期間で完了できる

整備工場(指定工場)
特徴:技術力が保証されており、質の高いサービスを受けられる
費用:工場によって異なるが、ディーラーよりは安く抑えやすい
期間:短期間で完了できる

車用品店
特徴:部品交換が必要でも、取り扱っていればその場で交換可能
費用:比較的安く抑えやすい
期間:お店の設備によって異なる

ガソリンスタンド
特徴:必要最低限の点検・整備で、早く安く済ませやすい
費用:安く抑えられる傾向にある
期間:短期間で完了できる
 

 

車検を受ける流れと期間

第一歩は、車検をいつまでに受けなければならないのか確認すること。

まずは車検証に記載の満了日を見る。フロントガラスに貼ってある検査標章には年月のみ記載されているため、詳細な日付は車検証でチェック。ただ、2023年1月からのICタグ付き車検証の書面には、車検満了日が記載されていない。専用リーダーかスマートフォンのアプリで読み取り確認しよう。

実際に車検を受ける場合は、依頼する場所によっても異なるが、おおむね以下のような流れで進んでいく。

【STEP1】見積もり
余裕をもって比較検討する時間を考慮し、早めに見積もりを申し込むこと。遅くとも車検の有効期限が切れる1ヵ月以上前には済ませておきたい。

【STEP2】予約
車検を受けるお店を決めたら、次に日時を調整する。入庫日や引き取り日についてお店と相談。代車が必要な場合は、代車の有無や予約方法なども確認しておく。なお、支払いのタイミングは、お店によって異なる。先払いか引き渡し時の後払いか、またクレジットカードや分割払いに対応可能かなどは、予約時に確認しておこう。

【STEP3】車検
事前に予約した日時に合わせて車両を入庫する。必要な書類や車内の貴重品などをしっかりとチェックしておくこと。加えて、不要な荷物はなるべく降ろし、自宅で保管しておいた方が望ましい。

【STEP4】引き取り
車検が終わったら車両を引き取りに行く。その際、新しい車検証と検査標章の受け取り忘れがないように、きちんとチェックしよう。
 

車検工場▲混雑時などは車検を通すのに時間がかかることもあるので、早めに行動しよう
 

車検に必要な書類

車検を受けるために必要となる書類は下記3点だ。

■自動車検査証(車検証)
保安基準を満たしている車であることの証明書。車検を受けた際に交付される。公道を走行する際に携帯しておく義務があるため、車内に保管してあるはずだ。

■自賠責保険証明書
自賠責保険に加入した際に発行される証明書。車検証と同様、公道を走行する際に携帯しておく義務があるため、車内に保管してあるはずだ。

■自動車税納税証明書/軽自動車税納税証明書
電子照会の導入によって、車検時の自動車税納税証明書の提示が不要になった。ただし、自動車税を未納していたり納税して間もなかったりした場合、納税証明書が必要。お店(第三者)に依頼する場合も提出を求められる場合があるので、事前に確認しておくと良いだろう。
 

 

車検のQ&A

Q.車検って自分で通せる?
A.車検は自分で通すことができる。法定費用以外の部分を節約できるが、整備を自分で行う必要がある。自身で整備した車両を普通車なら運輸支局へ、軽自動車なら軽自動車検査協会へ持ち込んで検査。合格すれば新しい車検証と検査標章が発行される。もちろん、整備の知識と技術が要求されるため、基本的にはお店に依頼するのが無難だ。

Q.中古車の条件に書かれている「車検整備付き」って何?
A.車検が切れている車両に、法定24ヵ月定期点検整備(商用車なら法定12ヵ月定期点検整備)以上の整備をして納車してくれる物件。車両本体価格に整備費用が含まれていることを示す。車検を取得するための自動車取得税・自動車重量税、登録にかかる手数料などは別途必要。

Q.車検切れになったらどうなる?
A.車検の有効期限が切れたら公道を走ってはいけないため、車検をとるには輸送する必要がある。下記2つの方法から、状況に応じて選択しよう。
 


臨時運行許可
(仮ナンバー)
申請には車検証、自賠責保険証明書、身分証、手数料750円(市区町村によって異なる)が必要となる。自賠責保険が切れている場合は、加入しておかなければならない。

陸送
キャリアカーやレッカー車での輸送ができる業者へ車検を依頼する。陸送費用が数万円かかるが、車検切れの車を移動する手段としては、手間があまりかからずスムーズだろう。


臨時運行許可
申請には車検証、自賠責保険証明書、身分証、手数料750円(市区町村によって異なる)が必要となる。自賠責保険が切れている場合は、加入しておかなければならない。


陸送
キャリアカーやレッカー車での輸送ができる業者へ車検を依頼する。陸送費用が数万円かかるが、車検切れの車を移動する手段としては、手間があまりかからずスムーズだろう。
文/綱島剛(DOCUMENT) 写真/AdobeStock

※記事内の情報は2023年3月6日時点のものです。