【試乗】新型スバル WRX S4|CVTの性能が著しく向上。ジェントルさが一層増した乗り心地
カテゴリー: スバルの試乗レポート
2022/01/26
ディテールと空力にとことんこだわったエクステリア
すでにちらほらと見かけつつある新型スバル WRX S4。ヘッドライトからうかがえるシャープなヘッドライトと、マットブラックの樹脂で作られたフェンダーアーチがとても印象的で、新しさを感じさせる。
フェンダーやアンダーパネルの一部に樹脂むき出しの空力パーツを使用しているが、聞けばこれは、表面に流れる空気を整流する加工が施されているという。
派手さはないがディテールの鬼となりこだわりをもって作られている点が、個人的に好きな開発秘話である。
すでに様々なメディアで試乗記があげられているが、私流に先代と比較しながらサーキットを走ってみたのでお伝えしたい。
以前から不満だったCVTが改良されスムーズな走りが可能に
今回試乗したのは、STI Sport R EXグレードだ。
インテリアの質感は先代よりも曖昧さがなくなり、精度の高い樹脂加工がソリッドで高い質感を醸し出す。D断面のステアリングホイールも太くスパルタンでしっかりとした質感だ。
エンジンを始動すると、独特なスバルのクランキングの音が聞こえてくる。これは先代と変わらない。落ち着きあるアイドリングは大人の風格が増したようである。
まずは、DレンジNormalモードでコースインだ。
アクセル負荷をかけながら踏み込む。トルクの立ち上がりがリニアで扱いやすいが、それ以上にCVTの動きがとても自然だ。
以前からスバルの不満といえば、トルク増大を狙うあまり違和感が目立ったCVTと、クラッチ式のエアコンプレッサーにあったが、新型WRX S4では両方とも改善されている。
1コーナーからグングン速度を上げて、慣性におけるロール時のスタビリティを確認する。サスペンションの取り付け剛性と相まったしなやかで安定感ある追従性によって、先代との違いがはっきりとシャシーに表われる。
エンジンの排気量は2.4Lとなったが、マキシマムパワーは先代よりも抑えがちで10%弱落としている。パワー以上に扱いやすさを重視したようで、このジェントルな出力特性が一層大人のスポーツセダンとして昇格させている。
フルブレーキング時からのコントロール性は、先代に比べておとなしく安定感抜群である。ターンインでのステアリング操作も最小限で美しく曲がることができる。
ちなみに、ESCは通常走行と同様にオンの状態で走らせるが、慣性で滑っても急激な介入ではなくコントロール性を第一にしている点が先代とは違う印象だ。ハイスピードで縁石に片足を乗せた瞬間の挙動もスタビリティに狂いはない。
そして何度も言うが、CVTの性能が著しく向上している。
新型レヴォーグに試乗した際、トランスミッションの開発者に「とにかくCVTを何とかしてほしい」とコメントさせていただいたのだが、実はそのときにはすでに改良したCVTの開発がほぼ終わっていたというのである。
とにかくエンジンの出力と走行条件に合った連続的なレシオのチューニングが際立っている。このチューニングによって、出力のトルク変動が滑らかになり車体安定さも作り出していると言える。
乗り心地と安定感の向上によりドライバーの安心感が高まった
次に、ドライブモードセレクトをSport+で走らせる。ステアリングフィールといいサスペンションといい、かなり硬派になるがシャシーはみしりともしない。
高速コーナーからの侵入はためがない分シャープに切れ込み、回頭性は一気に高まる。これは、限界が高いが扱いは慎重になるセッティングである。
ComfortやSportモードも試したが、綺麗にステアリングの修正を入れずに自然なカウンタで走らせるのはSport+もしくはNormalモードである。
先代と比較すると明らかに乗り心地の安定感が向上し、フロントの接地性も同じく向上した。よってドライバーの安心感は高まったと言える。
もっともサーキットでの話であるから、一般道ではジェントルさが一層増した印象となるだろう。スバルのスポーツセダンの考え方が、同社の他モデルと異なり、以前よりも深みをもった乗り心地を目指している印象が強かった。
国産市販車ではまだ見えない、奥深い欧州車のチューニングに最も近づいた1台と言える。
【試乗車 諸元・スペック表】
●2.4 STI スポーツR EX 4WD
型式 | 5BA-VBH | 最小回転半径 | 5.6m |
---|---|---|---|
駆動方式 | 4WD | 全長×全幅×全高 | 4.67m×1.83m×1.47m |
ドア数 | 4 | ホイールベース | 2.68m |
ミッション | CVT | 前トレッド/後トレッド | 1.56m/1.57m |
AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | 1.93m×1.52m×1.21m |
4WS | - | 車両重量 | 1600kg |
シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
乗車定員 | 5名 | 車両総重量 | 1875kg |
ミッション位置 | フロア | 最低地上高 | 0.14m |
マニュアルモード | ◯ | ||
標準色 |
セラミックホワイト、アイスシルバー・メタリック、マグネタイトグレー・メタリック、クリスタルブラック・シリカ、ソーラーオレンジ・パール、サファイアブルー・パール、WRブルー・パール |
||
オプション色 |
イグニッションレッド |
||
掲載コメント |
- |
エンジン型式 | FA24 | 環境対策エンジン | H30年基準 ☆☆☆☆ |
---|---|---|---|
種類 | 水平方向4気筒DOHC | 使用燃料 | ハイオク |
過給器 | ターボ | 燃料タンク容量 | 63リットル |
可変気筒装置 | - | 燃費(JC08モード) | 12.7km/L |
総排気量 | 2387cc | 燃費(WLTCモード) |
10.8km/L
└市街地:7.6km/L └郊外:11.4km/L └高速:12.7km/L |
燃費基準達成 | - | ||
最高出力 | 275ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
375(38.2)/4800 |
型式 | 5BA-VBH |
---|---|
駆動方式 | 4WD |
ドア数 | 4 |
ミッション | CVT |
AI-SHIFT | - |
4WS | - |
標準色 | セラミックホワイト、アイスシルバー・メタリック、マグネタイトグレー・メタリック、クリスタルブラック・シリカ、ソーラーオレンジ・パール、サファイアブルー・パール、WRブルー・パール |
オプション色 | イグニッションレッド |
シート列数 | 2 |
乗車定員 | 5名 |
ミッション 位置 |
フロア |
マニュアル モード |
◯ |
最小回転半径 | 5.6m |
全長×全幅× 全高 |
4.67m×1.83m×1.47m |
ホイール ベース |
2.68m |
前トレッド/ 後トレッド |
1.56m/1.57m |
室内(全長×全幅×全高) | 1.93m×1.52m×1.21m |
車両重量 | 1600kg |
最大積載量 | -kg |
車両総重量 | 1875kg |
最低地上高 | 0.14m |
掲載用コメント | - |
エンジン型式 | FA24 |
---|---|
種類 | 水平方向4気筒DOHC |
過給器 | ターボ |
可変気筒装置 | - |
総排気量 | 2387cc |
最高出力 | 275ps |
最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
375(38.2)/4800 |
環境対策エンジン | H30年基準 ☆☆☆☆ |
使用燃料 | ハイオク |
燃料タンク容量 | 63リットル |
燃費(JC08モード) | 12.7km/L |
燃費(WLTCモード) | 10.8km/L
└市街地:7.6km/L └郊外: 11.4km/L └高速: 12.7km/L |
燃費基準達成 | - |
自動車テクノロジーライター
松本英雄
自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。