【試乗】新型 マセラティ グランカブリオ|いま最もマセラティらしい、優雅さとヘリテージを味わえる4シーターオープン!
カテゴリー: マセラティの試乗レポート
2025/01/15

幌を開けても閉めてもエレガントなスタイリング
マセラティ グラントゥーリズモをベースとした 4シーターオープンモデル、「グランカブリオ」の新型が日本に上陸した。
マセラティにとって“グラントゥーリズモ”(長距離ツアラーのキャラクターをもつスポーツモデル)とはメインストリームであり、そのオープントップモデルもまた歴史の中で様々なモデルが生み出されてきた。グランカブリオは1959年にデビューした3500GTのコンバーチブルモデルの系譜を受け継ぐものとされる。
グラントゥーリズモと同時並行で開発されたというグランカブリオだが、メカニズムの多くを共有するものの、5色のカラーバリエーションが用意されたキャンバス製のソフトトップを備え、開けても閉めてもエレガントなスタイリングを実現していることこそが、何よりのセールスポイントだ。電動格納式ソフトトップの開閉に要する時間はわずか14秒で、50km/h以下であれば走行中の操作も可能。
メーター類は12.2インチのフルデジタルクラスターで、ヘッドアップディスプレイが組み合わされている。センターには12.3インチのディスプレイとその下部にはエアコンなどを操作する8.8インチのタッチ式ディスプレイを組み合わせる。ソフトトップの開閉も物理スイッチではなく、このタッチ式ディスプレイに表示される矢印を指でスライドするように操作して行う。また、センターディスプレイの上部には、マセラティではお馴染みの時計が配置されているが、デジタル式のため「クラシック」や「スポーツ」など表示の切り替えが可能だ。
パワートレインは最高出力550ps/最大トルク650N・mを発生する3L V6ツインターボ“ネットゥーノ”エンジンに、8速ATを組み合わせる。エンジンはバルクヘッド近く、フロントミッドに搭載され、駆動方式は4WDとなっている。


走りはしなやかだが、キャラ変でワイルドにも!
ステアリングホイールの右側にドライブモードを切り替えるダイヤルが備わっている。「コンフォート」「GT」「スポーツ」「コルサ」の4つから選択可能でデフォルトはGTだ。サスペンションはエアサスと電子制御ダンパーの組み合わせで、グラントゥーリズモよりもソフトなセッティングになっていて実にしなやかに走る。日常のシーンはほとんどコンフォートかGTで賄えるはずだ。もし、ワインディングを気持ちよくというならスポーツかコルサを選ぶといい。エグゾーストノートも合わせてワイルドにキャラ変する。サスペンションが引き締まり、また、コルサにすると車高も十数mm低くなる設定になっている。

ソフトトップを開いても、街中を走行するようなシーンではボディ剛性に不安など感じない。オープンカーは空気の澄んだ冬こそ本領を発揮するわけで、フロントシートには3段階で温度調整が可能なネックウォーマーが備わっている。市街地では風の巻き込みもほとんど感じない。より本格的に風の巻き込みを防ぎたい場面では、標準装備される組み立て式のウインドディフレクターを使う手もある。もう一度ソフトトップを閉めてみると、あらためて静粛性が高いことを実感する。事前に言われなければクーペと思い込んでいたとしてもおかしくはないレベルだ。
しかし、あらためて4シーターオープンという存在の優雅さを痛感することになった。まわりを見回してみれば、いまや国産メーカーをはじめ輸入コンパクトセグメントでは絶滅種。エントリーがメルセデス・ベンツ CLE カブリオレかBMW 4シリーズ カブリオレあたり。競合といえば、ベントレーかアストンマーティンか、そういう世界にいる存在なのだ。マセラティがグランカブリオの開発に力を入れるのもわかるというもの。これ見よがしでなくどこかヘリテージを感じさせるカッコ良さがあって、ラグジュアリーかつスポーティな、いま最もマセラティらしさを感じさせてくれるモデルだ。




マセラティ グランカブリオ(先代)の中古車市場は?

マセラティのオープンモデルとして初の4シーターカブリオレをうたう、ピニンファリーナがデザインを担当したグラントゥーリズモのオープンバージョン。2009年にフランクフルトショーで初お披露目されたモデルだ。フェラーリ F430とブロックなどを共有する、4.7LのV8自然吸気エンジンを搭載している。2019年11月に最終モデル「ゼダ」をもってモデナ工場での生産が終了している。
2025年1月上旬時点で、中古車市場には30台程度が流通。支払総額の価格帯は650万~1900万円となる。2017年のマイナーチェンジを挟み、約10年間販売されていたモデルのため、仕様も様々で価格帯にも幅がある。
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