【試乗】新型ホンダ N-VAN e:(初代)|本気使いもできるのに小洒落ているワークマンプラスみたいな電動商用車
2025/04/16

良質な車台がもたらす多くの恩恵
ホンダ「Nシリーズ」は、従来の軽自動車の枠を超えたクオリティが印象に残る。
その理由はプラットフォームにある。テーラーブランク(半仕上げ部品 ※編集部注)を使ったサスペンションアームは、他では見られない仕様であった。
特にN-BOXは「多くの人に支持されるいいモノ」という代表的なモデルであろう。発売開始からおよそ1年半が経過した2025年3月でも、月販2万3000台を超えている実績を見れば一目瞭然だ。

軽自動車は日本が作った特別なサイズで日本の道路事情に合っており、非常に扱いやすく世界でも注目されている仕様である。また、我が国においては税金が優遇されている点も販売につながっている要因のひとつだ。
だからといって、安かろう悪かろうという考え方は現在では通用しない。その中で高い支持を得ているN-BOXという車は「安くても良いモデル」の代表格と言えよう。
EVと相性がいい使用用途

昨今、ガソリン価格が上昇したこともあり、静粛性と単純なランニングコストを考えてBEV(電気自動車)も捨てがたいと思う人がいるだろう。
ただ、BEVは充電時間と充電場所を考慮するのが面倒という問題がある。ところが、「決まった距離を走り、毎日同じ場所で充電する」という使い方なら、充電がルーティン作業のようになり「面倒くささ」が軽減されるのではないか。
そのような使い方こそ、BEVには合うと思う。毎日同じ場所を行き来して一日を終えて自宅で充電をするような使い方。つまり、配送などのビジネスユースや、送迎や近距離の買い物などシティコミューターとしての役割である。


前置きが長くなってしまったが、今回紹介するのはN-BOXのバンタイプモデルでBEVでもあるN-VAN e:である。
すでにホンダはガソリンモデルで、FFの商用バンタイプ N-VANを送り込んでいる。これはトラクションも良好で乗り心地も悪くなかった。
いさぎよいデザイン機能性をファッションナブルに着こなす。アパレルでいえばまさにワークマンプラスのようなモデルと言える。

そして、N-VANからさらに油臭い部分をスポイルしたモデルこそBEVモデルのN-VAN e:である。
BEVの性能で魅力的なのは、排気量660㏄の内燃機関に比べて最大トルクが一気に発生して扱いやすいという点だ。だからこそ高速走行以外はパワー不足を補える。積載している際の発進や加速の立ち上がりは速い方が機敏でストレスがない。




まず試乗して感じるのは、N-VANの素性の良さをそのままEVにしたという点だ。見切りが良く取り回しがかなり楽である。
プラットフォームの良さをとても感じる。


実用面では、荷室が簡単にフルフラットになって、長尺のモノも容易に運べる。こういった使い勝手の良さ、かゆいところに手が届く複雑な孫の手のような仕組みを作ることをホンダは得意としている。
ピラーレスのサイドドアも使い勝手が非常に良い。これぞ求められている仕様といえよう。これも良質なプラットフォームがもたらしている恩恵である。


コマーシャルバンは壊れたら信用が丸つぶれだ。だからこそ満を持して過酷な商用車でデビューしたのだと思う。油臭さのないワークマンを着こなすのは、センスの良さと職人仕様だからこそ表れるプロさ加減であろう。
いずれにしても飽きがこず実用性と扱いやすさに加えて、お洒落な雰囲気をN-VAN以上に育ててほしい。

【試乗車 諸元・スペック表】
●N-VAN e: L4
型式 | ZAB-JJ3 | 最小回転半径 | 4.6m |
---|---|---|---|
駆動方式 | FF | 全長×全幅×全高 | 3.4m×1.48m×1.96m |
ドア数 | 5 | ホイールベース | 2.52m |
ミッション | その他AT | 前トレッド/後トレッド | 1.31m/1.32m |
AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
4WS | - | 車両重量 | 1130kg |
シート列数 | 2 | 最大積載量 | 300kg |
乗車定員 | 4名 | 車両総重量 | 1540kg |
ミッション位置 | 不明 | 最低地上高 | 0.17m |
マニュアルモード | - | ||
標準色 |
タフタホワイトIII、ルナシルバー・メタリック |
||
オプション色 |
- |
||
掲載コメント |
※交流電力量消費率 WLTCモード 127Wh/km 市街地モードWLTC-L 85Wh/km 郊外モードWLTC-M 112Wh/km 高速道路モードWLTC-H 147Wh/km |
型式 | ZAB-JJ3 |
---|---|
駆動方式 | FF |
ドア数 | 5 |
ミッション | その他AT |
AI-SHIFT | - |
4WS | - |
標準色 | タフタホワイトIII、ルナシルバー・メタリック |
オプション色 | - |
シート列数 | 2 |
乗車定員 | 4名 |
ミッション 位置 |
不明 |
マニュアル モード |
- |
最小回転半径 | 4.6m |
全長×全幅× 全高 |
3.4m×1.48m×1.96m |
ホイール ベース |
2.52m |
前トレッド/ 後トレッド |
1.31m/1.32m |
室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
車両重量 | 1130kg |
最大積載量 | 300kg |
車両総重量 | 1540kg |
最低地上高 | 0.17m |
掲載用コメント | ※交流電力量消費率 WLTCモード 127Wh/km 市街地モードWLTC-L 85Wh/km 郊外モードWLTC-M 112Wh/km 高速道路モードWLTC-H 147Wh/km 一充電走行距離(WLTCモード)245km |
エンジン型式 | MCF7 | 環境対策エンジン | - |
---|---|---|---|
種類 | 電気モーター | 使用燃料 | 電気 |
過給器 | - | 燃料タンク容量 | -リットル |
可変気筒装置 | - | 燃費(10.15モード) | -km/L |
総排気量 | -cc | 燃費(WLTCモード) | - |
燃費基準達成 | - | ||
最高出力 | 64ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
162(16.5)/- |
エンジン型式 | MCF7 |
---|---|
種類 | 電気モーター |
過給器 | - |
可変気筒装置 | - |
総排気量 | -cc |
最高出力 | 64ps |
最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
162(16.5)/- |
環境対策エンジン | - |
使用燃料 | 電気 |
燃料タンク容量 | -リットル |
燃費(10.15モード) | -km/L |
燃費(WLTCモード) | -km/L |
燃費基準達成 | - |

自動車テクノロジーライター
松本英雄
自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は馬場馬術。