特別な1台を眺めるための特別なスペース【EDGE HOUSE】
カテゴリー: カーライフ
タグ: フェラーリ / EDGEが効いている / ガレージハウス
2023/02/25
敷地条件や家族構成によって、リビングなどの生活エリアとガレージという愛車スペースの間取りは様々。今回紹介するガレージハウスは、ガレージの奥にガラス張りのショーケースを設置。さらにリビングにいても、ついショーケースの前に行きたくなってしまうような仕掛けが、家の中にちりばめられていた。
美しい家具や調度品。美しい車を想起させる
大切なモノは奥にしまっておくように、特別な1台はガレージの奥へ格納。そこは所有する車の中でも特別な1台を家の中から存分に眺められる、ガラスのショーケースだ。眺める場所もまた、至福の気分に浸れる非日常的な空間に仕上げられた。
白と黒のハイコントラストな空間の床と天井は鏡面仕上げに、壁には棚のような白いオブジェが艶やかなラインを描き、間接照明がミニカーを浮かび上がらせる……。ラウンジとも、ホビールームとも言い難い。とにかく普通の部屋ではない。それが玄関という日常空間と壁もドアもなくシームレスに繋がっている。
車好きの施主は約10年前、家を建てるのを機に、以前のカーポートでは躊躇していた憧れの430スパイダーを購入。それに合わせて、愛車を家の中に3台置けることと、車を家の中から眺められることを要望。
依頼を受けたガレージハウスのプロデュースで有名なザウスは、建築家の田中一郎さんを紹介した。田中さん自身も964型の911でクラシックカーラリーに出るほどの車好きだ。
車好きな建築家の車好きな施主に対する提案は、先述のショーケース&特別室に留まらない。LDKという、最も日常的な生活空間にも非日常的な要素を忍ばせた。
例えば、特別な一室に見られる白いラインを、キッチンやダイニングテーブルにも用いている。これは田中さんが「白い430スパイダーの美しいラインを見てインスパイアされた」というアイデアだ。
だからリビングで食後のコーヒーを飲んで寛いでいるときも、無意識に愛車に思いを馳せ、つい特別な一室へ足が向いてしまう。リビングの非日常要素はほかにもある。
施主の要望で設けられた中庭は木々が生い茂る庭ではなく、リビングと同じ白いタイルが敷き詰められた。しかも大きなガラスで区切られているだけなので、リビングと中庭の狭間が不明瞭な不思議な空間となった。
「日常空間の中に非日常を」というのは田中さんの設計テーマのひとつだという。このガレージハウスは、それがよくわかる一例だろう。
ちなみに施主は、その後430スパイダーからランボルギーニ ウラカンに乗り替えたが「スーパーカーに乗っても一般道では異次元の景色を見ることができない」と手放したという。
しかし「サーキットならもしかして!?」と981型のケイマンGT4を購入し、鈴鹿サーキットデビュー。日常使いも容易なポルシェの非日常面にハマり、現在は982型の718ケイマンGT4 RSを納車待ちだという。日常と非日常の狭間はかくも人々を魅了する。
■主要用途:専用住宅
■構造:木造
■敷地面積:214.9㎡
■建築面積:119.9㎡
■延床面積:299.6㎡
■設計:田中一郎(田中一郎建築事務所)
■TEL:078-333-0616
■プロデュース:ザウス
■TEL:0120-054-354(関東) / 0120-360-354(関西)
※カーセンサーEDGE 2023年4月号(2023年2月27日発売)の記事をWEB用に再構成して掲載しています