スタッドレスタイヤの選び方。オススメ10選も紹介【2021年】
スタッドレスタイヤの特徴
雪道や凍結路は滑りやすく、ノーマルタイヤでは安全に走ることができません。通年で使用できる「オールシーズンタイヤ」は選択肢となりますが、雪上での性能はあくまで副次的なものです。
一方、スタッドレスタイヤは柔らかいゴム(コンパウンド)と溝が深いトレッドパターンで、雪道や凍結路でもグリップを確保。装着していれば、安心して冬場でも走れます。
気象庁から降雪予報が出ると、カー用品店はタイヤ交換やスタッドレスタイヤ購入で混雑する傾向にあります。安全面でも本格的に寒くなる前に、ノーマルタイヤからスタッドレスタイヤへの交換を推奨しています。
深い雪や極端に滑りやすい凍結路面は、スタッドレスタイヤだけでは不十分。万一の備えとしてタイヤチェーンも準備しておきましょう。また、災害規模の大雪が予想されると、一部の一般道路・高速道路では「チェーン規制」が発令。タイヤチェーンの装着義務が課せられるので用意が必要です。
メリットとデメリットの理解も大切
スタッドレスタイヤを装着するなら、その特性を知っておくことは重要。スタッドレスタイヤの選びの基準にも関係しますので、覚えておくと良いでしょう。
スタッドレスタイヤのメリット
- 乾燥路面も通常のタイヤに近い速度で走れる
- タイヤチェーンに比べて圧雪路や凍結路に強い
- タイヤチェーンに比べて着脱する手間がない
- チェーンを装着できない車種にも幅広く対応できる
- タイヤチェーンのような強度上の速度上限はない
スタッドレスタイヤのデメリット
- ノーマルのタイヤより摩耗しやすい
- 温かい路面ではノーマルタイヤよりグリップ性能に劣る
- 雨で濡れた路面ではノーマルタイヤより滑りやすい
- シーズンオフ時にタイヤを保管しておく場所が必要
新品使用時は慣らし走行が必要
新品の場合、スタッドレスタイヤ本来の性能を発揮するためには慣らし走行が必要。「60km/h以下の速度で200km以上の距離を走る」のが目安です。実際の雪道を走る前に、乾燥した舗装路で慣らし走行を終えておきましょう。
なお、タイヤの交換は手慣れた方以外は、プロにお願いするのがベター。基本的には購入したショップで依頼するのが良いと思います。
買い替え時は「プラットホーム」でチェック
スタッドレスタイヤはある程度以上磨り減ると、本来の性能を発揮できません。そのため、スリップサインの他に摩耗したことを知らせる「プラットホーム」と呼ばれる突起があります。突起の高さがブロックに近づいたら交換のサインです。
当然トレッド部にひび割れがあったり、偏った摩耗が見られたりするケースも安全面から使用することは推奨できません。溝がまだ残っていても、古くなったら新品に交換しましょう。保管方法にもよりますが、スタッドレスタイヤの寿命は一般的に3~4年です。
スタッドレスタイヤの選び方
スタッドレスタイヤを選ぶ際は、自車に適合するタイヤサイズがあることが前提。環境・用途に合わせることが大切です。もちろん、価格とのバランスを考えることもポイントです。
「豪雪地や寒冷地に住んでいる」なら氷上性能重視で選ぶ
溶けた雪や路上を流れる水が凍結した「アイスバーン」。冬場に出くわす道の中でも特に滑りやすく、スタッドレスタイヤの性能差も出やすい状況です。そのため、アイスバーンが発生しやすい地域に住んでいる人はプレミアム・カテゴリーから選ぶのがベストです。
プレミアム・カテゴリーは、各タイヤメーカーの最新モデルが揃っています。最近ではいずれのメーカーも「氷上性能」に力を入れる傾向にあるので、性能面では折り紙付き。寒冷地や豪雪地に住んでいる人はもちろん、より安心感を得たい人にもオススメです。
「都市部から雪山によく出かける」ならバランス重視で選ぶ
スキー場など雪山に出かけるときは圧雪路だけでなく、乾燥した路面や高速道路を通ることがほとんど。そのため、雪上・氷上性能だけでなく「ドライ性能」や「ウエット性能」が高いモデルがもってこいです。
高速走行性能はタイヤごとに記されている速度記号で、多少は判断できます。国内メーカーのスタッドレスタイヤの多くが速度レンジ「Q(160km/h)」を採用していますが、海外メーカーには「H(210km/h)」としている製品もあります。
「念のため降雪に備えておきたい」ならコスパ重視で選ぶ
雪道を走る機会は少ないが、万一の降雪に備えたいなら、コストは抑えたいはず。そんな場合はコスパ重視のカテゴリーから選ぶと良いでしょう。
カテゴリー名はメジャー、スタンダード、ベーシックなどメーカーによって異なりますが、いずれも最新モデルよりもオトクな製品ばかり。実は、それらの多くは少し前までの最新モデルで、雪上でも十分に性能を発揮してくれます。
適用サイズが少ない場合はインチダウンもアリ
純正タイヤのリム径が大きい場合や、扁平率が極端に低い場合は履けるスタッドレスタイヤの種類も限られます。そんなときは、ホイールごと買い替えてインチダウンするのもひとつの手。例えば、19インチから18、17インチへ変えれば、選択肢が大きく広がります。
インチダウンしても、同車種で他のグレードに採用されているサイズの範囲内なら、まず問題ありません。ただ、一部の車種ではブレーキキャリパーなどと干渉する可能性があります。インチダウンを検討する際は、カー用品店やタイヤ専門店のスタッフなどに必ずご相談ください。
スタッドレスタイヤのオススメ10選
「A PIT AUTOBACS SHINONOME」でも特に人気のスタッドレスタイヤを選出。「氷上性能」「バランス」「コスパ」の3つの基準に加えて、車のタイプ別にオススメなスタッドレスタイヤも紹介します。
【氷上性能重視】最新モデルの実力派がベスト
各タイヤメーカーの最新技術を結集したプレミアム・カテゴリーの中でも、イチオシの商品を厳選しました。価格は若干高めですが、アイスバーンも圧雪路も安心です。
ブリヂストン ブリザックVRX3|押しも押されもせぬスタッドレスの大本命
ブリヂストンのスタッドレスタイヤ「ブリザック」シリーズは豪雪地帯である北海道・北東北で多大なシェアを誇ります。熱烈に支持するユーザーが多く、「ブリザックの性能に他メーカーのタイヤはかなわない」と言う人もいるほどです。
フレキシブル発泡ゴムを採用した最新モデル「VRX3」は、雪上からアイスバーンまで頼もしい性能を発揮。軽自動車用からミニバン用までラインナップが幅広いのも魅力でしょう。価格帯はプレミアムですが、最高峰の性能を手に入れたい人にはオススメです。
適応:セダン/クーペ/ミニバン/コンパクトカー/軽自動車
サイズ:135/80R12 68Q~285/35R20 104Q(全112サイズ)
横浜ゴム アイスガード7|ドライ路面での走行も爽快
横浜ゴムの「アイスガード」シリーズは 雪上でのコーナリング性能と、氷上でのグリップ力、コストのバランスが秀逸です。ドライ路面での腰砕け感が少ないため、「ふだん乗りにも安心感が欲しい」という方にはもってこいです。
最新モデルの「アイスガード7」では氷上性能が一段とレベルアップ。ブリザックに氷上・雪上性能で肉薄していると評されています。
適応:セダン/クーペ/ミニバン/SUV/コンパクトカー/軽自動車
サイズ:155/65R13 73Q~245/40R20 95Q(全89サイズ)
【バランス重視】プレミアム・カテゴリーのお手頃モデルが最適
プレミアム・カテゴリーの中でも、リーズナブルな2モデルをセレクト。高性能でありながら、決して高すぎない価格帯で人気を集めています。
ダンロップ ウインターマックス03|高性能×持続性=安心
ダンロップの最新モデル「ウインターマックス03」は、氷上性能が秀逸。水膜を素早く除去し、氷面に力強く密着することで抜群のブレーキ性能を発揮します。
摩耗してもタイヤ表面に新たな凹凸が出現し、高い性能が長持ちするのもうれしいところ。安心して走り続けることができます。
適応:セダン/クーペ/ミニバン/SUV/コンパクトカー/軽自動車
サイズ:145/80R13 75Q~245/40R20 95Q(全108サイズ)
ミシュラン X-ICE SNOW|高速走行での安定感はピカイチ
ミシュランは輸入車ユーザー、特にスポーツカーに乗る人に支持されています。「X-ICE SNOW」は雪の多い日本の気候に合わせて専用開発。しかしながら、フランスのタイヤメーカーらしい個性もにじみ出ています。
特徴は、なんといっても高速走行時の安定感。速度レンジが「T(190km/h)」と「H(210km/h)」と、国産スタッドレスタイヤの性能を大きく上回っています。大径ワイドタイヤに対応しているのも好印象。国産メーカーにも負けてないクオリティです。
適応:セダン/クーペ/ミニバン/SUV/コンパクトカー/軽自動車
サイズ:155/65R13 73T~315/35R20 110H XL(全71サイズ)
【コスパ重視】量販カテゴリーの高性能モデルが狙い目
価格面で特に優れたスタッドレスタイヤをチョイスしました。価格は控えめですが、性能は確か。雪上・氷上性能についても、十分に満足いただけると思います。
ブリヂストン ブリザックVRX2|コスパ重視スタッドレスの優等生
VRX3より一世代前のモデルですが、一般的な氷上・雪上性能においては全く不足ありません。各メーカーのコスパを重視した銘柄の中でも、特に優れていると言って良いでしょう。
もちろん、厳密には氷上でのグリップ力、高速走行時の剛性感などにおいて最新モデルに一歩譲ります。しかし、それも普通にドライブする限りは全く気にならないレベル。購入費用を抑えながら、性能の良いスタッドレスタイヤを探している人にピッタリです。
適応:セダン/クーペ/ミニバン/コンパクトカー/軽自動車
サイズ:135/80R12 68Q~245/40R20 95Q(全108サイズ)
ダンロップ ウインターマックス02|長く使えてコスパ良好
ダンロップはスタッドレスタイヤのロングライフ化にいち早く取り組んできたブランドです。ウインターマックス02も「4年つかえる」と売り出されたように、効きが長持ちすることが長所です。
購入費用が安く、そのうえで長く使えるので、長期的なコスパは抜群。氷上性能や雪上性能、ドライ路面での静粛性など性能もVRX2とほぼ同等です。都市部での使用がメインなら、不満を感じることはないでしょう。
適応:セダン/クーペ/ミニバン/SUV/コンパクトカー/軽自動車
サイズ:135/80R12 68Q~235/55R20 102Q(全74サイズ)
オートバックス North Trek N3i|コストを抑えて超優秀
オートバックス・オリジナルのスタッドレスタイヤです。4本で1万1800~4万2800円(税込)と格安輸入タイヤに近い価格帯で、国産タイヤならではの高品質に仕上がっています。氷上ブレーキ性能や、スタッドレスタイヤ特有のふらつきを抑えた安定感のある走りなど、トータル性能にも自信があります。
製造コストを抑えるために、厳選したサイズラインナップとしています。手前みそですが、「万一の降雪に備えておきたい」人にはうってつけだと思います。
適応:セダン/クーペ/ミニバン/SUV/コンパクトカー/軽自動車
サイズ:145/80R13 75Q~215/60R16 95Q(全14サイズ)
【番外編】車のタイプに合わせて専用品を選ぶのもアリ
SUV、スポーツカーなどボディタイプが変わると当然、求められる性能も変わります。その車本来の走りを追求するなら、専用に開発されたタイヤを選ぶのも良いでしょう。
ダンロップ ウインターマックスSJ8+|アウトドア派はコレに決まり
ウインターマックスの中でもSUV専用に開発されています。シャーベット状の雪、特に深雪など山岳路での雪上性能が重視されています。
圧雪路やウェット路面での性能についても、最新モデルと同等。林道やキャンプ場など、冬もアウトドアフィールドを存分に楽しみたい人にイチオシです。
適応:SUV
サイズ:175/80R15 90Q~265/50R22 112Q XL(全54サイズ)
ミシュラン X-ICE SNOW SUV|シティ派SUVにお似合いの逸品
ミシュランの最新モデルであるX-ICE SNOWと同じゴムとトレッドパターンを採用し、サイズラインナップをSUV専用とした製品です。
こちらも速度レンジは「T(190km/h)」で、高速走行も安心です。ドライ&ウエット路面での性能、ハンドリング性能を重視するSUVユーザーは、ぜひ注目ください。
適応:SUV
サイズ:215/70R16 100T~265/70R16 112T(全4サイズ)
ノキアン ハッカペリッタ R3|輸入車向けスタッドレスなら21インチも用意
フィンランドのタイヤメーカーであるノキアン。「ハッカペリッタ R3」は大口径リム、低扁平率の純正タイヤサイズに適合する数少ないスタッドレスタイヤです。なんと輸入車のスポーツモデルなどに採用されている21インチにも適応しています!
さらに、サイズによってはランフラットタイヤも用意。北欧のメーカーだけあって氷上、雪上でのグリップ性能、ハンドリング性能もハイレベルです。
適応:セダン/クーペ/ミニバン/SUV/コンパクトカー
サイズ:175/65R14 82R~265/35R21 101T XL(全81サイズ)
スタッドレスタイヤの保管方法
スタッドレスタイヤを使用しない期間は、融雪剤や汚れを落とし、よく乾かしてからカバーをかけて涼しい場所に保管しましょう。 ホイールに装着したままで保管する場合は、タイヤの空気を抜いておくこと。同じトレッド面に圧がかかり続けると変形しやすいので、向きをときどき変えてください。
タイヤの預かりサービスを利用するのもアリ
マンションなどに住んでいる場合は、スタッドレスタイヤの置き場所に困ることがあるでしょう。また、装着時に重いタイヤを荷台に積み降ろしする作業も大変です。
多くのカーショップではタイヤ&ホイールを格安料金でお預かりするサービスを実施。オートバックスでも、実施している店舗があります。サービスの可否や料金は店舗によって異なるので、詳細は最寄りのカーショップにお問い合わせください。
CREDIT
協力: | カー用品店「A PIT AUTOBACS SHINONOME」 |
写真: | 綱島剛(DOCUMENT)、Adobe Stock |
文: | 田端邦彦(ACT3) |