昔、偶然雑誌で見てほれたランクル40を購入した青年が手に入れた生活
2023/07/20
車の数だけ存在する「車を囲むオーナーのドラマ」を紹介するインタビュー連載。あなたは、どんなクルマと、どんな時間を?
初めての「出会い」は16歳
権藤さんがランドクルーザー40を初めて見たのは高校1年の時。リビングに置いてあった雑誌の中だった。
「四駆好きの親父がよく車雑誌を買ってきていて、その本をパラパラめくってたら、たまたま“ヨンマル”を見つけて。全部の写真が超カッコよかったんです」
車の他にも、音楽やバイク、アウトドアなど父親が教えてくれた楽しいことはたくさんあった。
若い頃は人並みにやんちゃもしたそうだが、アナログレコードでビートルズを聴き、ホンダ ベンリィ CD50で学校に通っていたというように、「親父の影響」は権藤少年の中に蓄積されていった。
思春期の好みは大人になると変わることが多いが、権藤さんの“超カッコいい”は、時がたっても“ヨンマル”のままだった。
18歳で最初に選んだ車こそ「まずは軽にしておけ」という父親の忠告をギリギリ守りJA22型のジムニーにしたが、カーセンサーnetでヨンマルの物件探しをする日課は続く。
そんなある日、近隣の中古車販売店にヨンマルの在庫があることを知る。早速お店に行きご対面。その日はあいにくの雨天だったが、それでも権藤さんはずぶ濡れになりながら夢中で状態をチェックした。
「早く連れて帰ってあげないとって思ったんです。まだ、僕のものでもないのに」
あこがれだったモデルを手に入れられるかもという思いより、目の前の車をどうにかしなければという気持ちだったそうだ。買うか買わないという迷いのようなものは一切なかった。
当時乗っていたジムニーは、手を加えてそれなりに愛着もあったそうだが、雨に打たれながら頭の中に描いていたのはヨンマルが手に入った後のことだけだった。思えば四駆好きの父親もある日突然、家の車をジープ ラングラーに買い替えたという。
嗜好だけでなく衝動性も父親譲りだったわけだ。
ずっと先まで思い描く愛車との生活
それから4年。16歳からの思いをかなえ、いまは通勤にデートに、ほぼ毎日ヨンマルのハンドルを握る。
以前は都会にあこがれたこともあるそうだが、いまは生まれ育った自然がいっぱいの地元が大好きだ。小さい頃から遊んでいた山や川に愛車を走らせる時間がなにより楽しいという。
40年前の車なのでもちろんピカピカというわけではないが、中に乗せてもらうときれいに整理されており、権藤さんの車への思いが伝わってきた。
「彼女はガタガタとうるさいからといって、あまり乗りたがらないんですけどね」
同年代の友人たちは、きれいで快適な新しいモデルに乗っているそうだ。ただ便利だななどとも思いつつ、ヨンマルを乗り替える自分は想像ができない。
「まだ先だけど、10年くらいたったら色を塗り変えようかなって思ってます」
権藤さんとヨンマルの暮らしは、まだ始まったばかりだ。
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トヨタ ランドクルーザー40(初代)権藤さんのマイカーレビュー
ランクル40
●年式/1980年
●年間走行距離/約1万km
●マイカーの好きなところ/アナログな運転感覚と、現代のモデルにはないボディライン
●マイカーの愛すべきダメなところ/彼女が嫌がる固い乗り心地
●マイカーはどんな人にオススメしたい?/このスタイルに惚れた人。縁があれば迷わず買った方がいいです!