ボルボ S60▲2019年11月にフルモデルチェンジされたボルボ S60。自動車テクノロジーライターの松本英雄氏による公道試乗の模様をレポートする

伸びやかなフォルムに刷新した3代目S60

乗用車の王道はセダンであることに異論を唱える人は少ないであろう。今回、ボルボから久しぶりに王道セダンが登場した。それがS60だ。

ボルボのセダンは頭文字に“S”が付く。フラッグシップといえば90シリーズとなるが、残念ながらS90といわれるセダンは現在では日本への輸入はされていない。

つまり、日本における新車で購入できるボルボのフラッグシップセダンは、S60なのである。

今回のモデルチェンジで3代目となり、新たなプラットフォームを使いデザインの意図も変更してかなりスタイリッシュになった。

ボディサイズは、日本の意見を取り入れ先代よりも全幅を縮めている。また、全長を伸ばし全高を低くすることで、優雅で伸びやかなフォルムとなっているのである。
 

ボルボ S60▲先代より全幅が15mmダウンサイズしている

ステーションワゴンのV60は、リアがいささか硬い乗り味でコンフォートさは感じられなかった。

だが、セダンはよりラグジュアリー性をもたせていることは想像がつく。
 

ラグジュアリーな見た目だがハンドリングはスポーティ

我々が試乗したモデルはT5 インスクリプションの2Lターボモデルで、言わずと知れたアイシン製の8速ATが装着されている。

試乗会場は箱根だ。アップダウンとタイトなコーナーが連続し、ハンドリングを試せる場所であるが、今回はラグジュアリーで同乗者を不快にさせない運転に終始してみた。

Dレンジに入れて発進もリニアで扱いやすい。しかし、そこから深く踏み込むと一気にトルクが高まる。ボルボのガソリンエンジンらしい性格だ。

おとなしいと思いきや、鋭い加速。これが見た目以上にインパクトがある動力性能なのである。そしてエンジンの静粛性も申し分ない。
 

ボルボ S60▲最高出力254psを発生するガソリンエンジン

先代のS60はトラクションがいまひとつであったが、新たなプラットフォームのエンジン搭載位置がとてもよく、しっかりと地面をとらえてくれる。コーナーリング中であろうと動力を路面にしっかりと伝えてくれるのだ。

そのときのステアリングの操作性は、ダイレクトな面もありS60はスポーティな感じさえある。タイトなコーナーを最小限の舵角で回りやすく、全長4.7mを超えるボディでも長さを感じずに思ったとおりのラインを走行しやすい。

不思議なのは、S90よりも一回り小型にも関わらず、堂々としたそのカタチ。停車してみてみると、ボルボの本来のフラッグシップであるS90と見間違うほどプロポーションが整っている。

V60と比べると、リアがスレンダーで躍動的なダイナミックさもある。ゆっくり走っていてもしなやかで上品な動きに見える。
 

ボルボ S60

山間部の道はATの制御が忙しくなりやすい。しかし、故意にとどめておかない限りシフトは気持ちよく変速され、自然とパワーバンドにとどめておいてくれる。だからこそ思いどおりの走りときれいなコーナリングトレースが可能となるのだ。

乗れば乗るほどもっと緩やかな道を走りたいという衝動に駆られる。それほどスムーズな姿勢でドライバーと同乗者を誘うのである。

そんなボルボの最高峰フラッグシップセダンで思う存分ドライブを楽しみたい。そのくらい時間を惜しむことのない空間を提供してくれるのが、新しいS60なのである。
 

ボルボ S60
ボルボ S60
ボルボ S60
ボルボ S60
文/松本英雄、写真/尾形和美

【試乗車 諸元・スペック表】
●T5 インスクリプション

型式 DBA-ZB420 最小回転半径 5.7m
駆動方式 FF 全長×全幅×全高 4.76m×1.85m×1.44m
ドア数 4 ホイールベース 2.87m
ミッション 8AT 前トレッド/後トレッド 1.6m/1.6m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
4WS - 車両重量 1660kg
シート列数 2 最大積載量 -kg
乗車定員 5名 車両総重量 1935kg
ミッション位置 フロア 最低地上高 0.15m
マニュアルモード
標準色

アイスホワイト、ブラック

オプション色

デニムブルーメタリック、バーチライトメタリック、クリスタルホワイトパール、オスミウムグレーメタリック、パイングレーメタリック、メープルブラウンメタリック、ペブルグレーメタリック、ブライトシルバーメタリック、サヴィルグレーメタリック、オニキスブラックメタリック、フュージョンレッドメタリック

掲載コメント

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型式 DBA-ZB420
駆動方式 FF
ドア数 4
ミッション 8AT
AI-SHIFT -
4WS -
標準色 アイスホワイト、ブラック
オプション色 デニムブルーメタリック、バーチライトメタリック、クリスタルホワイトパール、オスミウムグレーメタリック、パイングレーメタリック、メープルブラウンメタリック、ペブルグレーメタリック、ブライトシルバーメタリック、サヴィルグレーメタリック、オニキスブラックメタリック、フュージョンレッドメタリック
シート列数 2
乗車定員 5名
ミッション
位置
フロア
マニュアル
モード
最小回転半径 5.7m
全長×全幅×
全高
4.76m×1.85m×1.44m
ホイール
ベース
2.87m
前トレッド/
後トレッド
1.6m/1.6m
室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
車両重量 1660kg
最大積載量 -kg
車両総重量 1935kg
最低地上高 0.15m
掲載用コメント -
エンジン型式 B420 環境対策エンジン H17年基準 ☆☆☆☆
種類 直列4気筒DOHC 使用燃料 ハイオク
過給器 ターボ 燃料タンク容量 55リットル
可変気筒装置 - 燃費(JC08モード) 12.9km/L
総排気量 1968cc 燃費(WLTCモード) -
燃費基準達成 -
最高出力 254ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
350(35.7)/4800
エンジン型式 B420
種類 直列4気筒DOHC
過給器 ターボ
可変気筒装置 -
総排気量 1968cc
最高出力 254ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
350(35.7)/4800
環境対策エンジン H17年基準 ☆☆☆☆
使用燃料 ハイオク
燃料タンク容量 55リットル
燃費(JC08モード) 12.9km/L
燃費(WLTCモード) -km/L
燃費基準達成 -
松本英雄(まつもとひでお)

自動車テクノロジーライター

松本英雄

自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。