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台風や大雨時の運転は危険! 安全走行のポイントと状況別の注意点

台風や大雨時の運転は危険! 安全走行のポイントと状況別の注意点
近年、大型台風やゲリラ豪雨といわれる局地的大雨が日本各地で多発しています。そんな悪天候下では車での移動を控えるべきですが、どうしても運転しなければならない状況もあるかもしれません。万一の際に備えて、事前に危険を回避するポイントを覚えておきましょう。

大雨時の運転は正しい状況判断が重要

タイヤのスリップサインを確認


雨が降ると路面状況はいつもと異なり、適切で正しい判断力が求められます。安全に車を走らせるためには、運転技術だけでなく災害に対する知識や準備が必要。緊急時に慌てて行うのでなく、常日頃から心掛けるようにしましょう。

事前準備:タイヤの残り溝をチェックする

タイヤの表面に刻まれた溝は、路面の水を排出する役割を担っています。摩耗して溝が浅くなると上手く排水することができず、スリップやハイドロプレーニング現象を誘発。車両の姿勢を大きく乱したり、舵が利かなくなったり、制動距離が長くなったりして、事故につながりかねません。

安全に運転するためには、タイヤの状態を確認する習慣をつけること。トレッド(接地面)にスリップサイン(一般的に残り溝深さ1.6mm以下)が出ていたら使用不可。タイヤの交換時期です。

製造が長い年月が経って表面のゴムが硬化している場合も同様です。空気圧も、適正に保たれていないと本来の排水能力やグリップ力を発揮できません。マメにチェックすることが大切です。

事前準備:ワイパーとフロントガラスを確認する

ワイパーがきちんと動作するか、ブレード(ゴム)が切れていないか、古くなって硬化していないかも確認を怠らないように。

フロントガラスに油膜が付いていると雨天、特に夜のドライブで視界が大きく遮られます 。出発前にチェックし、必要なら油膜取りで汚れを除去しましょう。

事前準備:天候・道路情報を調べてルートを決める

カーナビが案内するルートをやみくもに信じるのは危険です。カーナビはリアルタイムな気象情報や道路情報を反映していないため、危険な場所に導かれてしまうことがあります 。事前にテレビやラジオなどで気象情報を必ず確認。日本気象協会が提供するサイト「雨雲レーダー」などインターネットを利用するのも良いでしょう。気象情報だけに頼らず、黒い雲や雷鳴など周囲の変化に目を向けることも重要です。

そして状況自体では待避して出発時間を遅らせる判断も必要。気象庁では、1時間の降雨量が20~30mmの「強い雨」になると「ワイパーを速く動かしても前方が見づらく」なり、30~50mmの「激しい雨」になると「タイヤが滑りブレーキが利きにくくなる(ハイドロプレーニング現象が起きやすくなる)」としています。50mm以上の「非常に激しい雨」「猛烈な雨」では「車の運転は危険」と警告しています。

これらの状況が予想されるときは、無理して車を走らせずに天候が回復するのを待つこと。また、雨が上がったとしても油断は禁物。道路の下水能力が追いつかずに冠水している可能性があるからです。

国土交通省の「雨雲レーダー道路防災情報WEBマップ」で冠水想定箇所や事前通行規制区間を調べるなど、危険な箇所を避けてください。

走行中:「急」のつく動作はしない

大雨時の運転


雨で濡れた路面のグリップ力(摩擦係数)は、乾燥しているときの40~60%といわれています。そうなるとブレーキをかけてから止まるまでの距離も、通常の1.6~2.5倍も長くなります。速度を抑えて先行車との距離を十分に取り、早めのブレーキングを心掛けましょう。

急ブレーキ以外にも、急ハンドルや急加速など「急」のつく動作をできるだけしないことは、安全運転の基本です。雨の降り始めは特に滑りやすくなります。いっそう慎重に運転してください。

走行中:速度を抑えてハイドロプレーニング現象を防止する

雨天の中を走行中、急にハンドルが軽くなるような感触を覚えたらハイドロプレーニング現象の可能性があります 。これは激しい雨によってタイヤと路面の間に水膜ができ、タイヤが水の上を滑走している状態。ハンドル操作やブレーキが一切利かなくなり、車をコントロールできません。

ハイドロプレーニング現象を予防するには、できるだけ速度を抑えることが有効です。もしもハイドロプレーニング現象が起きても、慌ててブレーキをかけるのは厳禁。タイヤがロックしてスリップやスピンにつながります。エンジンブレーキを利用し、すみやかにスローダウンしましょう。

走行中:ヘッドライトをつける

激しい雨が降っているときは自分だけでなく、他者も周囲の車が見えにくくなります。昼間でもヘッドライトを点灯し、自車の存在を周囲に知らせましょう。

走行中:地形や状況の変化に細心の注意を払う

大雨時には、走り慣れた道であっても危険が潜んでいます。道路状況には緊急事態であることを念頭に細心の注意を払ってください。例えば、道路の水が流れているようだったら要注意。水が流れる先は低所であり、道路が冠水している恐れがあります。その場合は、 水の流れている方向と直角に逃げてください 。水の上流にも下流にも進むと危険です。

大雨の市街地では危険な箇所を見逃さないように

大雨の市街地を運転


市街地には工事現場の鉄板や線路・路面電車のレールなど、濡れると特に滑りやすくなる路面がたくさん存在します。また、先行車や対向車からの水はねで視界が遮られる可能性もあるので、車間距離は十分に空けて走りましょう。

立体交差点や高架下に注意する

立体交差点や高架下などのアンダーパスや、周囲の土地よりも低い道路などは、冠水している可能性が高い危険な場所です。車が走行できる限界の水深はドア下端程度が目安。冠水した道路を走ってエンジンやマフラーに水が浸入したら、走行できなくなります。大雨時にはそのような場所を避け、必ず迂回しましょう。

国土交通省のサイト「道路防災情報WEBマップ」などで、冠水想定箇所を事前に確認しておきましょう。また、冠水しやすい場所の手前には、冠水への注意や冠水時通行禁止などを表示した看板などが設置されていることも。見逃さないよう周囲に気を配ることも大切です。

万一、冠水箇所に侵入してしまった場合は極力速度を落として走行すること。速度が速いとエンジンルーム内に大量の水が入り込み、水を吸い込んでしまう可能性が高まります。「早く走り抜けたい」という気持ちを抑え、時速10km以下で走りましょう。

雨だけでなく風にも警戒する

台風だけでなく、ゲリラ豪雨でも激しい突風が発生することもあります。ハンドルを取られないように注意しなければなりません。

トンネルの出口付近や、橋などは風にあおられやすいので注意が必要。また高層ビルが集まる街中もビル風が吹いていて危険です。突風が吹く場所がアチコチにあって、風を予測するのは困難でしょう。速度を抑えるだけでなく、できるかぎり迂回してください。

最新の気象情報を入手し続ける

台風による被害に備えるためには、進路や勢力、規模など最新の情報を逐一チェックしましょう。併せて気象庁の発表する気象警報・注意報などの防災気象情報や、自治体が呼びかける警戒レベルも確認。危険な状況になったら即座に安全な場所まで待避してください。

大雨(土砂災害)/洪水/高潮警報や警戒レベル3が発令されたら、高齢者や障がい者など避難に時間を要する人や、その支援者は避難する必要があります。被災する危険性が高い地域の人も避難しましょう。それ以外の人は準備を進めつつ、危険を感じたら迷わず避難してください。

土砂災害警戒情報や高潮特別警報、高潮警報、警戒レベル4が発令されたら、全員が避難すること。警戒レベル4相当までに避難しておくのが大切です。万が一、大雨特別警報や氾濫発生情報、警戒レベル5が発令されても、避難が済んでいない場合、すぐに安全を確保する行動をとってください。

  とるべき行動
警戒レベル5 すぐに避難して安全を確保
警戒レベル4 危険な場所から全員避難
警戒レベル3 高齢者などは避難開始
警戒レベル2 避難する方法を確認
警戒レベル1 災害への意識を高める

大雨の高速道路では安全な場所への避難を優先

大雨の高速道路を運転


高速道路などで走行速度が速いと、ハイドロプレーニング現象が発生しやすくなります。高速道路上で大雨に遭遇した場合、安全に走行できる速度まで落とし、最寄りのサービスエリアやパーキングエリアに待避しましょう。さらに高速道路ではトンネルや橋での突風、長大のり面の土砂崩れなど様々な自然災害に巻き込まれる恐れもあります

避難を優先するのは高速道路が通行止めになって、一般路に降りた場合でも同様。決して走行を続けず、速やかに安全な場所に駐車してください。

ハイウェイラジオや道路情報掲示板などで最新の情報を入手することも大切。ゲリラ豪雨や集中豪雨は、比較的短い時間で通り過ぎます。無理して運転せず、雨雲が通り過ぎるまで安全を確保すること。これは高速道路だけでなく、大雨時の運転の大前提です。

無理な追い越しや車線変更をしない

高速道路での追い越しは急ハンドルや急加速を伴いやすく、雨天時にはスリップを招く恐れがあります。また視界が悪いため、車線変更時に後続車を見落としてしまう危険も。不要な追い越し、車線変更はできるだけ避けること。走行車線を一定速度で走るのが安全運転のポイントです。

大雨の山沿いでは絶対に崩れやすい場所へ近づかない

土砂崩れを起こした山沿いの道


山沿いなど起伏の大きい地形では、降雨時に崖崩れや地滑り、土石流などの土砂災害が発生しやすくなります。土砂に巻き込まれるだけでなく、土砂によって道路が寸断されて孤立してしまう危険もあるのです。

大雨が降ったときにはできるだけ、土砂災害の恐れのある場所へ近づかないことが原則。事前に「土砂災害ハザードマップ」などで危険な場所を確認しておきましょう。

カーブの手前は慎重に運転する

大雨のときには視界が悪くなるだけでなく、カーブなどでスリップしやすくなります。さらにブラインドコーナーの先に落石があることも

山沿いでは晴天時以上にカーブの手前で減速。何があっても対応できるよう、ゆっくりと曲がるように。ブレーキも必要以上に強く踏まないよう心掛けましょう。

大雨の河川沿いでは上流の天候も確認

崩落した河川沿いの道路


大雨が降っているとき、河川の近くを走ると氾濫に巻き込まれてしまう危険性があります。堤防沿いの道では浸水によって地盤が緩みやすく、道路が崩れる恐れも

雨量が多いときは、できるだけ河川沿いの道路を避けること。走行中に道路冠水の危険を感じたら、速やかに高台へと避難してください。

たとえ現地は晴れていても上流で大雨が降っていると、急激に増水する恐れもあります。河原で遊ぶ際には気象情報を常にチェック。危険を感じたらすぐに避難できる態勢を取りましょう。

大雨の海沿いは雨だけでなく波風にも注意

台風によって浸水した車


台風など強い低気圧が来襲すると、海沿いの道路は特に波風が強くなります。同時に海面の水位が上昇する「高潮」も発生しやすくなります。当然、台風発生時などは海沿いに近づかないことが鉄則です。

外出先でゲリラ豪雨などに直面した場合には、まず安全な場所に停車。ラジオや防災無線、インターネットなどで情報を集めましょう。避難勧告や避難指示が発令されても、車での避難は禁物。速やかに車から離れ、避難所や高台に避難してください。