マツダ MX-30 EVモデル▲2021年1月に発売されたマツダ初の量産EVであるMX-30 EVモデル。自動車テクノロジーライターの松本英雄氏による公道試乗の様子をお届けしよう

マツダ初の量産EVとして登場

マツダ MX-30の魅力は、クーペスタイルなSUVながらどことなく力が抜けた雰囲気で、他社にはない特別な存在感があるところだろう。

グリルレス化をうかがわせるフロントマスクは、明らかに電動化をするための始まりのデザインだった。

そして2021年1月に、マツダ初の量産EVとしてMX-30 EVモデルが登場した。

一足先に登場していたマイルドハイブリッドモデルと比べ、外観に大きな変わりはない。

しかし、バッテリーを搭載している関係で、最低地上高が180mmから130mmへと低くなっており、実は同社のロードスターよりも低い。

まぁ、よく考えれば低重心で、空力的にも良いかもしれないが、果たしてこれがマツダの考える「EVのイノベーション」なのだろうかと、少々ネガティブなことを考えてしまった。

では、早速試乗に移ろう。

マツダ MX-30 EVモデル
マツダ MX-30 EVモデル▲マイルドハイブリッドモデルとの外見上の差は小さいが、ところどころにEVモデルだとわかる箇所がある。写真はリアクオーターガラスに記された「ELECTRIC」の文字

良い意味で“EVらしさ”のない加速感

マイルドハイブリッドモデル同様、コルクを使ったインテリアはとても良いが、コーティングされることでコルク本来の風味が少なくなっている。

しかし、コルクならではの模様とマテリアル新しい使い方という点で評価できる。

マツダ MX-30 EVモデル▲センターコンソールトレイなどに、コルク素材が使用されている

シートポジションを合わせてスタートだ。スタート時のアクセルのコントロールは、ガソリン車に似た雰囲気でスムーズ、それでいて静粛性は抜群だ。

「これはいいかもしれない!」と、思わず独り言が出たくらいだ。

出発地のマツダR&Dセンター横浜を出るとすぐに、評価にうってつけな踏切がある。

MX-30 EVモデルはFF専用であるが、踏切でアクセルを少し多めに踏み込んでも、トラクションはとても良く、バランスが良いのが理解できる。

踏切の凸凹もスムーズに吸収していなす。さすが1.7t弱あるボディだ。

それにしても、最低地上高確保のためにサスペンションのストロークは大きくはできないと思っていたが、底づき感もなくとてもスムーズな乗り心地だ。

そこから速度を少し上げ、上り下りする橋を通過する。わずか100m足らずの橋だが、車両評価のコースのようで、毎回評価する際の基準にしている。

サスペンションが伸びたときのトラクションの良さと、サスペンションの収束の速さに感心した。

混雑した国道でのアクセルとブレーキのコントロール性は申し分ないが、ブレーキのストロークが少し深いように感じた。

マツダ MX-30 EVモデル

国道から首都高速に乗り、大黒パーキング方面へ走る。3名乗車であるが十分すぎる加速だ。

ただし、他社のEVやレンジエクステンダー車に比べ、モーター特有の加速には特化していない雰囲気が伝わってくる。

それよりも、この車のキャラクターに合った、“優しくて力強い加速”に感じられた。アクセルを踏み込んでも、モーター特有の大トルクによるフロントの浮き上がりがなく、どっしりと構えた加速だ。

マツダ MX-30 EVモデル

本領を発揮したG-ベクタリングコントロール

そして、今回このMX-30 EVモデルに乗るにあたり楽しみにしていたのが、G-ベクタリングコントロール(GVC)プラスの出来映えである。

マツダのGVCは内燃機関で採用を始めたのだが、本来はトルクの変動が少なく安定しているEVでのパフォーマンスのために考えられた装置であるからだ。

つまり、このMX-30 EVモデルでは、GVCの本領を味わうことができるのだ。

それを踏まえ、首都高速を走らせる。高速コーナはとてもスムーズだ。単純に内燃機関モデルと比べても、そのスムーズでロールを抑えたコーナリングは安心感がある。

ベイブリッジから大黒パーキングへと向かう巻き込んだコーナーでは、低重心と軽いフロントにGVCプラスが合わさることで、より恩恵を感じられとても楽しい。

もっとも積極的にこういうシーンを走るモデルではないかもしれないが、街中だけではもったいないくらい良いハンドリングだ。

マツダ MX-30 EVモデル

しかし、いくら車が良くてもおよそ500万円という価格を考えると……。航続距離なども考慮し、一歩踏みとどまってしまうのは致し方ないだろう。マツダ初の量産EVではあるが、販売台数を狙った価格攻勢ではない雰囲気が伝わってきた。

文/松本英雄、写真/尾形和美

【試乗車 諸元・スペック表】
●EV ハイエスト セット

型式 ZAA-DRH3P 最小回転半径 5.3m
駆動方式 FF 全長×全幅×全高 4.4m×1.8m×1.57m
ドア数 5 ホイールベース 2.66m
ミッション その他AT 前トレッド/後トレッド 1.57m/1.57m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) 1.84m×1.5m×1.14m
4WS - 車両重量 1650kg
シート列数 2 最大積載量 -kg
乗車定員 5名 車両総重量 -kg
ミッション位置 不明 最低地上高 0.13m
マニュアルモード -
標準色

アークティックホワイト、ポリメタルグレーメタリック、ジェットブラックマイカ、セラミックメタリック

オプション色

マシーングレープレミアムメタリック、ソウルレッドクリスタルメタリック3トーン、ポリメタルグレーメタリック3トーン、セラミックメタリック3トーン

掲載コメント

※交流電力量消費率 WLTCモード 145Wh/km 市街地モード(WLTC-L) 121Wh/km 郊外モード(WLTC-M) 129Wh/km 高速モード(WLTC-H) 152Wh/km
※一充電走行距離 WLTCモード 256km

型式 ZAA-DRH3P
駆動方式 FF
ドア数 5
ミッション その他AT
AI-SHIFT -
4WS -
標準色 アークティックホワイト、ポリメタルグレーメタリック、ジェットブラックマイカ、セラミックメタリック
オプション色 マシーングレープレミアムメタリック、ソウルレッドクリスタルメタリック3トーン、ポリメタルグレーメタリック3トーン、セラミックメタリック3トーン
シート列数 2
乗車定員 5名
ミッション
位置
不明
マニュアル
モード
-
最小回転半径 5.3m
全長×全幅×
全高
4.4m×1.8m×1.57m
ホイール
ベース
2.66m
前トレッド/
後トレッド
1.57m/1.57m
室内(全長×全幅×全高) 1.84m×1.5m×1.14m
車両重量 1650kg
最大積載量 -kg
車両総重量 -kg
最低地上高 0.13m
掲載用コメント ※交流電力量消費率 WLTCモード 145Wh/km 市街地モード(WLTC-L) 121Wh/km 郊外モード(WLTC-M) 129Wh/km 高速モード(WLTC-H) 152Wh/km
※一充電走行距離 WLTCモード 256km
エンジン型式 MH 環境対策エンジン -
種類 電気モーター 使用燃料 電気
過給器 - 燃料タンク容量 -リットル
可変気筒装置 - 燃費(10.15モード) -km/L
総排気量 -cc 燃費(WLTCモード) -
燃費基準達成 -
最高出力 145ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
270(27.5)/3243
エンジン型式 MH
種類 電気モーター
過給器 -
可変気筒装置 -
総排気量 -cc
最高出力 145ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
270(27.5)/3243
環境対策エンジン -
使用燃料 電気
燃料タンク容量 -リットル
燃費(10.15モード) -km/L
燃費(WLTCモード) -km/L
燃費基準達成 -
松本英雄(まつもとひでお)

自動車テクノロジーライター

松本英雄

自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。