ランドローバー ディフェンダー V8▲2024年モデルには、ディフェンダーとしては日本初導入となる5L V8スーパーチャージドエンジンを搭載した「V8」と「カルパチアン エディション」をラインナップ。なお、両グレードともに2024年モデル限定となる

これみよがしな装飾はない

ランドローバー ディフェンダーの2024年モデルに最上級モデルが追加された。最高出力525ps/最大トルク625N・mを発生する5L V8スーパーチャージドエンジンに8速ATを組み合わせる最上級モデルは、ショートホイールベースの3ドアモデル「90」と5ドアモデル「110」の両方に設定。グレード名はシンプルに「V8」である。

ディフェンダーはそのルーツであるランドローバーシリーズIIIまでさかのぼると、 1970年代後半からV8エンジンを搭載してきた歴史がある。つまり現行型にも満を持しての投入というわけだ。
 

ランドローバー ディフェンダー V8▲V8にはクアッドアウトボードマウントエグゾーストパイプを装着。ブラックコントラストルーフが標準となっている
ランドローバー ディフェンダー V8▲レンジローバーなどに採用されていた、最高出力525ps/最大トルク625N・mの5L V8スーパーチャージドエンジンを搭載

エクステリアでは、22インチのアルミホイールや4本出しのエグゾーストパイプがただ者でない雰囲気を醸し出している。スポークの奥にのぞくブラックのブレーキキャリパーは500ps超のパワーに応えるブレンボ製だ。ただし、これみよがしな装飾はない。V8のエンブレムはボディサイドにさりげなく配されているだけだ。リアまわりからはランドローバーの象徴であるグリーンのオーバルバッジも省かれている。

水平基調なインテリアは、スエードクロスのステアリングやレザーと人工スエードのダイナミカを組み合わせた表皮のシートなど、最上級グレードにふさわしい仕立てとなっている。シートに腰掛けると着座位置が高く、視界はとても良好だ。シフトレバーはセンターモニターのすぐ下に、左手を伸ばせばちょうどいい位置にあって操作しやすい。ギアをDレンジに入れて走りだすと、たっぷりとトルクが湧き上がってきて、「あぁV8だな」と感じることができる。低回転域で走っていると静粛性が高くラグジュアリーな雰囲気に。いざアクセルペダルを踏み込むと心地よいV8サウンドが高まる。

ラダーフレームをやめた現行型はモノコックボディで四輪独立懸架となっており、このハイパワーエンジンにもまったく負けていない。かつてのトラックのような乗り味は皆無。エアサスペンションの効果も絶大で、大きな段差を乗り越えたときのショックをうまくいなし、乗り心地はとても良好だ。そして独自のエレクトロニック・アクティブ・リア・ディファレンシャルにはヨー・コントローラーを採用しており、コーナーでも意外なほどにスポーティな走りをみせる。

市街地での試乗ではその出番はなかったが、ランドローバーが得意とする走行モードシステム「テレインレスポンス2」も備わる。V8専用のセッティングとなっているようで、オンロードをはじめ「草地/砂利/雪」「泥/轍」「砂地」といった悪路のシーン別に最適制御してくれる優れものだ。また、フロントとミラー内蔵のカメラ映像を合成して作り出す「クリアサイトグラウンドビュー」は、通常はドライバーの死角となるボンネットをシースルーしたような映像をモニターに映し出してくれる。路肩や段差、障害物の確認など、オフロードや市街地でとても役に立つ。これ以外にもセンターモニターには前後左右の傾斜角(スロープアシスト)やリアルタイムの駆動状況などを表示することが可能だ。
 

ランドローバー ディフェンダー V8▲フロントドア下部にはさりげなく「V8」のエンブレムが備わる。アルミホイールは20インチ(サテンダークグレイ)を標準とし、22インチ(写真)が用意される
ランドローバー ディフェンダー V8▲スエードクロスのステアリングを採用。パネルには耐久性が高いファブリックのロバステックを用いる
ランドローバー ディフェンダー 90▲ショートボディ「90」に追加されたディーゼルエンジン搭載モデルのX-DYNAMIC HSE。撮影車両はルーフラックやサイドマウントギアキャリア、サイドステップなどのオプションが多数装着されている
ランドローバー ディフェンダー 90▲これまでガソリンエンジンモデルのみだった90に、マイルドハイブリッド仕様の最高出力300psを発揮する3L 直6ディーゼルターボを初搭載

2024年モデルには「90」に3L 直6ディーゼルターボエンジン仕様も追加されたので、そちらにも少し試乗してみた。

V8のようなモリモリのパワー感はないが、こちらもいい。マイルドハイブリッドだけに発進時からアシストが働いているようだ。最大トルクはV8以上の650N・mを1500rpmから発生するので、ストップ&ゴーの多い街中でとても走りやすい。しかも、110のV8の前後重量が1300kg:1150kgなのに対して、90のディーゼルは、1190kg:1170kgと前後のバランスはほぼイーブン。ホイールベースの短さもあってより軽快感が味わえる。また、2列目シートへのアクセス方法も以前は電動式だった前席のシートバックを手動式にすることで素早く倒せるように改善されていた。

ちなみに、2023年10月末時点での2024年モデルの販売構成比は90が8%、110が90%(130が2%)、V8の割合は90が23%、110では12%で、いずれもほとんどがディーゼルを選んでいるという。お財布が許すなら90のV8なんてしゃれた選択をしてみたいものだ。
 

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ランドローバー ディフェンダー× 全国
文/藤野太一 写真/阿部昌也、郡大二郎、ジャガー・ランドローバー・ジャパン

ライバルのジープ ラングラー(現行型)の中古車市場は?

ジープ ラングラー

1941年に登場したウィルスMBを始祖とする、ジープ伝統の本格オフローダー。現行モデル(JL型)は2018年から販売されている。先代からラダーフレームやリジッドアクスルを継承した他、エクステリアは7スロットグリルや丸目ヘッドライト、オーバーフェンダーなど伝統的デザインを取り入れたラギットなスタイルに仕立てている。ラングラーにもショートホイールベースの3ドアモデルが用意されているが、日本では(モデルチェンジ直後は受注生産であったが)特別仕様車で販売されるのみとなっている。なお、2022年にはPHEVのアンリミテッド ルビコン 4xeも登場した。

2024年1月上旬時点で、中古車市場には750台ほどが流通。オフロード性能を向上させた本格仕様のルビコンは130台程度、3ドアモデルは50台程度が流通している。個性的な特別仕様も数多く販売されているので、豊富な物件から自分好みの1台を探してみてはいかがだろうか。
 

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ジープ ラングラー(現行型)× 全国
文/編集部、写真/Stellantisジャパン

【試乗車 諸元・スペック表】
●110 V8 5.0L P525 4WD

型式 7BA-LE72EAC 最小回転半径 6.1m
駆動方式 4WD 全長×全幅×全高 4.95m×2m×1.97m
ドア数 5 ホイールベース 3.02m
ミッション 8AT 前トレッド/後トレッド 1.7m/1.69m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
4WS - 車両重量 2450kg
シート列数 2 最大積載量 -kg
乗車定員 5名 車両総重量 -kg
ミッション位置 インパネ 最低地上高 -m
マニュアルモード
標準色

サントリーニ・ブラックメタリック

オプション色

カルパチア・グレイプレミアム・メタリック

掲載コメント

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型式 7BA-LE72EAC
駆動方式 4WD
ドア数 5
ミッション 8AT
AI-SHIFT -
4WS -
標準色 サントリーニ・ブラックメタリック
オプション色 カルパチア・グレイプレミアム・メタリック
シート列数 2
乗車定員 5名
ミッション
位置
インパネ
マニュアル
モード
最小回転半径 6.1m
全長×全幅×
全高
4.95m×2m×1.97m
ホイール
ベース
3.02m
前トレッド/
後トレッド
1.7m/1.69m
室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
車両重量 2450kg
最大積載量 -kg
車両総重量 -kg
最低地上高 -m
掲載用コメント -
エンジン型式 508PS 環境対策エンジン -
種類 V型8気筒DOHC 使用燃料 ハイオク
過給器 スーパーチャージャー 燃料タンク容量 90リットル
可変気筒装置 - 燃費(10.15モード) -km/L
総排気量 4999cc 燃費(WLTCモード) -
燃費基準達成 -
最高出力 525ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
625(63.7)/5500
エンジン型式 508PS
種類 V型8気筒DOHC
過給器 スーパーチャージャー
可変気筒装置 -
総排気量 4999cc
最高出力 525ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
625(63.7)/5500
環境対策エンジン -
使用燃料 ハイオク
燃料タンク容量 90リットル
燃費(10.15モード) -km/L
燃費(WLTCモード) -km/L
燃費基準達成 -