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スマホが最高の防災グッズに! オススメ防災アプリ&サイト12選

スマホが最高の防災グッズに! オススメ防災アプリ&サイト12選
防災アプリ&サイトは数が多く、どれを選んだら良いのか迷ってしまうのが現状です。一体どんな視点で選んだら良い? オススメの防災アプリ&サイトは? 災害対策の最新事情に詳しい、防災アドバイザーの高荷智也さんに教えてもらいました。
話者
高荷智也

高荷智也(たかに ともや)。備え・防災アドバイザー。「自分と家族が死なないための防災」をテーマに活動。地震や感染症パンデミックなど自然災害から、銃火器を使わないゾンビ対策まで、防災を分かりやすく伝えている。防災YouTuberとしても多くの動画を公開中。

 

防災アプリ&サイトを選ぶポイント

スマホアプリのイメージ


防災アプリでは、正確な情報を効率よく入手できることが重要です。特に、必要な情報を知ることができないという状況は避けたいところ。

そんな情報の抜け漏れを防ぐためには「災害発生を知る」「被災状況を確認する」「家族との連絡を取る」「避難生活に必要な情報を入手する」という4つの目的に分けてアプリを揃えるのが有効です。加えて下記4点を見比べ、より利便性の高い防災アプリ&サイトを選ぶと良いでしょう。

【ポイント1】対応している災害の数

地震や津波、豪雨などの気象情報などが「災害の種類別」に提供されているアプリやサイトは多く存在しています。しかし、目前に危険が迫ったとき、それらを個別にチェックしている余裕はありません。

つまり、複数の災害情報とアラートを網羅しているサービスが必須。最低ひとつはスマホに入れておきましょう。地域によっては水害や土砂災害といった特定の災害に特化したアプリを入れておくと、より安心です。

【ポイント2】情報の信頼性

災害発生時、インターネット上には臆測やデマも含め、様々な情報が飛び交います。しかし、それらの真偽を個人がチェックするのは至難の業。信頼性の高い情報源かどうかも防災アプリ&サイトを選ぶ基準となります。

この点においては、情報の真偽を精査している国や自治体、公共放送などが運営するサービスが最適。一方で、ユーザー投稿が見られる民間のアプリとサイトは局地的な災害発生状況を確認したい場合は効果的です。ただ、その場合も信頼性が高い情報源と照らし合わせるようにしましょう。

【ポイント3】バッテリーの消費電力

頻繁に自分の位置や情報を取得するアプリの中には、バッテリー消費が激しいものがあります。電力がダウンしたり、充電器を持っていなかったりする状況では、スマホのバッテリー切れは重大なリスクになり得ます。

アプリをダウンロードしたら、試しに起動してバッテリー残量の減りをチェックしましょう。使用中に本体が極端に熱くなるアプリはバッテリー消費量が多い傾向にあるので要注意です。

【ポイント4】オフラインでの利用可否

災害発生下や車での移動時、Wi-Fiや4G・5Gといった移動通信システムが使えない状況も考えておかなければなりません。オンラインでの使用を前提とするアプリがほとんどですが、地図や書籍のアプリの中には必要な情報を予めダウンロードすることで、オフラインで使えるものがあります。

平時のうちにアプリをチェックし、必要な情報をダウンロードしておくのがオススメです。ただし、アプリによっては相当なメモリを使ってしまうことも。SDカードが使える端末ならカードに保存する、あるいは今使っていない端末に保存しておくのも一案です。

防災アプリを使うための準備

電波塔のイメージ


防災アプリを入れて準備万端……というわけではありません。災害が発生したときに正しく使えるよう、日頃から備えておくことが大切です。

車に車載充電器やモバイルバッテリーを入れておく

車は、いわば移動できる発電機。シガーソケットからスマホやタブレットに充電するためのDC-ACインバーターやUSB充電器などは準備しておきましょう。

併せて充電式、あるいは乾電池式のモバイルバッテリーも用意しておくこと。ただ、高温になりやすいダッシュボードやシートの上などに置きっぱなしにしておくことは危険です。発火する恐れがあります。梱包したうえで荷室床下など、温度が上がりにくい場所にしまうようにしてください。

本番前に一度は使っておく

災害発生後に初めてアプリを使うと必要な情報を得るのに手こずり、時間とバッテリーを浪費しかねません。また、アプリによっては会員登録によるログインが必須だったり、一度立ち上げることで初めてデータのダウンロードが始まったりするものもあります。

そんな事態を防ぐため、平時のうちに必ず一度は立ち上げておくこと。使い勝手や操作方法を、きちんと把握しておきましょう。

プッシュ通知をオンに設定する

緊急情報をプッシュ通知してくれるアプリでも、スマホ側の設定でオンにしていないと通知を受け取れません。常にオンに設定して、就寝中など大きい音を鳴らしたくない場合はマナーモードで対応。危険が身に迫っていることを常にキャッチできる状態にしておきましょう。

防災サイトをブックマークしておく

スマホ・タブレットのホーム画面にはアプリのアイコンだけでなく、WEBサイトをブックーマークできます。利便性の高い防災サイトはスマホの使用時間を短縮するため、ブックマークしておきましょう。

防災アプリを使うときの注意点

スマホを積載する車内


緊急地震速報などのアラートが急に鳴ったら、まずは安全の確保が最優先です。地震で大きく揺れている、津波が迫っている、土砂崩れが発生しているなど、目前に生命の危機が迫っているときは、スマホを見ている場合ではありません。

運転中も同様です。情報収集も大事ですが、自身の安全を第一に行動しましょう。まずは、減速してハザードランプを点灯。続いて、停車帯や駐車場など安全な場所に車を止めてください。そうして初めて、スマホで情報のチェックや家族と連絡を行いましょう。

携帯電話基地局の電源が落ちる前に情報を入手する

大地震などで電気が使えなくなり、携帯電話基地局がダウン。電波も届かなくなってしまいます。しかし、各基地局には非常用電源があり、しばらくは電波を中継可能。その時間は各基地局によって異なりますが、一般的には「3~24時間程度」とされています。実際、通信事業社も県庁所在地や市区町村役場の近くにある基地局で停電時の長時間稼働(24時間程度)を実施していることが多くなっています。

そのため、家族との連絡や、スマホなどでの情報収集はできるだけ早いタイミングで、すみやかに行うことがポイントです。

目的別オススメ防災アプリ&サイト

災害時のスマホ利用のイメージ


災害に備えてダウンロード・ブックマークしておきたいというアプリ&サイトを厳選しました。前述の4つの目的に合ったアプリ&サイトを揃えて、必要な情報・機能を確保しましょう。

【目的1】災害発生を知る

安全を確保するためには、災害が発生したこと、警報や避難指示などが発せられたことを素早く知ることが大切。災害発生に気づかず、不意に被害に遭ってしまうことを避けるのに役立つアプリ&サイトを選びました。

アプリ「Yahoo!防災速報」

Yahoo!防災速報

(引用元:Yahoo! JAPAN「Yahoo!防災速報」

緊急地震速報や津波予報、大雨危険度、土砂災害情報など様々な災害情報を素早く知ることができます。現在地と国内3地点を設定可能で、発報された警報や速報などをプッシュ通知してくれます。

このアプリが優れているのは、災害情報だけでなく、熱中症情報や国民保護情報(Jアラート)など、あらゆるリスクに対応している点です。さらに、地図で災害状況などを見られる「災害マップ」も便利。公共機関の情報だけでなく、ユーザーから投稿された情報も知ることができます。

Yahoo!防災速報の詳細を見てみる

アプリ「3D雨雲ウォッチ」

3D雨雲ウォッチ

(引用元:MTI Ltd.「3D雨雲ウォッチ」

現時点で発達している雨雲と雨足の強さを、地図上に3D表示。雨が降るとプッシュ通知で知らせてくれます。フェーズドアレイ気象レーダと従来レーダの情報を組み合わせる独自技術で、気象庁も発表していないゲリラ豪雨のピンポイントな予報が得られます

このアプリは、特に都市部での運転に力を発揮。ゲリラ豪雨でアンダーパスが水没するリスクを予測するのに役立ちます。なお、フェーズドアレイ気象レーダのカバー範囲は現状では関東と関西の一部地域のみですが、該当エリアにお住まいの人はダウンロードしておいて損はないでしょう。

3D雨雲ウォッチの詳細を見てみる

WEBサイト「重ねるハザードマップ」

重ねるハザードマップ

(引用元:国土交通省「重ねるハザードマップ」

日本全国のハザードマップを参照できます。その名のとおり、水害や土砂災害など個別のハザードマップを重ねて表示できるのが特徴です。

自宅や勤務先周辺のリスクはもちろん、車で出かける際には目的地付近にどんな危険があるのかを事前にチェックしておきましょう。広い範囲のリスクを把握できるため、万一の発災時に避難するか、現在地にとどまるか判断するのに役立ちます。

重ねるハザードマップの詳細を見てみる

【目的2】被災状況を確認する

現在、どこでどんな災害が発生しているかを知ることは、避難すべきか否かを判断するのに重要です。自宅や勤務先だけでなく、車で出かけた先でも現地の被災情報を素早く入手できるアプリ&サイトを見つけておきましょう。

アプリ「NHK ニュース・防災アプリ」

NHKニュース・防災アプリ

(引用元:NHK「NHK ニュース・防災アプリ」

文字情報でNHKのニュースを確認でき、マップ上で気象・災害情報も確認できます。また大規模な災害発生時にはニュース動画なども配信。画面上のテロップ表示とともに速報や災害・避難情報などがプッシュ通知で届きます。

NHKの公式アプリだけに、信頼性は他のメディアよりも高いと言えます。デマではない公的な情報を確実に把握するため、ぜひインストールしておきましょう。

NHK ニュース・防災アプリの見てみる

WEBサイト「キキクル(危険度分布)」

キキクル(危険度分布)

(引用元:気象庁「キキクル(危険度分布)」

大雨による災害発生の危険度が「危険度分布」として、地図上に色別表示。土砂災害、浸水害、洪水害の3種類について、6時間前から現在までの危険度をひと目で確認できます。

例えば、川原など水害のリスクが高そうな場所にいて大雨が降ってきたとき、即座に避難すべきかどうか判断するのに役立つでしょう。ハザードマップの情報を重ねて確認できるのもポイント。災害発生後だけでなく、「浸水したらどこまで被害が到達するか」という事前の情報収集にも使えます。

キキクル(危険度分布)の詳細を見てみる

WEBサイト「川の水位情報」

川の水位情報

(引用元:危機管理型水位計運用協議会「川の水位情報」

任意の河川の水位をリアルタイムで確認でき、ライブカメラで河川の状況も目視できます。現在地周辺を流れる河川の水位、堤防までの高さといった情報が視覚的に分かりやすく表示されるのが利点です。

直近の水位変化をグラフで見られるので、氾濫の予測にも活用できます。自宅周辺の河川状況を確認するのはもちろん、大雨が降っているとき、車で橋を渡れる状況か調べることができます。

川の水位情報の詳細を見てみる

WEBサイト「通れた道マップ」

通れた道マップ

(引用元:トヨタ「通れた道マップ」

トヨタのテレマティクスサービス(G-BOOK、T-Connect)が搭載されている車両が、直近24時間以内に“通れた”道を地図上で確認可能。災害発生時には3時間以内に通行できたか否かを表示する画面に切り替えられる他、被災地域の航空写真なども同一画面上で見られます。実績をベースにしているだけに、信頼性の高い情報源と言えます。

ただし、掲載されている情報は通行の「実績」であり「可否」ではない点を十分に留意すること。その時間に1台も通過していない道は参考になりませんし、過去に通行できても「現在は……」という可能性も否定できません。情報を過信することなく、慎重に判断することが大切です。

通れた道マップの詳細を見てみる

アプリ「Twitter(ツイッター)」

Twitter

(引用元:Twitter, Inc.「Twitter」

言わずと知れたSNSアプリですが、マスメディアが発信しないようなローカルな被害状況をチェックするのに適しています。災害発生時には検索タブに地名などを入れて検索。ユーザーが投稿した現地の被害状況などを知ることができます。

ただし、あくまで一市民からの情報であり情報の精度はマチマチです。中にはデマも含まれているので、情報を必ずうのみしないこと。信頼できる情報源で裏を取りながら、参考にするよう心掛けてください。

Twitterの詳細を見てみる

【目的3】家族との連絡を取る

災害発生時は家族の安否が気がかりでしょう。しかし、家族と連絡が取れれば、その不安が多少は解消されるかもしれません。同時に、家族と合流するために無理に帰宅する必要もなくなります。状況に応じて無理な移動を控えることは、自らの安全確保にもつながります。

アプリ「LINE(ライン)」

LINE(ライン)

(引用元:LINE株式会社「LINE」

LINEは災害時の連絡ツールにもってこい。事前に緊急連絡用のグループを作り、自身の安否を一斉に伝えられるように準備しておきましょう。そもそもLINEは2011年の東日本大震災に「災害発生時にも連絡できるサービス」として開発されました。そのため、利用者数が膨大でも安定して通信できます。2016年の熊本地震や2019年の台風19号などでもサーバーダウンしませんでした。

災害時は、固定電話も携帯電話も、回線が混み合ってパンクしてしまう前に通信事業者が意図的に規制。電話が通じなくなってしまいます。そうした状況下でもインターネット環境が無事なら連絡を取り合えます。現在では電話よりアプリの方が災害発生下の通信手段として優秀なのです。

LINEの詳細を見てみる

【目的4】避難生活に必要な情報を入手する

避難生活においてはバッテリーの電気を抑えるため、むやみに検索するのは避けるべき。そのため、事前に避難生活で必要な知識を取得できるアプリ&サイトを用意しておきましょう。

WEBサイト「gogo.gs(ゴーゴージーエス)」

gogo.gs(ゴーゴージーエス)

(引用元:株式会社ゴーゴーラボ「gogo.gs」

全国のガソリンスタンドの場所やガソリンの価格など各種情報を検索可能。ユーザーがガソリンスタンドのクチコミ情報を投稿する機能があり、災害発生時における給油の可否や混雑状況などを調べるのに役立ちます

特筆すべきは、自家発電設備によって停電時にも給油できる「住民拠点SS」を検索できること。検索画面のフリーワードで「住民拠点SS」と入力、もしくはキーワード候補から選択すれば情報を取得できます。

gogo.gsの詳細を見てみる

アプリ「MAPS.ME」

MAPS.ME

(引用元:STOLMO LIMITED(iOS)/MAPS.ME (CYPRUS) LTD(Android)「MAPS.ME」

オフラインで使用することに特化しており、都道府県単位で地図をダウンロードできます。携帯電波がダウンした状況でも地図を閲覧できるのがメリットです。

「渋滞で車移動できない」「移動先から徒歩で帰宅しなければならない」といったシーンで力を発揮するでしょう。Googleマップのアプリにもダウンロード機能はありますが、こちらの方が簡単に使え、メモリ容量も少なくて済みます。

MAPS.MEの詳細を見てみる

アプリ「Amazon Kindle」

AmazonKindle/楽天Koboなど

(引用元:AMZN Mobile LLC「Amazon Kindle」

データをダウンロードして使う電子書籍アプリは、インターネットにつながらない状況でも読めるのが利点。万が一の事態に備えて、サバイバルブックや『家庭の医学』(主婦の友社)といった応急手当の本などを購入しておくことをオススメします。また、好きな小説や写真集なども避難生活での気持ちを和らげるためには効果的かもしれません。

アプリはAmazonKindleを代表として挙げましたが、楽天KoboやDMMブックスなどでも問題ありません。なお、電子書籍は購入しても一度は開かないとダウンロードされないので注意が必要です。

Amazon Kindleの詳細を見てみる

CREDIT
写真: 高荷智也、Adobe Stock、photoAC
文: 田端邦彦(ACT3)