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夏は人も車も暑さ対策が必須!猛暑によるオーバーヒートや熱中症に注意

夏は人も車も暑さ対策が必須。猛暑によるオーバーヒートや熱中症に注意
最近では夏場に最高気温が35度を超える猛暑日になることが珍しくなく、熱中症で亡くなる人もいます。さらに、高温な環境は車にとっても過酷でトラブルを誘発。猛暑は一種の自然災害であり、人にも車にも十分な対策が必要です。

猛暑のトラブルを点検整備で防止する

猛暑日の道路


猛暑によるトラブルは、点検整備をしっかりと実施していれば防げるものがほとんど。夏場に限りませんが、日頃からメンテナンスすることが大切です。日常点検についてはJAFの「日常点検15項目」を参考に実施してください。

もちろん、天気予報や気象庁の「水害被害(風水害・土砂災害)」「気温の状況」などで情報をチェックすることも欠かせません。

トラブルを起こしやすい箇所は十分にケアする

夏場は車両自体が発する熱と、外気温の上昇によって、車のトラブルが起こりやすくなります。特に、下記の6ヵ所は注意が必要。点検整備を怠らないようにしましょう。

【猛暑でトラブルを起こしやすい箇所1】バッテリー

バッテリー上がりは冬に多いと思われがちですが、夏のトラブルも少なくありません。JAFの出動理由も、一般道路では「バッテリー過放電」がお盆時期のトップとなっています。

もしも炎天下でバッテリーが上がり、エンジンを始動(エアコンを稼働)できなくなったら一大事。現在はバッテリー液の補充が必要ない「メンテナンスフリーバッテリー」がほとんどですが、整備工場などで定期的に確認するように。「セルモーターの音が普段とは違う」などの異変を感じ取ることも大切です。

ハイブリッド車やEVには補機用と駆動用のバッテリーが搭載されています。駆動用バッテリーが寿命を迎えたり、異常があったりすると警告灯が点灯しますが、ドライバー自身によるメンテナンスや交換はできません。整備工場で点検整備してもらいましょう。

【猛暑でトラブルを起こしやすい箇所2】ラジエター

夏場に起きやすいトラブルの代表といえば、エンジンのオーバーヒート。その原因のほとんどが、ラジエターの冷却水(ラジエター液、クーラント、LLCとも)不足によるものです。

特に渋滞など走行風が十分に当たらない環境では、オーバーヒートが誘発されます。ラジエター液が規定量まで入っているか走行前に確認しておきましょう。

【猛暑でトラブルを起こしやすい箇所3】タイヤ

冬場には問題なかったタイヤの小さな亀裂も、夏になるとタイヤ内の温度が上昇することで空気圧も上がり、バーストを引き起こす危険性が高まります。スリップサインが露出していないか、タイヤにヒビなどが入っていないか忘れずチェックしてください。

また、使用開始後5年以上、製造後10年経過したタイヤは、溝の有無にかかわらず新品に交換すること。ゴムの経年劣化によって、タイヤの安全性能に懸念が生じるからです。

【猛暑でトラブルを起こしやすい箇所4】エンジンオイル

エンジンオイルが減っていたり、劣化していたりすると、オーバーヒートや焼き付きなどのトラブルを引き起こします。オイルの量や交換サイクルを、きちんと確認すること。

なお、現在のエンジンオイルはどれも性能が高くなっており、夏場と冬場で異なる粘度のオイルに入れ替える必要はありません。年間を通じてメーカー指定の粘度・規格に従ったオイルを入れれば問題ありません。

【猛暑でトラブルを起こしやすい箇所5】ブレーキ

ブレーキ液の高温化によって発生する「ベーパーロック現象」は、ブレーキ液の劣化によって引き起こされることも。夏場はブレーキの放熱性が悪くなるため、トラブルの危険性が高まります。ブレーキ液は定期的に交換し、日常点検では量が減っていないか確かめましょう。

【猛暑でトラブルを起こしやすい箇所6】エアコン

夏場にエアコンが使えないと、熱中症につながる恐れがあります。気温が本格的に高くなる前に整備工場などでエアコンガスをチェックしてもらい、必要なら補充や交換してもらうと安心でしょう。

運転中は体と車の異変に注意する

真夏に走行している車


エアコンをつけていれば熱中症のリスクはかなり下がりますが、絶対に発生しないわけではありません。熱中症は温度だけでなく、湿度や輻射熱(直射日光で高温になった物質から発せられる熱)、体調など、複数の要因が重なり合って起きます。

例えば、水分不足と過度な疲労は熱中症のリスクを高めます。ドライバーも同乗者も水分補給を欠かさず、疲れを感じたら停車して休憩を取ることが大切です。特に、熱中症を起こしやすい乳幼児や高齢者が同乗しているなら、体調をこまめに確認してください。

「空気の入れ換えとエアコン全開」で車内温度を一気に下げる

暑くなった車内の温度を早く下げるには窓を全開にし、エアコンの設定温度を最低にして外気導入で走行。空気を入れ換えてから窓を閉め、エアコンを内気循環に切り替えるとスムーズです。

この方法はJAFの実験でも効果が検証されています。高温になった車内に「ドアを素早く開閉する」「冷却スプレーを使う」「窓を閉めてエアコンを全開にする」などの方法を比較した結果、最も早く室内温度が下がったそうです。

点灯しているインジケーター
 

インジケーターの点灯を見逃さない

運転中もメーター内にある水温やエンジン、AT、排気温の警告灯が点灯していないか気にかけておくこと。もしも点灯していたら安全な場所にすぐ停車し、エンジンを停止。ロードサービスに救援を依頼してください。

水温計がHマーク直前ならオーバーヒートの危険アリ

装備されていない車種もありますが、水温計にも注目。高温を示す「Hマーク」直前を針が指していたら、すでにオーバーヒート気味です。その場合は安全な場所に停車してエンジンをオフ。ボンネットを開けてラジエター液が漏れていないか確認してください。

併せて、リザーバータンク内のラジエター液量が上限(Fマーク)と下限(Lマーク)の間かも目視。下限以下ならラジエター液を補給しましょう。ただし、エンジンルームから蒸気が出ていたら、ボンネットを開けないように。時間を空け、蒸気が出なくなるまで待ちましょう。

次にエンジンを再始動し、ラジエター冷却用のファンが作動しているか確認。ラジエター液が漏れていないかも再度チェックしてください。各部が正常に作動してれば走行可能。整備工場で早めに点検を受けましょう。ファンが作動していなかったり、ラジエター液が漏れていたりしたら走行は厳禁。ロードサービスなどを呼んでください。

手元に補充用のラジエター液がない場合には真水を補充して急場を凌ぐことができます。ただ、ラジエター液には防錆・凍結防止の役割があるため、真水を補充すると濃度が薄くなり、本来の機能を発揮できなくなります。真水を入れた場合、早めに整備工場などで正しい濃度に調整し直してください。

熱中症の症状が出ている女性
 

熱中症の兆候が現れたら即座に応急処置をする

万が一、めまいや虚脱感、大量の発汗など熱中症を疑う症状が同乗者や自分に現れたら、即座に応急処置を施す必要があります。

呼びかけへの反応がある場合は、できるだけ涼しい場所に避難させ、氷嚢や濡れタオルなどで体を冷やすのが先決。水が飲めるようならスポーツドリンクや経口補水液などで水分と塩分を補給して様子を見てください。症状が改善してもすぐに行動せず、十分に休息を取ってから帰宅しましょう。

一方、呼びかけへの反応がない場合や、症状が改善されない場合には、すみやかに医療機関を受診すること。熱中症の予防や対処は環境省の熱中症予防サイトでも詳しく解説されているので参考にすると良いでしょう。

■参考サイト
環境省「熱中症の対処方法(応急処置)」

駐車場所と車内温度に考慮する

サンシェードを置いている車


炎天下に車を駐車しておくと、車内温度は50度以上に達することも。車内温度の上昇を避けるには日陰や、直射日光が車内に差し込みにくい場所に駐車しましょう。

JAFのテストによると、日なたに止めた車と日陰に止めた車では、外気温が35度の状況だと車内温度は約7度も違いました。30分後には日なたの車は42度以上になり、日陰の車でも車内温度が35度以上になったそうです。

暑すぎる車内温度は人にも車にも悪影響を与えます。猛暑日では車内温度に考慮すること。 当然、日陰に止めても車内にとどまるときは迷わずエアコンを作動させましょう。

サンシェードなどで直射日光をカットする

炎天下では直射日光によってダッシュボードなどは70度以上になることも。さらに、スマホなどを置いていると高熱で故障してしまう恐れがあります。

直射日光の対策としてはサンシェードやカーテンなどで窓を覆うのが、やはり有効。車内温度の上昇を防ぐ効果はほとんどありませんが、熱中症の要因となる輻射熱や、精密機器の故障を予防する効果が見込めます。

枯れ草など発火しやすい場所に止めるのを避ける

高温になった排気管(マフラー)が枯れ草など燃えやすい物に触れていると、発火して車両火災の原因となることがあります。車が高温になりやすい夏場は、駐車する場所にも注意が必要。車両付近に可燃物がないか確認しておきましょう。

ペットボトルを置いたままにしているダッシュボード
 

車内に揮発物などを置かない

ライターやガスカートリッジ、スプレー缶など揮発性物質の入った容器を車内に置いたままにしておくと高温下で爆発する可能性があります。

また、フロントウインドウに貼った吸盤(運転に必要のない物を前面ガラスに貼るのは保安基準でも禁止)、水の入ったペットボトルなどは、凸レンズ効果によって直射日光を集め、部分的に高温になることがあります。最悪の場合、発火して車両火災に至ることも。

日頃から不要な物を車内に放置しないようにしましょう。

短時間の駐車でも車内に子供やペットを残さない

昨今では子供や高齢者、ペットを車内に残し、熱中症などで命を落とす事故が報じられています。加えて、「キー閉じ込み」によって意図せず炎天下の車内に同乗者を閉じこめてしまう事故も起きています。

外気温が25度程度でも、直射日光によって車内温度は50度近くになる場合があります。エアコンを作動させていたとしても何らかの理由でエンジンが停止して事故につながるケースも考えられます。

短時間であっても駐車する際は、運転できる大人が残る、あるいは全員が車から降りるよう徹底してください。