ジープ アベンジャー▲ジープブランド初のBEVとなる、最もコンパクトなモデル。前輪駆動ではあるもののスタイルだけでなく、オフロードを意識した走行モードなど、ジープらしい装備も採用されている

オフロード性能にも注力したBEVコンパクトSUVモデル

2024年9月、ジープブランド初の電気自動車(BEV)「アベンジャー」が発売された。これはステランティスグループの電動化車両用プラットフォーム「eCMP2」を採用するもので、フィアット 600eとは姉妹車という位置づけになる、ジープ史上最もコンパクトなSUVだ。

ボディサイズは全長4105×全幅1775×全高1595mmと、取り回しのしやすいサイズ。エクステリアデザインは、600eとは対照的なスクエアなフォルムで、伝統の7スロットグリルや大きく膨らんだフェンダー、リアのジェリー缶のデザインをモチーフにした「X」のシグネチャーライトを装備するなど、ジープファミリーの一員であるとひとめでわかる。

インテリアは、水平基調のダッシュボードの中央に10.25インチサイズのタッチ式ディスプレイを配置。その真下にエアコン操作用の物理スイッチが一式並び、さらにその下に左からP、R、N、Dとスイッチ式のシフトセレクターが並ぶ。このあたりは600eとも共通のものだ。センターコンソール内にはスマホが充電できるワイヤレスチャージング機能も備わっており、またセンターコンソールやドアポケットなども合わせるとトータルで約26Lの収納スペースを確保している。

パワートレインは、フロントにモーターを搭載する前輪駆動で、最高出力は156ps、最大トルクは270N・mを発生。 バッテリー容量は54kWhで、一充電航続距離(WLTCモード)は486km。普通充電および急速充電(CHAdeMO)に対応する。

600eとの差別化はもちろんデザインだけではなく、ジープブランドのモデルらしくオフロード性能に注力している点だ。ジープブランドの前輪駆動車としては初となる、走行モード機能の「Selec-Terrain(セレクテレイン)」と、急な下り坂でも一定速度で走行できる「ヒルディセントコントロール」を標準装備。走行モードは600eが「ノーマル」、「エコ」、「スポーツ」の3モードなのに対して、アベンジャーにはさらに以下の3つの走行モードが加えられている。

スノー:凍結した道路やトレイルで最大限のトラクションを発揮するモード
マッド:ぬかるんだ路面でのグリップ力を高めるモード
サンド:砂地で最大限のトラクションを発揮するモード

今回は市街地のみの試乗コースだったため、実際にこれらを試すことはできなかったが、前輪駆動ながらもモーター駆動ゆえの精緻なトラクション制御によってこれらを実現していると思われる。また最低地上高は200mmで、アプローチアングルは20°、デパーチャーアングルは32°とジープの名にたがわぬオフロード性能を確保している。
 

ジープ アベンジャー▲ジェリー缶からインスパイアされた「X」のシグネチャーライトは、ブランドを代表するラングラーと同じデザイン
ジープ アベンジャー▲インテリアは機能性を考慮したデザインを採用。センターコンソール上部にシフトスイッチが配置される

初めてのBEV、初ジープの方にもオススメ

シートポジションは高すぎず、低すぎずとても乗降性に優れている。運転席からの見切りも良好で、とても取り回しが良い。アクセルレスポンスもBEV にありがちな過激なものではなく、スムーズに発進することができる。市街地を走行するような場面ではノーマルモードで何ら不足を感じることはなかった。もちろんスポーツモードをセレクトすれば、より加速は鋭くなる。

回生ブレーキの度合いは、通常のモードからシフトセレクターのDをもう一度押すことでBモードに切り替わり、回生レベルが高まる。いわゆるワンペダルフィーリングほどの強さではないが、アクセルペダルをリリースすればはっきりと減速Gが立ち上がる感覚で、慣れるとストップ&ゴーの多い市街地ではこちらの方が運転しやすいかもしれない。運転感覚としては、コンパクトなボディゆえ、ブレーキやコーナリング時に上屋の揺れを感じることもなく、いい意味で乗用車ライクなもの。

また最新モデルらしくストップ & ゴー機能付きのアダプティブクルーズコントロールや、ドライバーが任意に設定した車線内の位置を維持して走行できるレーンポジショニングアシストなど、ADAS(運転支援機能)もしっかりと備わっている。

気になる電費だが、当然走行条件にもよるものの、高速道路をメインに一般道も合わせて、リアルワールドでおよそ400kmの走行が可能なため、ロングドライブもしっかりとこなすことができた。

日本の道によく合うサイズで、BEVであることをまったく意識させず、まるで普通のコンパクトカーのように気持ちよく走る。BEV入門としても、ジープ入門としてもぴったりの1台だと思う。
 

ジープ アベンジャー▲アンダーボディには車両下部に設置されたバッテリーを保護するスキッドプレートが装着されている
ジープ アベンジャー▲7スロットグリルをヘッドライトより前方に配置することで、衝突時などにヘッドランプを保護する
ジープ アベンジャー▲ボディ下部にブラックパーツを装着することでSUVらしさを高めている
ジープ アベンジャー▲フロントにはシートヒーターが備わるレザーシートを標準装備
ジープ アベンジャー▲リアシートはシートアレンジが便利な60:40分割可倒式となる
ジープ アベンジャー▲ラゲージ容量は355Lとなる
文/藤野太一 写真/稲葉真

ライバルとなるプジョー e-2008の中古車市場は?

プジョー e-2008

2020年に登場したコンパクトSUV「2008」のBEVバージョン。最高出力136ps/最大トルク260N・mを発揮するモーターで前輪を駆動。50kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載し、コンパクトモデルとして標準的な一充電走行可能距離380km(WLTCモード)となる。立体駐車場に対応する1550mmの全高、容量434Lのラゲージスペースなど、日常の使い勝手にも注力されている。

2024年11月中旬時点で、中古車市場には50台程度が流通。支払総額の価格帯は200万~550万円となる。
 

▼検索条件

プジョー e-2008× 全国
文/編集部、写真/ステランティス ジャパン

【試乗車 諸元・スペック表】
●アルティテュード

型式 ZAA-FH1JE 最小回転半径 5.3m
駆動方式 FF 全長×全幅×全高 4.11m×1.78m×1.6m
ドア数 5 ホイールベース 2.56m
ミッション その他AT 前トレッド/後トレッド 1.54m/1.53m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
4WS - 車両重量 1570kg
シート列数 2 最大積載量 -kg
乗車定員 5名 車両総重量 1845kg
ミッション位置 不明 最低地上高 -m
マニュアルモード -    
標準色

スノー クリアコート、ボルケーノ クリアコート

オプション色

グラナイト メタリック、サン メタリック

掲載コメント

※一充電走行距離(WLTCモード)486km
※交流電力量消費率 WLTCモード 127wh/km 市街地モードWLTC-L 105wh/km 郊外モードWLTC-M 118wh/km 高速道路モードWLTC-H 141wh/km

型式 ZAA-FH1JE
駆動方式 FF
ドア数 5
ミッション その他AT
AI-SHIFT -
4WS -
標準色 スノー クリアコート、ボルケーノ クリアコート
オプション色 グラナイト メタリック、サン メタリック
シート列数 2
乗車定員 5名
ミッション
位置
不明
マニュアル
モード
-
最小回転半径 5.3m
全長×全幅×
全高
4.11m×1.78m×1.6m
ホイール
ベース
2.56m
前トレッド/
後トレッド
1.54m/1.53m
室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
車両重量 1570kg
最大積載量 -kg
車両総重量 1845kg
最低地上高 -m
掲載用コメント ※一充電走行距離(WLTCモード)486km
※交流電力量消費率 WLTCモード 127wh/km 市街地モードWLTC-L 105wh/km 郊外モードWLTC-M 118wh/km 高速道路モードWLTC-H 141wh/km
エンジン型式 ZK02 環境対策エンジン -
種類 電気モーター 使用燃料 電気
過給器 - 燃料タンク容量 -リットル
可変気筒装置 - 燃費(10.15モード) -km/L
総排気量 -cc 燃費(WLTCモード) -
燃費基準達成 -
最高出力 156ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
270(27.5)/4060
エンジン型式 ZK02
種類 電気モーター
過給器 -
可変気筒装置 -
総排気量 -cc
最高出力 156ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
270(27.5)/4060
環境対策エンジン -
使用燃料 電気
燃料タンク容量 -リットル
燃費(10.15モード) -km/L
燃費(WLTCモード) -km/L
燃費基準達成 -