心優しいトレーナーが選んだタフな相棒の日産 セレナ
2023/08/10
車の数だけ存在する「車を囲むオーナーのドラマ」を紹介するインタビュー連載。あなたは、どんなクルマと、どんな時間を?
出会いと別れを運ぶ車
福岡市街から車で2時間ほどの自然あふれるのどかな里山。犬の訓練士をする吉岡さんは、6頭の犬をトレーニングしながら一緒に暮らしている。
飼い主とコミュニケーションが上手に取れていない犬を預かり、時間をかけて様々な訓練を行う。そしてうまく人とコミュニケーションを取れるようにし、飼い主のもとに戻すというのが訓練士の仕事だ。
長い場合は1年ほど預かることもあるという。
「ご相談を受けると、今その子がどんな環境にいるのか見るため、私が直接飼い主さんのお宅に足を運びます。そしてこのセレナで連れて帰るんです」
つまり車は、吉岡さんと犬たちが、最初に時間を共有する空間なのだ。
「中には車が嫌いな子もいますが、移動した先に楽しい時間が待っていれば、好きになってくれるものですよ」
不安がる犬たちの気持ちをくみ、そのストレスを和らげてあげる。犬を飼っていない筆者には想像もつかないが、吉岡さんを見ているうちにこの人ならできてしまうんじゃないかと思った。
それくらい犬たちと吉岡さんの心が通じているように感じたのだ。
普段は近場の自然の中、青々とした緑いっぱいの山や透き通る水が流れる河原などで訓練をする。
だが、時には犬たちと大会に出るため数百kmを一緒に移動し、ともに車中泊もするそうだ。
仕事の相棒に選んだ3代目の日産 セレナは、リアの開口部が広く室内高も高いため荷物をたっぷり積める。
中古車として購入した時点で、走行距離は10万kmオーバー。そのセレナの距離計は、2年で8万kmも数字が増えた。
「移動中もストレスがかからないように、のんびり走ります。休憩も多くとるし、なかなかパッと行って帰ってくるというわけにはいかないですね」
ただそういった時間が積み重なることで、お互いの絆が深まっていくのだろう。
これまで多くの「教え子」を迎え、様々な場所に出かけ、そして見送ってきた吉岡さんと愛車のセレナ。
「訓練した子たちを送り出すときは、やっぱりさみしい気持ちはあります。その後も、どうしてるかなって考えますよ。でも、何も連絡ないのがいい便りだなって」
心優しきトレーナーは今日もゲージに生徒たちを乗せ、訓練に出かける。
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日産 セレナ(3代目) × 全国吉岡さんのマイカーレビュー
日産 セレナ(3代目)
●年式/2005年
●年間走行距離/約4万km
●マイカーの好きなところ/四角いゲージがたくさん積める。見切りが良く、大きすぎないサイズで運転しやすい
●マイカーの愛すべきダメなところ/走行距離が20万kmに近づき、ちょっとずつガタがきている
●マイカーはどんな人にオススメしたい?/荷物をたくさん積んで、遠出する機会が多い人