ベントレー コンチネンタルGT スピード▲4代目に進化したコンチネンタルGT。ハイパフォーマンスバージョンのスピードはPHEVとなり、「ウルトラパフォーマンスハイブリッド」と呼ばれるシステム最高出力782ps/最大トルク1000N・mを発揮する新パワートレインを搭載した

ベントレー史上で最もパワフルなPHEV「スピード」

衝撃のデビューを飾った初代コンチネンタルGTからほぼ20年間、都合3世代をベントレーは作り続けてきた。初代モデルが提案したビッグクーペスタイルは大人気を博し、ブランド再出発のアイコンとなったため、続く2世代もその基本シルエットや特徴を踏襲しつつ、中でも4灯ヘッドライトには大いにこだわってリニューアルしてきたものだ。

いまさらに振り返ってみれば、デザイン的には第2世代の完成度が最も高いと思う。初代のディテールをブラッシュアップし、より洗練した。今見ると初代はさすがに古く思うが、2代目ならまだまだ現役感がある。中古車で狙うなら2代目だろう。

それはさておき、4代目へと進化した新型コンチネンタルGTもまた初代のクーペスタイルを踏襲する。これはやはり譲れなかった。けれどもあれほどこだわってきた4灯ライトは諦めた。新型は2灯タイプだ。“虎の目”をイメージしたという新しい目つきは、戦前のベントレーボーイズ時代におけるレーシングモデルへと原点回帰したとデザイナーは説明する。バカラルやバトゥールといった少量限定モデルとともに、次世代のデザイン志向を表現したものだった。

基本的には3代目をベースとしたビッグマイナーチェンジと言うこともできるが、パーツやコンポーネントの約7割は新設計で、特に新開発のV8プラグインハイブリッドパワートレインや完全刷新されたシャシー&サスペンションシステム、新設計の400V電気アーキテクチャーなど性能や機能を決定づける主要なパートはフルモデルチェンジしたと言っていい。そして、クーペの「GTスピード」とコンバーチブルの「GTCスピード」が同時デビューとなった。
 

ベントレー コンチネンタルGT スピード▲トランクリッドはダウンフォースを発生させるデザインとなり、リアスポイラーは必要なくなっている。22インチホイールもデザインが新しくなった
ベントレー コンチネンタルGT スピード ▲4L V8ツインターボはエンジン単体で最高出力600ps/最大トルク800N・mを発揮。0→100km/h加速はW12エンジンを積む従来型より0.4秒速い3.2秒(GTCは3.4秒)となる

日本でのデリバリーを前に公道を使った国際試乗会が、イタリア国境に近いスイスの山岳リゾート地アンデルマットにて開催された。当日は朝からあいにくの雨だったが、試乗開始とともに上がった。路面がまだ濡れてはいるとはいえ、4WDのコンチネンタルGTにとってはむしろ性能を試すに好都合。まずはGTCスピードをテストすることに。

インテリアの見た目は以前とほとんど変わらないが、そもそも申し分なくラグジュアリーなうえ、物理スイッチもいまだたくさん残されていて、アラカン世代はそれだけで嬉しい。

もちろん電動トップを開けて走り出す。涼しい風に当たって身体もシャキッとなる。ドライブモードを個人的に今までのベントレー車で最も良いと思っていたB(=車にお任せ)にして走らせた途端、上質で滑らかなライドフィールに驚いた。もちろんBEVスタートだが、その静かな動きとスムーズな電動駆動に見合うよう、アシがウルトラスムーズに転がり始めたからだった。

先代のGTCといえば、クーペに比べるとちょっと肩の力が抜けたような乗り心地で、そのぶん一般道では大きなタイヤがバタバタと動くこともあった。新型GTCは違う、タイヤが震えないのだ。そしてよく転がる。抵抗をほとんど感じない。新設計のアクティブシャシーシステム用として採用されたツインバルブダンパーとデュアルチャンバーエアスプリングが利いている。さらにいうと、コンフォートモードでも乗り心地ははっきりと向上していた。

最初のランナバウトで早くもハンドリングの良さを実感する。重量増をまるで感じさせない。素直に曲がっていく。前後の重量配分が改善されているからだ。

険しい山岳路に突入した。この辺りは素晴らしい峠道の宝庫なのだ。アクセル開度75%、140km/hまではバッテリー&電気モーター駆動で走ることができる。Bモードではそれを最大限生かそうとするし、実際、電動性能に不満はない。
 

ベントレー コンチネンタルGTC スピード▲シャシーや足回りも一新、四輪操舵機構やアクティブアンチロールシステムなどが備わった

けれども早々に新開発V8エンジンの実力も試してみたくなった。モードをスポーツに変えると、V8クロスプレーン独特のうなりが聞こえてきた。決して爆音ではない。乗り手の心を躍らせる豊かなラウドさで、サウンド自体も以前より格段に心地よく、スポーティに聞こえる。

加速フィールも素晴らしい。1000N・mの凄まじさというべきか。中間加速が圧倒的で、まさにすっ飛ぶ。そして、ここでも重量バランスの良さが効いてくる。加速中のスタビリティも十分で、安心してアクセルを踏み続けることができたのだ。

何より驚いたのはコーナリングパフォーマンスが驚くほど上がっていたことだった。バッテリーを後方に配置して改善された前後重量配分がここでも功を奏している。加えて、リアステアやアクティブシャシーの働きもあって、とにかく内側をよく向く回頭性の良さ。4WDであることを忘れるどころか、これはもうFRそのもの。過去3代とはまるで異なる。コンチネンタルGT系のハンドリングであるとは、とてもじゃないが思えない。

コンポジットブレーキはタフで、実に踏み込みやすい。強めの制動時でも車体の重量を感じさせず、姿勢良く減速する。それゆえコーナー出口からの加速もまた思いのまま。スポーツカーとしても操ることができたというわけで、とうとうテストドライブの最後までスポーツモードから離れることはなかった。そんなベントレーもまた、初めて。

もちろんクルージングのライドフィールも極上だ。けれども同時にスポーツカーとしても楽しめるようになった。そのことはクーペに乗り替えても同様に実感できた。これまでとは違って乗り心地はGTCとほとんど同じ、最上級クラス。スポーツでもコンフォートでも足元の動きに不満がまるでない。

悩ましいことがあるとすればそれは、美しいスタイルで乗り心地も上質になったクーペにするか、パフォーマンス的にはクーペと変わらずオープンエアを楽しめるコンバーチブルにするか、といった決断の瞬間だけだろう。
 

ベントレー コンチネンタルGT スピード▲バッテリーをリアアクスル後方に配置することで、前後重量配分を49:51に最適化している
ベントレー コンチネンタルGTC スピード▲GTCはソフトトップを採用、時速48km/h以下なら19秒で開閉することができる
ベントレー コンチネンタルGTC スピード▲120個のLEDを用いたマトリクスライトを備える、水平ラインの入ったシングルヘッドライトを採用
ベントレー コンチネンタルGT スピード ▲シフトまわりにはスイッチ類を配置。従来モデル同様、12.3インチディスプレイ/アナログメーター/ウッドパネルがセレクトできるローテーションディスプレイが備わっている
ベントレー コンチネンタルGT スピード▲シートなどにはモダンファッションから着想を得たという新デザインのキルトパターンを採用する
文/西川淳 写真/ベントレーモーターズ

自動車評論家

西川淳

大学で機械工学を学んだ後、リクルートに入社。カーセンサー関東版副編集長を経てフリーランスへ。現在は京都を本拠に、車趣味を追求し続ける自動車評論家。カーセンサーEDGEにも多くの寄稿がある。

ベントレー コンチネンタルGT(2代目)の中古車市場は?

ベントレー コンチネンタルGT

ベントレーの基幹モデルとして成功を収めたコンチネンタルGTの2代目は2011年に登場。ラグジュアリーブランドらしく見た目の変化は少ないものの、トレッドの拡大などにより走行性能を大幅に向上させている。ベントレーを代表する6L W12エンジンに加え、よりスポーティな仕立ての4L V8ツインターボもラインナップしていた。なお、ソフトトップを備えるオープンモデルは、2013年より名称をGTCからGTコンバーチブルに変更している。

2024年10月上旬時点で、中古車市場には35台程度が流通、支払総額の価格帯は500万~1500万円。V8が半数以上となるが、W12を搭載したスピードも5台程度が流通している。オープンモデルの流通量は10台以下となる。
 

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文/編集部、写真/ベントレーモーターズ