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動物と車を守る!エンジンルーム侵入やフン害、ロードキルの対策と対処

動物と車を守る!エンジンルーム侵入やフン害、ロードキルの対策と対処
「エンジンルームに侵入した猫に気づかないまま、エンジンをかけた」「鳥のフンで車の塗装が剥げた」「ロードキル(野生動物との交通事故)を起こした」など、動物が係る車のトラブルは少なくありません。大切な愛車と動物の命を守るためにも、正しい知識を身につけておくことが大切です。

小動物のエンジンルーム侵入への防止策

エンジンルームに侵入した小動物


エンジンルームの真下にはわずかな隙間があります。内部は雨風を防げて暖かく、暗く狭いので、動物にとっては安心できる場所と言えます。そのため、猫をはじめ、ネズミやヘビ、イタチや鳥など小動物が入りこんでしまうのです。

もしも猫などがエンジンルームに入った状態でエンジンをかけたら、ベルトの回転やエンジンの熱で命を落としてしまいます。JAFによると、2021年1月には猫のエンジンルーム侵入に関する救援要請が42件もあり、うち9件はエンジン始動後の通報だったそうです。

エンジンルームへの侵入は冬場が多いですが、1年を通して起こっています。痛ましい事故を防ぐためにも、十分なケアが必要です。

小動物がエンジンルームに侵入するのを防ぐ

最大の防止策は動物を車に近づけさせないこと。野生動物が少ない地域に住んだり、動物が侵入できない屋内に駐車したりすることがベストです。

そうは言っても駐車場所を変更するのは難しいのが実情。カーショップやホームセンターなどで売っている「動物よけグッズ」を利用するのが現実的な防止策となります。

【防止策1】超音波発生器を使う

動物よけグッズとして、特にオススメなのは超音波発生器です。動物は警戒心が強く、大きな音がする場所を避ける傾向にあります。超音波発生器は、動物にしか聞こえない周波数の音を流すことができ、動物を遠ざけることができます。

注意点としては、人間にも聞こえる音波を出す機種もあること。他の人に迷惑をかけないためにも性能が高い機種を選ぶようにしましょう。

【防止策2】忌避剤を散布する

動物が嫌な臭いを発するものを使うのも良いでしょう。例えば、猫であれば酢やみかんの皮などが挙げられますが、市販の忌避剤を使用するのが無難。忌避剤は固形や液体がありますが、スプレータイプが便利です。

超音波発生装置を合わせて使えれば、さらに効果が増すでしょう。なお、忌避剤の臭いは時間とともに薄れていきます。定期的に使用することを忘れないように。

【防止策3】トゲの付いたシートを敷く

猫への対策としては、トゲが付いたシートを敷いておくのも手。100円ショップでも売っているので、手軽に設置できるのが利点です。

こちらも、超音波発生装置や忌避剤と合わせて使用するのがベスト。動物に「危険な場所だ」と覚えてもらうよう工夫することが重要です。

動物が入っていないかエンジンをかける前に確認する

エンジンルームに入ろうとしている猫


侵入防止策を講じても、必ずしも功を奏すわけではありません。車に乗る前には、エンジンルームに動物が入っていないかチェックするように。

ボンネットを開けて内部を目視するのがチェックの基本。ただ、毎回行うのは手間ですし、エンジンルームの奥にいる場合は見逃してしまう可能性もあります。動物がいるかどうかは、大きな音を鳴らして反応をうかがうのが効果的です。

もちろん、やりすぎは禁物。驚かしたり、嫌な音や臭いを出しすぎたりしないように。過度な対策は動物への暴行と見なされかねません。犬や猫など愛護動物への暴行は「5年以下の懲役又は500万円以下の罰金」あるいは「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」に処されます。車だけでなく、動物への配慮も欠いてはいけません。

【対策1】ボンネットをたたく

ボンネットをたたく、いわゆる「猫バンバン」は習慣的に行うようにしたい対策。たたいた後は動物の声や反応、気配がしないか注意を払ってください。もし動物が入っていそうだったら、ボンネットを開けて、念入りに確認しましょう。

ポイントは、ノックの力加減。強くたたくと動物が怖がり、奥深くに侵入してしまうリスクがあります。人間がいることを動物に知らせるよう、優しくたたくようにしましょう。

【対策2】クラクションを鳴らす

音を鳴らすという点では、車のクラクションを鳴らすのも有効です。動物の警戒心を高めて、様子をうかがいましょう。

当然、クラクションを何度も鳴らすのは、周りの迷惑になるのでNG。深夜など大きな音を出せない状況なら、代わりにドアを開閉して音を立ててみるのも効果があります。

動物の死骸は、基本的にドライバーの責任で行わなければなりません。点検時などに販売店や修理工場に依頼できますが、引き受けてくれなかった場合は自治体のルールに従って葬ってあげてください。

鳥のフン害から車を守る方法

鳥のフンまみれな車


鳥のフンは、車の大敵です。不衛生なだけでなく強い酸性やアルカリ性で塗装を侵食。放置すると穴を空けてしまうこともあります。場所によってはフンが繰り返されるケースもあるので、動物のフン害は軽視できる問題ではありません。

フンをされたら早めに清掃するのは当然ですが、きちんと予防策も取ることも欠かせません。

鳥がフンをする理由を突き止めよう

定期的に車にフンをされているなら、鳥が寄ってきやすい理由があるということ。その原因を突き止めて排除するのが解決の近道となります。例えば車の近くで子どもが食べ物をよく落としていた場合、よく掃除をすることで鳥が寄ってこなくなるかもしれません。

もしも心当たりがないのに頻繁に被害を受けているなら、鳥の習性によるものかもしれません。具体的には、下記の3つが考えられます。

【鳥が車にフンをする理由1】車を敵だと認識をしている

鳥の巣がある駐車場に場合、車を外敵だと勘違いしている可能性があります。さらに、鳥は鏡に映った姿を自分だと認知(鏡像認知)できないため、他の鳥が自分の縄張りに来たと錯覚。侵入してきた敵への威嚇として、フンをしていると推測できます。

【鳥が車にフンをする理由2】マーキングをしている

鳥に限りませんが、野生動物は自分の縄張りを示すために排泄物を置いてマーキングをします。当然、車を清掃すれば臭いが消えるので、再度フンをしてマーキングし直している可能性があります。

【鳥が車にフンをする理由3】光るものに興味を示している

一部の鳥類はガラスなど光るものに興味をもつ習性があります。キラキラ輝くものを水場と思い、近づいてくるのです。つまり、車のミラーや窓、ボディの輝きが鳥を呼び寄せているのかもれません。

フンをされないように車を保護する

鳥のフン害を防ぐ最善策は、やはり屋内に車を止めることでしょう。エンジンルームへの侵入と同様、超音波発生装置など動物よけグッズを利用するのも効果的です。

他にも、手軽にできる対策としては以下もオススメです。自分の状況に合わせて、最善の手段をとってください。

【対策1】車にカバーを掛ける

エンジンルームへの侵入と異なり、鳥のフン害ならカバーをかぶせるだけで十分に車を守ることができます。カバーがこすれることで小さな傷をつけるリスクもありますが、他の動物により引っかき傷や雨風による汚れなども防止可能。愛車の状態維持にも役立ちます。

【対策2】サイドミラーを隠す

前述のとおり、鳥は光るものに寄ってくるので、サイドミラーを格納することも鳥のフン害を防ぐのに効果があります。鳥の縄張り意識を刺激しないためにも駐車時は忘れずミラーをたたむようにしましょう。

【対策3】駆除業者や電力会社に依頼する

どうしてもフン害を防げないならプロの害鳥駆除業者に依頼するのもアリ。駐車場の周辺にとどまる鳥を追い払ってくれます。また、鳥が電線に止まって頻繁にフンをされているようなら電力会社に連絡すると良いでしょう。鳥よけのネットやカバーを設置してくれます。

車にフンをされたら早めに落とす

車についた鳥のフンを拭き取っている様子


鳥のフンは放置すると固まってしまいます。そのため、洗車方法はフンの状態に合わせるのが効率的。フンがこびりついて硬くなったからといって、決して力づくで落とそうとしないでください。

柔らかい液状のフンは雑巾などで拭き取る

鳥のフンは排泄されたてだと液体で、約1日で固まります。つまり、当日中なら雑巾などで簡単に拭きとれます。だからといって空拭きで終えるのは良くありません。車体全面を洗う必要はありませんが、付着箇所などはホースやジョウロ、ペットボトルなどで水洗いしましょう。

水が近くにないときはティシュペーパーで数回に分けて、優しく拭き取ります。もちろん、清掃した後は必ずしっかりと手洗いをしてください。

固まったフンはお湯などで柔らかくして拭き取る

鳥のフンを長期間放置して固まってしまった場合は、フンをふやかすこと。雑巾にお湯を含ませてフンの上に30分ほど乗せておきましょう。フンが柔らかくなったら、そのまま雑巾で拭き取ります。

重曹も、フンの除去に役立ちます。水と重曹を混ぜたペーストをフンにかぶせて5分ほど放置。その後、水で洗い流せばキレイに取ることができます。また、雨の日ならフンを柔らかくする必要がないので、スムーズに掃除できます。

ロードキルを防ぐ運転法と事故後の対処

走行中の車の前を横切るシカ


野生動物との交通事故、いわゆるロードキル。日本全体での正確な発生件数は把握されていませんが、NEXCO 3社などによると、2018年には高速道路で約4万8000件も発生。2002年には約3万6000件でしたので、年々増加しているそうです。

事故に遭っている動物は犬猫をはじめ、タヌキやウサギ、イタチ、カラスなど多種多様。シカやクマなど大型動物との事故も報告されており、ドライバーが命を落とす大事故も起こっています。野生動物との事故は非常に危険であり、遭遇に備えておく必要があります。

運転中に警戒標識を見たら動物の飛び出しに注意する

動物が飛び出すおそれあり標識


野生動物が出没しやすい道路には、「動物注意」と書かれた黄色いひし形の警戒標識が設置されています。標識のマークはシカが標準とされていますが、タヌキやイノシシなどよく出没する動物が描かれていることも。

動物警戒標識を見たら速度を抑え、慎重に走行すること。特に、高速道路では急ハンドルは避けてください。スピンや他車と接触事故を起こす恐れがあります。また、見通しが悪くなる夜間は、状況によってライトをハイビームにしましょう。動物の目が光って発見しやすくなります。

大型動物のロードキルが多いエリアでは、事故が多い道路をWEBサイトで公開している自治体もあります。山や森などにドライブに行く際は、事前にチェックしておきましょう。

野生動物をひいたら交通事故と同様に対応する

万が一、野生動物に衝突してしまったら、慌てず安全な場所に車を止めましょう。動物が逃げてしまった場合でも、警察に連絡します。事故の場所や負傷者、破損具合だけでなく、衝突した動物の状態も伝えてください。その後の動きは警察に従うことになりますが、動物が生きているか死んでいるかで、対応が変わります。

なお、ひいた動物がペットだった場合でも、対応は野生動物と一緒です。警察に連絡し、指示を仰いでください。なお、ペットをひいて放置し、飼い主に被害届を出された場合は「危険防止等処義務違反」として刑事責任に問われます。

【生きている場合】動物を保護して治療する

動物が生きて近くにいる場合は、動物病院や保護施設に連れていきます。警察が搬送してくれるケースもありますが、山奥などの場合は自車で運ぶことも。搬送先への連絡もケースバイケースで、警察がしてくれることも自分で段取りを組むこともあります。

もし自分で動物を運ぶことになったら、素手で動物に触らないこと。軍手やタオルなどを利用し、毛やフンなどを吸い込まないようにマスクも装着してください。

一方、動物が暴れて保護が難しい場合は、警察の指示を仰ぎましょう。決して取り押さえようとしないように。なお、動物の治療費は、野生動物を無償で治療している病院もありますが、基本的にドライバーの負担となります。

【死んでいる場合】動物の死骸を路肩に移動させる

動物が死亡している場合は、動物の死骸を安全な路肩に移動させることになります。死骸が後続車に何度もひかれたり、避けようとして二次被害が起きたりすることを防ぐためです。もちろん、死骸を移動する際は素手で触らないでください。

死骸は道路管理者または地方自治体が処理してくれます。その連絡は警察が行うのか、自分で行うのかは時と場合によります。警察に段取りを確認し、指示に従ってください。

自分がロードキルを起こしてなくとも、ひかれた動物を見つけたら道路緊急ダイヤル「#9910」に連絡してください。傷ついた動物の保護や、死骸の処理が必要だからです。ダイヤルの番号は全国共通。対話型音声自動応答なので、24時間かけることができます。

ロードキルした後の車は損傷具合に応じて修理する

動物の大きさや速度にもよりますが、野生動物と事故を起こした場合、車にも悪影響があるかもしれません。破損が一見なかったとしても、念のため点検・修理をしておくのがベストでしょう。

車両保険は種類によって適用される

野生動物との事故は法律上、単独(物損)事故扱いとなります。そのため、自賠責保険は適用外。任意保険の車両保険は一般型なら適用内ですが、エコノミー型(限定型)だと適用外になるケースが多くなります。ただ、エコノミー型であっても鳥など飛んでいる動物との事故や、窓ガラスのみの損害は補償の対象となります。

状況によって適用される保険が異なるので、ロードキルを起きた場合は保険会社に確認することが無難でしょう。なお、車両保険を使うには事故証明が必要。事故を起こして車両保険を使いたい場合は、警察だけでなく保険会社にも合わせて連絡してください。

動物との事故の場合は単独(物損)事故として処理されますので、警察に通報しても点数に影響はありません。なお、故意にロードキルを起こしたと判断された場合は、器物損壊として扱われて罪に問われます。いずれにせよ、運転をする際は常に命を守る行動を心掛けてください。