ダイハツ タント▲新しいプラットフォームを採用した新型タントの乗り味やいかに? 自動車テクノロジーライターの松本英雄氏がレポートする

正直、期待は薄かった新型タント

軽トールワゴン「ダイハツ タント」が、満を持してフルモデルチェンジ。4代目となった。

先代の3代目モデルは、正直に言うとシャシーの剛性不足。売れ行きとしても他社を凌駕する“勢い”がなかった。一方で、“軽トールワゴンの王者・タント”というブランド力とアイデア装備が販売に貢献していたのだと感じる。

ダイハツがコストを抑えた車作りに躍起になっていたことは否めないだろう。現に私が「基本の骨格にコストをかけた車作りを」と、試乗会のたびに話をしていたが、伝わるものはなかった。

ダイハツの新プラットフォーム「DNGA(Daihatsu New Global Architecture)」第1弾モデルと大きくうたわれていたが、こんな背景もあったので、個人的には新型タントにもあまり期待はなかった。

試乗会場は、エンジニア泣かせの木更津・かずさアカデミアパーク。私も再三試乗記で記すこの場所は、モダンな建物と質の高いホテルを完備していて、房総のドライブコースにはもってこいのスポットなのだが、エントランスから続く道は石畳になっている。

つまり、試乗スタートの瞬間から、細かな動きに対してどれほど柔和で振動を抑えることができるかが一目瞭然。

まさに“エンジニア泣かせ”のコースなのだ。

タントX(2WD)

ダイハツ タント

まずは、2WDのタントXから試乗。

運転席に乗り込むと、今までよりもドアの剛性感が高いと感じた。内装の仕上がりもプレーンで、飽きのこない扱いやすさを追求したデザインと質感だ。エアコンの操作も一目でわかる。

エンジンを始動すると、とても静かで振動も抑えられていた。Dレンジに入れ、ゆっくりと走り出す。

NAではあるが、エンジンの制御とトルク特性、CVTの制御がとてもマッチしている。例の石畳を低速で通過した。100メートルほど走って感じたのは一言……「素晴らしい進化」である。

これまでのダイハツの考え方を踏襲しながら、ネガティブな部分を削いで作られた印象だ。プラットフォームと上に取り付けられるボディの相互関係も非常にいい。そして、乗り心地がすこぶるよいのである。

そのまま300メートルほどアップダウンのある丘を駆け上がったが、NAのエンジンとCVTであるにも関わらず、うなるような音もなく、ある力を無理せず発揮して上る様子がよくわかった。このクラスとパフォーマンスにあった最良方式をタントの開発グループは考えたのだろう。

ステアリング操作は軽いが、しっとりと重さも残る。そして、ステアリングを切った後の“揺り返し”が極力抑えられていた。スーパートールサイズの軽自動車であるが、安定性と乗り心地が両立し、バランスの良いモデルである。
 

ダイハツ タント
ダイハツ タント
ダイハツ タント ▲タントといえばこの「ミラクルオープンドア」。Bピラーがなく大開口のスライドドアである。新型はさらに運転席が前後に大きくスライド(最大540mm)可能で、運転席から後席へ直接移動(室内ウオークスルー)することができる

タント カスタムRS

ダイハツ タントカスタム

続いて、タント カスタムRSに試乗した。存在感がさらに高められている。小さいながら、自己主張を感じるフロントとリアである。

サスペンションのセッティングは、プレーンなタントと多少変更しているそうだ。ターボモデルだが、アイドリングはNA同様に極めて静か。3気筒エンジンによる独特の振動も感じられない。

発進時の走り出しはNAと互角である。あの石畳では、タントXに比べ、路面からのノイズと振動が若干大きいが、スポーティな装いと考えれば合点はいく。

タントXで上った丘も走った。ターボモデルだけに力強い。

トルク特性とCVTのマッチングは、NAよりも滑らかさに欠けるがレスポンスも良く軽快だ。強めの発進でもフロントにトラクションを得る。これは新たなプラットフォームによる搭載位置から得た恩恵だ。

ダイハツ タントカスタム
ダイハツ タントカスタム
ダイハツ タントカスタム
ダイハツ タントカスタム

今回は、以上の2モデルに乗った。どちらのモデルも、驚くほどの進化がエンジン、トランスミッション、シャシー、サスペンションに見られた。刷新したプラットフォームの第1弾モデルで、これほどまとまっているのには正直驚いた。

相対的に車としてバランスの良いのは、「タントX」だ。ただ、乗り心地やパフォーマンスより、スタイリングや雰囲気を重視する方が多いことも事実。そうなると、多くのカスタマーが選ぶのは「タント カスタムRS」かもしれない。

しかし、使い勝手と移動手段として快適なのはNAモデルであると私は感じた。

文/松本英雄、写真/尾形和美

【試乗車 諸元・スペック表】
●タント 660X 2WD

型式 6BA-LA650S 最小回転半径 4.4m
駆動方式 FF 全長×全幅×全高 3.4m×1.48m×1.76m
ドア数 5 ホイールベース 2.46m
ミッション CVT 前トレッド/後トレッド 1.3m/1.3m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) 2.18m×1.35m×1.37m
4WS - 車両重量 900kg
シート列数 2 最大積載量 -kg
乗車定員 4名 車両総重量 -kg
ミッション位置 インパネ 最低地上高 0.15m
マニュアルモード -
標準色

マスタードイエローマイカメタリック、アイスグリーン、ブルーミングピンクメタリック、ホワイト、ブラックマイカメタリック、ブライトシルバーメタリック、ファイアークォーツレッドメタリック

オプション色

シャイニングホワイトパール、レーザーブルークリスタルシャイン

掲載コメント

-

型式 6BA-LA650S
駆動方式 FF
ドア数 5
ミッション CVT
AI-SHIFT -
4WS -
標準色 マスタードイエローマイカメタリック、アイスグリーン、ブルーミングピンクメタリック、ホワイト、ブラックマイカメタリック、ブライトシルバーメタリック、ファイアークォーツレッドメタリック
オプション色 シャイニングホワイトパール、レーザーブルークリスタルシャイン
シート列数 2
乗車定員 4名
ミッション
位置
インパネ
マニュアル
モード
-
最小回転半径 4.4m
全長×全幅×
全高
3.4m×1.48m×1.76m
ホイール
ベース
2.46m
前トレッド/
後トレッド
1.3m/1.3m
室内(全長×全幅×全高) 2.18m×1.35m×1.37m
車両重量 900kg
最大積載量 -kg
車両総重量 -kg
最低地上高 0.15m
掲載用コメント -
エンジン型式 KF 環境対策エンジン H30年基準 ☆☆☆☆☆
種類 直列3気筒DOHC 使用燃料 レギュラー
過給器 - 燃料タンク容量 30リットル
可変気筒装置 - 燃費(JC08モード) 27.2km/L
総排気量 658cc 燃費(WLTCモード) 21.2km/L
└市街地:18.4km/L
└郊外:22.8km/L
└高速:21.6km/L
燃費基準達成 R02年度燃費基準
+10%達成車
最高出力 52ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
60(6.1)/3600
エンジン型式 KF
種類 直列3気筒DOHC
過給器 -
可変気筒装置 -
総排気量 658cc
最高出力 52ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
60(6.1)/3600
環境対策エンジン H30年基準 ☆☆☆☆☆
使用燃料 レギュラー
燃料タンク容量 30リットル
燃費(JC08モード) 27.2km/L
燃費(WLTCモード) 21.2km/L
└市街地:18.4km/L
└郊外: 22.8km/L
└高速: 21.6km/L
燃費基準達成 R02年度燃費基準 +10%達成車

●タント 660カスタムRS 2WD

型式 5BA-LA650S 最小回転半径 4.7m
駆動方式 FF 全長×全幅×全高 3.4m×1.48m×1.76m
ドア数 5 ホイールベース 2.46m
ミッション CVT 前トレッド/後トレッド 1.3m/1.3m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) 2.18m×1.35m×1.37m
4WS - 車両重量 920kg
シート列数 2 最大積載量 -kg
乗車定員 4名 車両総重量 -kg
ミッション位置 インパネ 最低地上高 0.15m
マニュアルモード -
標準色

マスタードイエローマイカメタリック、ブラックマイカメタリック、ブライトシルバーメタリック、ファイアークォーツレッドメタリック

オプション色

シャイニングホワイトパール、レーザーブルークリスタルシャイン、パールブラック、プラムブラウンクリスタルマイカ、ブラックマイカM/シャイニングホワイトP、ブラックマイカM/レーザーブルーCS、ブラックマイカMxファイアークォーツレッド

掲載コメント

-

型式 5BA-LA650S
駆動方式 FF
ドア数 5
ミッション CVT
AI-SHIFT -
4WS -
標準色 マスタードイエローマイカメタリック、ブラックマイカメタリック、ブライトシルバーメタリック、ファイアークォーツレッドメタリック
オプション色 シャイニングホワイトパール、レーザーブルークリスタルシャイン、パールブラック、プラムブラウンクリスタルマイカ、ブラックマイカM/シャイニングホワイトP、ブラックマイカM/レーザーブルーCS、ブラックマイカMxファイアークォーツレッド
シート列数 2
乗車定員 4名
ミッション
位置
インパネ
マニュアル
モード
-
最小回転半径 4.7m
全長×全幅×
全高
3.4m×1.48m×1.76m
ホイール
ベース
2.46m
前トレッド/
後トレッド
1.3m/1.3m
室内(全長×全幅×全高) 2.18m×1.35m×1.37m
車両重量 920kg
最大積載量 -kg
車両総重量 -kg
最低地上高 0.15m
掲載用コメント -
エンジン型式 KF 環境対策エンジン H30年基準 ☆☆☆☆
種類 直列3気筒DOHC 使用燃料 レギュラー
過給器 ターボ 燃料タンク容量 30リットル
可変気筒装置 - 燃費(JC08モード) 25.2km/L
総排気量 658cc 燃費(WLTCモード) 20km/L
└市街地:17.5km/L
└郊外:21.4km/L
└高速:20.4km/L
燃費基準達成 R02年度燃費基準
達成車
最高出力 64ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
100(10.2)/3600
エンジン型式 KF
種類 直列3気筒DOHC
過給器 ターボ
可変気筒装置 -
総排気量 658cc
最高出力 64ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
100(10.2)/3600
環境対策エンジン H30年基準 ☆☆☆☆
使用燃料 レギュラー
燃料タンク容量 30リットル
燃費(JC08モード) 25.2km/L
燃費(WLTCモード) 20km/L
└市街地:17.5km/L
└郊外: 21.4km/L
└高速: 20.4km/L
燃費基準達成 R02年度燃費基準 達成車
松本英雄(まつもとひでお)

自動車テクノロジーライター

松本英雄

自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。